naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

9月場所14日目

皇太子ご一家が観戦。
愛子様は昨年の9月場所に続いて2度目。日頃、あまり笑った顔を見せない愛子様が、今日は満面の笑顔。よほど相撲がお好きなのだろう。
幕内後半戦からの観戦で、どうせならもっと前からご覧になればと思うが、雅子妃の体調に配慮したのだろうか。

NHKの放送で、中入りの時間に、戦後これまでの、「横綱と新入幕の対戦」の映像を見せてくれた。
その中に、74年11月場所、輪島=麒麟児戦があったが、この一番をさばいた木村庄之助の姿が懐かしかった。好きな行司さんだった。
軍配を返した時に、左手を西方力士の方に「さあどうぞ」とかざすような仕草をするのが、好きだった。

正面実況は刈屋アナ。先日、刈屋アナのしゃべりがうるさいという感想を書いたが、もう一つ。
この人は、「ましたですね」という言い方を多用する。NHKのアナウンサーの中では彼だけなのだが、これがまた耳障りなのだ。

普天王白露山は、7勝6敗同士の一番。
普天王は、自分充分の左四つになり、右上手もとったのに、どうしたことか攻めが遅い。
膝の具合がよくないはずの白露山に、先手先手と攻められ、下手投げでゆさぶられて向正面に寄り切られた。情けない。

嘉風は、今日は突きが出なかった。露鵬と互いに頭を下げ合って、レスリングのような格好から、機を見て正面に押し出した。露鵬はもろかった。
これで嘉風は2ケタ。今場所は少し進歩が見られたと思う。

栃煌山が、今日はもろかった。豪風との一番、低く当たって、前さばきからもろ差しねらいというところだったのだろうが、豪風が当たってすぐ体を開いていなすと、栃煌山は大きくぐらついた。
何とか残したが、豪風の再度の突き押しは残せず、赤房下で土俵を割った。
これで7勝7敗。○○○●●●●○○○○●●●●と、見事なツラ相撲。
豪栄道には勝って、幕の内先輩の貫禄を見せたのだが、明日は何が何でも勝ち越さないといけないところだ。

高見盛7勝6敗、豊響6勝7敗と厳しい対戦。
豊響が、この土壇場に、この人本来のいい押しを見せた。右のどわ左おっつけで正面に一気に押し出した。いい相撲だった。
高見盛は勝ち越しならず、また7勝7敗で千秋楽。

琴奨菊垣添の一番は、垣添が立ち合い低く当たって突こうとしたが、琴奨菊は左右からはさみつけてこれを許さず、一気に東土俵に出た。
琴奨菊の前へ出る圧力が強かったため、垣添はまわりこもうとして体勢を崩した。琴奨菊、押し倒しの勝ちで9勝目。

北勝力は、立ち合いもろ手突き。時天空はこれをこらえながら、下から二本入れて寄ると、北勝力はまったく抵抗せず土俵を割った。
北勝力という人は、「土俵に上がるからには全部勝つつもりでやっている」という発言を、かつて何度も繰り返していたが、言葉と裏腹な、負ける時の無気力さが腹立たしい。

豊馬将7勝6敗、鶴竜6勝7敗と、これも厳しい対戦。どちらにも勝たせたい一番だ。
立ち合い低く当たり合ったが、踏み込み勝ったのは鶴竜
互いに左を差し、上手がとれない体勢。豊馬将も体勢低く守りを固めた。
ここで、鶴竜が右をまきかえにいったが、豊馬将はこれに乗じて、二本差されたのもかまわず、赤房下に走った。
豊馬将は、攻めのよさも見せて勝ち越し。

稀勢の里が、今日はいい四つ相撲を見せた。
立ち合い雅山が突いたが、稀勢の里はこれをこらえて左を差した。右からおっつけて上手をさぐる。
その後、うまく相手の左下手を切って、上手をとり、西へ寄り切った。
この人も、こういう相撲がとれるのだと思わされた一番。こういう取り口をみがいて、誰に対しても一貫した相撲をとれるようになってほしいのだが。

3敗同士、安馬旭天鵬は、旭天鵬が長身の利を生かした。
安馬は、取組前に紹介された支度部屋での談話通り、のどわ攻めにいったが、これはやはり失敗だったと思う。
上体が起き、旭天鵬に抱きこまれる格好になってしまった。
旭天鵬は、右から安馬の左をかかえ、左からおっつけて、二本差されているのもかまわず前に出て、体を浴びせた。
千秋楽に残ったのは旭天鵬
安馬はまずい相撲をとったものだ。

