naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

7月場所10日目

隆の山は、ゼニのとれる相撲。必死のがんばりとねばりが佐田の富士の勇み足を生んだ。
お客さんが喜ぶものを持っている人だが、いかんせん今の体重では、一方的に敗れるケースも多く、幕内を維持するのは難しい。
もう少し戦えるだけの目方がつけばいいのだが。

旭天鵬豊ノ島に寄り切られて、初日から10連敗。
先場所は、序盤2勝3敗から10連勝しての12勝3敗での優勝だったが、10連勝の後の10連敗となってしまった。
まさに勝っている時はこんなもの、負けが混んでいる時はこんなもの、と言う典型か。
先場所は、琴欧洲戦の勝ち方など神懸かり的な勢いだったし、栃煌山との決定戦では、劣勢から勝ちを拾うだけの何かがあった。
今場所はその逆だ。がんばってはいても、たった一つの勝ち星になかなかたどりつけない。

妙義龍が実に胸のすく相撲。栃ノ心に終始左上手を与えなかった巧さに加え、強烈におっつけて前に出ていく力強さも。
誠に私好みの相撲だ。
安易な大関待望論には乗りたくないが、三役に定着して持ち味を発揮してほしい最右翼。

稀勢の里は、私から見ても今場所まずまずの内容。2敗はしているが、相撲の崩れはない。
勝つ時の土俵際の腰の落とし方にはすばらしいものがある。
もうひと皮むけてくれたらと思うが、しかしまだ何か足りない。
それにしても、栃煌山という人は、相変わらず負けが混むとまったく気力が見られなくなる。前にも書いたが、入門当時から将来を嘱望されていたことによる、エリート意識が災いしているように思う。
悪いながらも一つでも勝とうという気持ちが見えない。大勝ち大負けを繰り返すだけでは、三役定着もおぼつかない。
例えば、安美錦あたりの方が、派手さはなくとも三役に定着していてよほど強いと思わせるのと対照的だ。

把瑠都琴欧洲に敗れて3敗。
合い口というのは誠に面白いものだと痛感する。今場所の調子からすれば、どう見ても把瑠都に分があると思える(体格も互角だし)のだが、そうならない。
把瑠都側から見れば、立ち会いに突き放すことができず、当たった瞬間に琴欧洲に前まわしをとられて充分に組まれてしまっている。そして自分は上手がとれないとなると、どうしても不利な相撲にならざるを得ない。
こういう相手を克服できない内は、横綱昇進は難しい。これは他の大関にも言えることだが。

日馬富士琴奨菊は、好調同士の対戦だけに期待したが、結果は一方的。
日馬富士が立ち会いから先手先手と動いて琴欧洲を翻弄した。
日馬富士は、相手が左を引っ張り込んでくることを利用して、深く差して横につきながら動いた。思い通りの相撲だっただろう。
結局、調子のいい状態で対戦しても、両力士の本来の相撲が持つスピードの差が出たということだ。じっくり構えることができれば、琴欧洲としても互角に渡り合えただろうが、日馬富士がそれをさせなかった。

白鵬鶴竜は、序盤の不安定さからさすがに調子を上げてきた横綱に対し、今場所、本来の相撲が出ていない鶴竜では、順当な結果となった。
ただ、白鵬が立ち会いからすぐに充分の右四つになりながら、そのまましとめることができず、鶴竜のまきかえを許して体勢を悪くさせられた流れは、やはり白鵬、本調子でないと痛感する。
勝負の決めどころは、機を見るに敏、という感じではあったが、再三書くように、流れでさばく、というのが白鵬の相撲の持ち味の一つであることは事実であっても、私から見るとベストの相撲とはとても言えない。
それでも日馬富士と並んでの全勝キープは、表現は悪いが「腐っても鯛」と形容すべきか。

全勝 白鵬日馬富士
1敗 魁聖
2敗 琴奨菊稀勢の里

現時点では、白鵬より日馬富士の方が、勢いを感じるし、内容的に上回っていると思う。
直接対戦を残しているだけに、白鵬賜杯奪還は予断を許さない。

横綱との直接対戦を残しているのは、2敗の両大関も同様なので、まだ優勝の望みが消えたわけではない。

優勝ラインは1敗、もしくは2敗といったところか。