４勝１敗同士、山本山と木村山の対戦。山本山は、木村山のいなしに泳ぐ場面もあったが、左上手をとり、右前まわしもとって出た。山本山の四つ相撲はあまり記憶にない。突いておいて組む相撲をとれるようになれば、安定してくるのではないか。
朝赤龍は、立ち合いすぐ左四つ。頭をつけて食い下がる形にはなれなかったものの、そのまま引きつけて出て、翔天狼を寄り切った。１敗を守った。
豊ノ島は、立ち合いからの前さばきでうまくもろ差しになり、がぶって寄ったが、攻めきれない。高見盛は、青房下で残り、左をまきかえて左四つ。差し手を返すと豊ノ島の右はバンザイの格好になり、これで勝負は決まったかと思ったが、高見盛が西へ寄るところを、豊ノ島が左からの下手投げで逆転。
玉乃島と嘉風は、動きの中で互いに後ろを向かせる展開になり、最後は玉乃島が送り出し。嘉風という人はよく動くが、そこにこの力士の魅力がある。動きのいい相撲は、やはり観ていて面白い。この一番を観て、そう感じた。
豪栄道が、もろ差しからの寄りで稀勢の里に完勝。稀勢の里は、立ち合い突こうとしたが、豪栄道が左でまわしをとるのが速く、それを許さなかった。稀勢の里としては、突きが不発に終わった時点で後手にまわってしまっており、一方的な負け方になった。この相撲を観ると、稀勢の里がふがいないと言わざるを得ない。自分が立ち合いからどういう相撲をとりたいのか、それができない時にはどうしたいのかが、伝わってこない。土俵を下りる時の表情、態度も、いつもながら謙虚さを感じさせるものでなく、感心しない。
琴光喜と時天空は、立ち合いのタイミングが会わなかった。琴光喜がつっかけ気味、時天空は立ち遅れ気味。時天空の手つきも不充分に見えたし、行司か審判が止めるべきではなかったか。相撲は、琴光喜が右を差して、西へ一気の寄り。
日馬富士と栃煌山は、栃煌山がうまく二本入れて、出足よく西へ寄り切った。日馬富士の相撲はどうしたことか。まったく厳しさがなかった。立ち合いに左上手をとりにいったが、これは安易だった。身長があり、もろ差し得意の栃煌山に対しては、もっと脇をかためて低くいくべきだった。
魁皇と北勝力は、北勝力がもろ手で突いたが、右上手をとるのが速く、組み止めることに成功した。これで安心。前に出て、向正面に寄りきった。連日、必死の土俵を務める魁皇について、ＮＨＫ実況の吉田アナは、｢頭が下がる｣｢感動さえする｣と話していたが、確かに、ベテランの真摯な相撲ぶりは賞賛すべきと思いつつも、やはりちょっと違うのではないか、と私は思う。それは大関だからだ。これで５勝１敗は立派だが、この調子で優勝争いをしていけるのか。それが無理でも、両横綱を破ることができるのか。前にも書いたが、魁皇の過去の実績は充分認めるとしても、よたよたしながら、８勝、９勝を繰り返して、大関在位を延ばしていくことには、疑問がある。今場所、自らが優勝できないにせよ、横綱のどちらかを破って11勝以上したら、今日のこのコメントは撤回する。
琴欧洲が、今日はいい相撲。鶴竜が突いたが、起こされることはなく、下からあてがって応戦しながら左四つに組み止めて、西へ取り切った。懐の深さが生きた。琴欧洲は、途中一瞬引きを見せたが、鶴竜がそこをついて攻めるまでにはいかず、すぐ思い直して前に出たのがよかった。
朝青龍は、立ち合い右から張って、すぐに左四つ右上手。しかし、琴奨菊も、うまく横綱の下手を切った。この時点で、朝青龍は左下手をとれておらず、危ない格好だった。琴奨菊ががぶって出られるかと思ったが、次の瞬間、朝青龍が左に体を開て右から突き落とすと、これが見事に決まった。とっさの対応はさすがと言わざるを得ないが、万全の内容ではない。自分のペースで左四つ充分に組みながら、とった上手を切られた点が気になる。
もう一人の横綱、白鵬は、旭天鵬に今日も完勝。立ち合いからいい流れで左前まわしをとり、右かいなを返し、旭天鵬には上手を与えない万全の体勢。そこから寄る時の、腰の落とし方、右かいなの返し、今日も完璧だった。相手に何もさせない完勝と言う意味で、朝青龍とは差を感じた。