安美錦が、立ち合い突き起こしてからはたくと、豊ノ島はばったり落ちた。
過去安美錦8勝3敗の対戦成績が示すあいくちだろう。
安美錦は無傷勝ち越し後の5連敗でやっとストップ。豊ノ島は勝ち越しならず、7勝7敗。

朝赤龍出島を破って新関脇の場所、勝ち越し。
立ち合いは出島の方が低く当たり、踏み込みもよく、西土俵に攻め込んだ。
朝赤龍は、体を開いていなし、これで出島が体勢を崩すところをはたきこんだ。
朝赤龍としては、決していい相撲ではなかったが、とにもかくにも勝ち越しは嬉しいだろう。

琴欧洲春日王は、初顔の一番。
立ち合い琴欧洲はすばやく二本入れて東土俵に走ったが、左足が流れ、春日王苦しまぎれの右小手投げを食った。
しかし、何故ああもあわてて前に出ないといけないのか。
それと、本当に投げを打たれると弱い。見るに堪えない相撲が続く。
これで8勝6敗。今場所も2ケタはなくなった。今年に入ってから、2ケタ勝った場所が一つもない。
一方の春日王はこれで10勝。

千代大海愛子様ごひいきの琴光喜の対戦は、大関在位歴代1位の52場所と、新大関の対戦だが、実は二人とも同じ昭和51年生まれだという話が紹介された。面白いものだ。
相撲は琴光喜が勝ったが、感心しない内容だった。
立ち合い、左に動いて小手に巻くようにしていなし、突き合いの中、ともかく動いてかきまわし、最後ははたいて決めた。
とにかく、どんな相撲でも勝ちたい、という感じの相撲だった。ちょっといただけない。

さて、結び、白鵬と、新入幕豪栄道の一番。
新入幕力士が優勝争いにからむ形で、横綱と対戦するのは史上初なのだそうだ。
豪栄道は善戦。立ち合い低く頭から当たり、右前まわしに手がかかった。
しかし、白鵬は相手のその右かいなをかかえ、左にまわりながらとったりの連発で決めた。
それにしても、今日の白鵬の相撲をどう評価していいのか。
確かに横綱として、「絶対に負けられない一番」ではあった。だから、相手がとりにきた右前まわしを防ぎ、ひたすらそこ一点に集中して決めた流れには、強い意思が感じられた。
その意味では評価できない相撲ではないのだが、しかし、やはり横綱が平幕力士にとる相撲ではない。
期待したのは、「やはり横綱は違うな」と、豪栄道にも観客にも、テレビの前の相撲ファンにも思わせるような、がちっとした相撲だ。立ち合いにつかまえてしまって身動きさせず、あっさり料理するような相撲。70年(昭和45年)3月場所、初めて平幕貴ノ花の挑戦を受け、赤子の手をひねるようにしりぞけた横綱大鵬の相撲をふと思い出した。
それと、昨日も今日も、勝負が決まった後に、つんのめるような形になったのが気になる。要するに、余裕がない形で技が決まっているのだ。
今場所、白鵬の足の運びについては、初日から不安視していたが、疲れがたまり、体調が下降気味になっていると伝えられる終盤戦、その懸念が出てきているようだ。

2敗 白鵬
3敗 旭天鵬

そうは言いながら、この形での千秋楽、まず白鵬の優勝は堅いだろう。
明日は千代大海との対戦だが、勝手知った相手だけに、今日に比べればむしろ気楽にとれるはずだ。
一人横綱ということで、心身とも厳しい中での千秋楽だが、優勝を逃すとすれば、本割で千代大海に敗れ、決定戦で旭天鵬にも敗れるというケースしかない。これはいくら何でも考えづらいだろう。
旭天鵬は、過去9勝8敗の玉春日との対戦が組まれている。旭天鵬が3敗を守って、結びを待つ可能性は高い。
しかし、白鵬としては、まず千代大海との一番は五分以上にはとれるはずだし、仮にこれに敗れることがあっても、決定戦でも敗れることは、土俵上でのケガなどのアクシデントでもないとありえないと思う。