naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

9月場所14日目~朝青龍余裕の優勝も大減点

寶智山は、踏み込みはよかったものの、安壮富士が立ち合い左前まわしをとったことで自分のペースで動けた。
寶智山は9敗目。安壮富士は、十両東筆頭で7勝7敗と貴重な勝ち星。明日の結果次第では、入幕が見える。

北勝力は、いい突きでまっすぐ出て春日王を下した。2ケタ。

6勝7敗と今場所も苦しい高見盛は、立ち合い白露山がかいなをたぐりにきたため、腰が入りかかったが、右差しからの寄りで7勝7敗の五分とした。
この人は、なかなか大勝ちできない。7勝、8勝レベルを行ったりきたりしている。
翌日の対戦相手を耳に入れないようにしているそうで、今場所中は、それを知らない記者がしゃべってしまって騒ぎになったと聞くが、これは、相手に対する研究不足につながらないのだろうか。そのことも、なかなか星があがらない原因ではないのか。

普天王は、相手嘉風のペースに合わせて突き合ってしまったのが悪く、二本差して飛び込まれ、寄られた。土俵際粘っての小手投げで、両者きわどく落ちた。
軍配は嘉風で、物言い。嘉風が僅かに早く落ちたように見えたので、差し違えは妥当な判定。

琴奨菊栃乃花は、互いに左差し、右からおっつけ合う相撲となったが、前に出たのは琴奨菊

勝ち越しがかかる土佐ノ海は、右からおっつけて前に出て、一度は栃乃洋に横を向かせて一回転させたが、栃乃洋得意の左からのつきおとしに落ちた。
両者7勝7敗。

好取組の岩木山豊馬将は、豊馬将がいい踏み込みから岩木山の突きをよくしのぎ、さすがに守りに強いところを見せた。しかし、そこから前に出ようとしたところ、岩木山引き足が速く、この人としては珍しく前に落ちた。4連勝スタートがこれで7勝7敗。何とか勝ち越してほしいが。

今場所今ひとつふるわない同士、旭天鵬時天空は、旭天鵬が出るところを、時天空が肩すかし。
二人とも、来場所は是非まきかえしてほしい。

楽しみな稀勢の里安美錦は、過去安美錦の5勝1敗と意外な対戦成績。
互いにいい当たりから、稀勢の里が右のどわ左おっつけで出たところまではよかったが、やはり苦手意識があるのか、引きにいったのが悪く、安美錦の逆襲を受けた。
まったく無用な引きで、稀勢の里としては悔いが残る相撲。
安美錦の2ケタは立派。稀勢の里は7勝7敗、三役維持に後がなくなった。

雅山露鵬は、露鵬が立ち合い左前まわしをねらったが、とれないとみるや、いなして押し込んだ。ここまでは露鵬ペースの相撲だったが、雅山もよく辛抱して、正対しての突きで応戦、めでたく勝ち越し。

黒海は、立ち合いの当たりが実によかった。琴光喜を突き起こしておいてのはたきが決まった。
黒海としても、決していい相撲ではないが、簡単に落ちる琴光喜はもっと情けない。
これで黒海は新三役で勝ち越し。立派だ。
琴光喜は8勝6敗。優勝にからみたいと自ら発言していたが、またまた今場所も8勝7敗か。

ただ一人優勝圏内にいる安馬栃東戦。
栃東は小さい相手をさばくのがうまいだけに、安馬としても攻略はなかなか難しいと思われたが、予想以上にすばらしい相撲をとった。
立ち上がると徹底して突きにいき、栃東に自分の形を作らせない。安馬の厳しい攻めに、栃東の上体が起きる場面さえあった。
攻め込む中で、右が入り、これはチャンスと思われたが、栃東も執念を見せてつきおとし。安馬は惜しくも落ちた。左右のまわしをつかんでいればと思うが、安馬としても精一杯だった。
安馬としては、大いにチャンスのある相撲だった。銭のとれる相撲。

この時点で、朝青龍の優勝が決まった。
ところで、NHKでは、放送開始から、刈屋アナが、「3敗で追う安馬が、敗れるようなことがありますと、結びの一番を待たずに朝青龍の優勝が決まります」と再三発言。
これは、刈屋アナに限らず、優勝争いが大詰めにきた場合の、NHKの実況での常套句だが、今日に関しては、安馬の相手は上位の大関であり、この言い方は、栃東に失礼であろう。

それはともかく、朝青龍にあっさり優勝を許した戦犯とも言うべき白鵬琴欧州の対戦。8勝5敗同士の一番。
立ち合いすぐ右四つ。白鵬としては、今場所初めて立ち合いにまわしをとった相撲となった。しかし、この一番でも左上手がとれない。
一方の琴欧州は上手充分のいい形を作った。白鵬に徹底して上手を与えない。
白鵬は右半身気味の形で懸命にこらえようとしたが、琴欧州の上手投げに、投げを返す力も見せることなく、転がった。8勝6敗。
それにしても・・・。
2ケタさえ逃し、8勝止まりの可能性もある。ここまで大崩れした理由は一体何なのか。
本人は語らないかもしれないが、何か理由がある筈だ。昇進に向けてのプレッシャーだったら、2敗、3敗した段階で、ふっきれると思う。たぶん精神面ではない。

結び、朝青龍千代大海との対戦。
千代大海には8連勝中の横綱
取組前に優勝が決まった気のゆるみさえなければ、千代大海に勝つ要素はないと予想したが、思わぬ相撲になった。
千代大海が気合いの入ったいい相撲をとったことは確かだが、それ以上に朝青龍の今日の相撲は一体どうしたことか。
今場所の横綱であれば、千代大海がいくらいい当たりをしてきても、立ち合いでいきなりつかまえることも不可能ではなかったと思うが、それができず突き合いとなった。
朝青龍の相撲がおかしかったのは、その後だ。
いくら当座突っ張り合いになったとしても、横綱とすれば、当然どこかでつかまえにいくべきだった。それを、どういう訳か、千代大海に合わせて突っ張るだけ。
途中でカッとなったのか、無理に相手の顔を張りにいく場面もあり、ともかく荒れた相撲。この調子で相手に調子を合わせていたら危ないと思ったら、やはり千代大海のはたきにのめった。
千代大海が突っ張った後にはたくことは、横綱なら当然予想できた筈だが、やはり冷静さを欠いていたか。
千代大海が土俵を割るのと朝青龍が落ちるのと、微妙に見えたが、物言いはつかないように見えた。
しかし、朝青龍が一礼して花道を下がり始めたところで物言い。このタイミングでの物言いも前代未聞ではないか。土俵上では勝ち名乗りが行われたのだろうか。
物言いの論点は、体勢の問題でなく、朝青龍の髷に千代大海の手が入ったかどうかだったという。
手が入っていないとの判定だが、リプレイを見る限り疑問がある。
土俵を下がった朝青龍も納得していなかったようだ。
しかし、判定はともかくとして、今日の朝青龍の相撲は、連続優勝の価値を大きく下げる内容だったと言わざるを得ない。
大関以下、注目の力士がことごとく星を落とす中、さすが横綱、という見方をしてきたが、今日の冷静さを欠く相撲は、大減点である。
白鵬同様、何か理由がある筈だ。それを知りたい。