naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

紀尾井ホール室内管弦楽団第115回定期演奏会

8日(金)、紀尾井ホール室内管弦楽団定期演奏会を聴きに行ってきた。

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日 時 2019年2月8日(金) 18:30開場 19:00開演
会 場 紀尾井ホール
指揮・ヴァイオリン ライナー・ホーネック
管弦楽 紀尾井ホール室内管弦楽団
曲 目 クープラン パルナッソス山もしくはコレッリ
     J.S.バッハ ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調
     ヴォーン=ウィリアムズ トマス・タリスの主題による幻想曲
     武満 徹 弦楽のためのレクイエム
     ストラヴィンスキー ミューズを率いるアポロ

弦楽合奏曲ばかりのプログラムである。

指揮のホーネックさんは、今年のウィン・フィルのニューイヤー・コンサート(ティーレマン指揮)のコンサートマスターを務めたのだそうだ。

私の席は、2階C3列4番。

11日(月)には、ここでマウントあさま管弦楽団の本番が行われる。3日後に弾くステージを、2階席から見下ろした。

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この演奏会に足を運んだのは、何と言ってもヴォーン=ウィリアムズのタリス幻想曲が実演で聴けるからだ。古くから愛聴してきたこの曲を、実演で聴けるチャンスはめったにない。この曲1曲のためにチケットを買ったと言っても過言ではない。

19:04頃、1階の最前列、8番の席に、あちこちの演奏会で、開演後に入場して演奏中でも構わず席につくと、一部で話題の「サスペンダーおじさん」(らしき人)が座った。この演奏会では、彼が座った時点では、まだ楽員が入場している最中だったので、実害はなし。

ホール側が、気を遣ったのかもしれない。

   ※拝啓 サスペンダーおじさん様
       http://nailsweet.jugem.jp/?eid=1449

冒頭のクープランは、ヴィオラがない編成のように思われた。対向配置のヴァイオリンが6・6、チェロ3、コントラバス1。

たぶん初めて聴く曲だが、いい曲だと思った。

かちっとしたアンサンブルでなく、時々緩さも感じさせる演奏。流行りのアグレッシブな感じのバロック演奏ではない。それが心地よかった。

今回の5曲、編成がすべて異なるので、曲が終わると楽員は一度舞台からはける。

バッハは、6・6・4・3・2。

これもヴァイオリンは対向配置で、ヴィオラが下手側、上手に低音をまとめる形。

クープランの後に聴くと、バッハの音楽にはやっぱり違うものがあると感じる。品格の高さと言うのだろうか。

2楽章など、聴いていて背筋を伸ばさずにいられない、そんな音楽だった。

ここで、ハープシコードは舞台から撤収。

さて、お目当てのヴォーン=ウィリアムズである。

舞台奥に、2・2・2・2・1の1群。下手側から、ファースト、セカンド、ヴィオラ、チェロ、コントラバス

手前に、7・6・5・5・2の1群。こちらは、下手側から、ファースト、セカンド、チェロ、ヴィオラで、ヴィオラは外配置。コントラバスは、チェロの後方。

各パートのトップがカルテットソロとして動く場面もあり、これを含めて3群からなる音楽である。

初めて実演にふれて、レコードではわからないものを、実際に目と耳で確かめられたのは、本当に収穫だった。

3群の弦が、自在に組み合わさりながら進行する音楽の、何と味わい深いことだろう。

同じ作曲家の「揚げひばり」、あるいはエルガーの弦楽セレナーデの2楽章を思い出させる、代え難い滋味。

レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア」第3組曲と同様、どこか懐かしさを感じさせる音楽でもある。

この曲、ヴィオラの役目が大きいと思った。

来てよかった。

20分間の休憩の後は、武満徹

ヴィオラ外配置の、9・8・7・6・3。

ストラヴィンスキーは、この曲を「厳しい音楽」と評したそうだが、紀尾井ホール室内管弦楽団の演奏は、そうではなく、時に甘さ、あるいは暖かさを感じる、美しい演奏だった。

最後のストラヴィンスキーは、下手側から、ファースト・ヴァイオリン8、セカンド・ヴァイオリン8、セカンド・チェロ3、ファースト・チェロ4、ヴィオラ6。上手奥にコントラバス3という編成。

この曲は、昔、カラヤンムラヴィンスキーのレコードが出ていたと記憶するが、ちゃんと聴いたことはなかった気がする。

春の祭典」などのストラヴィンスキーとは、まったく違う顔だが、これも確かにバレエだと感じる。

時に、R.シュトラウスを思い出させる響きもあり、愉しさもある。

機会があれば、弾いてみたいと思いながら聴いた。

アンコールに、何か短い弦楽合奏曲でもやるかなと思ったが、それはなく、21:10終演。

いい演奏会だった。