naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

7月場所14日目

栃乃洋は、のぞかせた左をつきつけて、まわりこむ武雄山を追い込んだ。自分の相撲。
これで9勝5敗。3連敗の後は9勝2敗。大したものだ。

豊真将豊ノ島は、互いにいい当たりから低い攻め合いで頭四つ。
その後は、豊真将の方が攻め加減に進んだが、最後豊真将がはさみつけて決めにいこうとしたところ、豊ノ島が待っていたように二本差して、一気に逆転の寄り。辛抱勝ちという形だが、いい相撲だった。

嘉風北桜を立ち合いから突き立て、中に入ろうとしたが、果たせなかった。
嘉風の突きにややムダがあり、威力が今一つ。
突いておいて左上手をとって横にまわったが、右四つは北桜得意の形でもあり、ここは、前まわしねらい、もろ差しねらいでいくべきだっただろう。結局北桜に右四つ充分に組み止められてしまった。
嘉風としては、体重を増やす必要はないと思うが、突きから懐に飛び込む相撲を磨いてほしい。

時天空がよく腕の伸びる突き。密着したい栃乃花と、いい攻防になった。
一旦は右を差し合う形になったが、それをふりほどいて、離れきる相撲で10勝目。
最後の引きの場面で、時天空の手が栃乃花の髷をつかんだようにも見えたが。

2敗の玉乃島が、出島の意外な変化にまんまとはまってばったり。
敗れた玉乃島は、しきりと恨みがましい視線を出島に送り続けていた。

安馬は、土佐ノ海の突きに攻め込まれながら、よく応戦して、うまく食いついた。
最後は力強い吊り気味の送り出し。
この人は、やはりこういう横からの攻めに活路を見出すべきだ。

2敗の玉春日に勝ち越しがかかる把瑠都は、把瑠都が勝って勝ち越し。
立ち合い張って左上手をねらったがとれなかった。しかし今日の把瑠都は前に出る圧力があり、出ながら引っ張り込み気味に組み止めた。
この大きい相手につかまってはいくら好調の玉春日もどうにもならない。
把瑠都としては、つかまえれば何とかなるという気持ちでの取り口だっただろうが、やはりまだまだムダは多い。来場所は更に上に上がるが、このまま通用するとは思えない。

琴奨菊がいい相撲。立ち合いから左四つに組んでがぶり寄り。一旦は白露山に土俵際残されたが、再度の寄りで決めた。

互いに勝ち越しのかかる稀勢の里露鵬は、立ち合いから稀勢の里が充分の左四つに組み勝ったものの、露鵬の抵抗を受けて、一度は土俵に詰まった。
何とか盛り返し、最後は寄り切ったものの、もたついた感は否めない。
稀勢の里という人は、再三指摘しているが、左四つの四つ身の形がいいとは言えない。今日の相撲でも目についたのは、左下手をとってそれを生かす相撲がとれないということだ。
最後の寄りも、まわしのひきつけ方が充分とはいえず(特に下手)、相手がふりまわしてきたら逆転も食いそうな形。安定感のある相撲ではない。
新三役でのめでたい勝ち越しだが、私としてはまだ評価できない。

関脇同士、雅山琴光喜は、雅山の踏み込みが今一つ。突きの威力が先場所よりもないのは今日も同様で、そのため途中でいなし加減のはたきを出さざるを得ない。足の運びも安定しておらず、途中足が流れる場面も。
最後は、はたきで決めて9勝目。
明日勝てば2ケタ、3場所通算34勝ということで、大関昇進の話もまだ残りそうだが、賛成できない。
5年ぶりの再昇進という話題性があるので、しきりとNHKの放送でも2ケタに乗せればというが、何より先場所より相撲内容が落ちることが大きい。星数自体が先場所より落ちても内容が維持できていればいいと思うのだが、星も内容も先場所ほどでないとなると昇進には賛成しづらい。仮に明日勝って2ケタに乗せたにしても、不戦勝が1つ含まれているのも問題だ。

玉乃島が敗れたことで、白鵬魁皇に負けたら、その時点で朝青龍の優勝が決まるという状況。しかしさすがにそういうことはなかった。
今の力関係、今場所の調子の差からは、白鵬が普通にとれれば勝てるとは思っていた。
内容的にもまずまずよかった。
立ち合い一旦手がかかった左上手を、魁皇の前さばきに切られ、しばらくもみあう形となったのは、手こずった印象もあるが、すぐに突っ張りでふりほどき、そこから自分充分の右四つに組んだのは、やはり終始白鵬ペースの相撲だったと言える。
前に出て勝ってくれればベストだったが、頭を押さえながらの強引な投げで決めた。
もっと早くに上手をとることや、寄って決めてほしかったことはあるが、今場所のこの終盤の状況で、プレッシャーの中では、普通に相撲をとれというのが酷な話だろうから、それを考えれば、よくとったと言える。
さてこれで明日は横綱戦だが、スピードに勝る横綱に、白鵬の突っ張りが通用すれば、有利な体勢も作れるだろう。さてどうか。

黒海栃東を破って2ケタ。突きに威力があった。
栃東は低い体勢からおっつけて懸命にとったが、やはり膝の状態が悪くなっているのだろう。この人らしい粘りのある相撲がとれなかった。
それにしても、栃東は、中日に露鵬の出場停止による不戦勝で無傷の勝ち越し、カド番脱出した後6連敗。露鵬と土俵上で相撲をとっていたらどうだったか。

7敗と後がない琴欧州普天王をはたいて踏みとどまった。
今日の琴欧州は、立ち合いから積極的に突っ張った。そこから有利な体勢に組み止めることは今日もできなかったが、最後は上背の差を利用してのはたき。
内容的には決してほめられない相撲だが、前哨戦の突っ張りには、さすがに後がないだけに必死さを感じた。

そして優勝がかかる朝青龍は、千代大海戦。
横綱大関戦でありながら、昨日の魁皇同様、今日の千代大海も、勝ち目があるとは思えないという、情けない状況。
立ち上がって、千代大海に突っ張らせることなくすぐ左差し。互いに上手がとれなかったが、千代大海としては組まれた時点でもうどうにもならない。後は朝青龍が右上手もとって引きつけて一気に決めた。
千代大海が膝を傷めておらず、前半戦のようなこの人本来の突っ張りを出せる状態だったら、と悔やまれる。
ともかく17回目の優勝は見事というしかない。
私はここ数日、「右は充分使えるようだ」と書いてきたが、放送で紹介されたところでは、まだ痛いとのことだったし、取組後のインタビューでは、横綱本人が「毎日毎日辛くて」と語っていた。
そうした中、全勝で優勝を決めたのは、やはり立派なことだ。気力、精神力のたまものだろう。

さて、優勝は決まった。
明日千秋楽の興味は、朝青龍白鵬戦に尽きる。ともかく、昇進問題は別にして、白鵬の全勝阻止に期待したい。