naokichiオムニバス

69歳、公務員、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

非凡なヴォーカル~上白石萌音「あの歌」

先週リリースされた上白石萌音のアルバム、「あの歌 1と2 <特別盤>」を買った。

 

上白石萌音という人は、ほとんど知らない。

女優としての彼女については、「恋はつづくよどこまでも」や、今年の大河、「青天を衝け」など、数々のテレビドラマに出ていることは知っているが、ちゃんと観たことがない。

歌手としての彼女については、以前買ったオフコースのカバーアルバム「オフコース・クラシックス」の1曲目、「さよなら」を歌っているのを聴いて、きれいな声だなと思ったのが唯一の聴体験である。

 

今回、「あの歌」を買おうと思ったのは、その上白石萌音が歌っているのが、昭和歌謡のカバーであることに興味をひかれたからだ。

 

収録曲は、以下の通りである。

今回は、2枚のアルバムが同時に発売された。

 

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「あの歌-1-」は、「70年代カバーアルバム」と表記されている。

 

   1.年下の男の子
   2.キャンディ
   3.君は薔薇より美しい
   4.夢先案内人
   5.木綿のハンカチーフ
   6.グッド・バイ・マイ・ラブ
   7.ガンダーラ
   8.勝手にしやがれ
   9.みずいろの雨
   10.オリビアを聴きながら
   11.さらば恋人

 

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「あの歌-2-」は、「80~90年代カバーアルバム」と表記されている。

   1.世界中の誰よりきっと
   2.ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ
   3.AXIA 〜かなしいことり〜
   4.Diamonds<ダイアモンド>
   5.制服
   6.まちぶせ
   7.ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス
   8.いかれたBABY
   9.青空
   10.PRIDE

 

女性歌手の歌が多いが、とりあげられている男性歌手の曲目が面白い。

 

「あの歌-1-」、「あの歌-2-」と、ダイジェストムービーなどを収録したDVDをセットにしたボックスが「特別盤」で、私はこれを買った。

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今日、通勤の往復に聴いてみた。

 

オフコース・クラシックス」の「さよなら」同様、清潔感のある歌声だ。

印象としては、淡彩な水彩画。

そんな彼女の歌は、一聴して強い印象を受けるものではなく、それは上白石萌音その人の顔貌が決して「濃い」ものではないことと通じるところがあるように感じた。

 

しかし、少し聴く内に、決して無個性な歌でもないことに気づく。

 

1曲、1曲と聴き進める内に、この人の歌はすごく巧い、とその魅力にひきこまれてしまった。

 

ただ淡々と歌っているように見えて、それぞれの曲に細かい表情づけがされていることに驚かされる。

濃い表情づけや技巧を前面に押し出すのではないが、よくよく聴く内に、大変な非凡さを感じさせる、そういう歌だ。

 

カバーしたオリジナル曲は、布施明沢田研二ユーミン松田聖子と、個性の強い歌手のものばかりなのだが、2枚のカバーを聴いてみると、上白石萌音はすべての曲を自分のスタイルに引き寄せている。そこがすごいと思った。

 

昨年の紅白歌合戦について、このブログで、こういうことを書いたのを思い出した。

 

   Superfly「愛をこめて花束を」は、上手いなあと思いながら聴いた

   が、大トリのMISIA「アイノカタチ」ともども、「がんばり過ぎている

   歌」という印象がある。もう少し力の抜けた歌で、彼女たちの魅力が聴き

   たい。

 

そう、SuperflyやMISIAは、巧さを感じさせ過ぎる(突きつけてくる)タイプの歌だと思ったのだった。

今回聴いた上白石萌音の一連の歌は、それと対極にある。

 

いやあ、これはすばらしい。

 

一つ気になったのは、鼻濁音が使われていないことだ。これは誠に惜しいと思った。

 

ヴォーカルのことばかり書いたが、これらのカバーアルバム、選曲、個々の曲のアレンジがまたすばらしい。

 

繰り返し聴いて味わうに足る名盤である。

 

「MUSIC MAGAZINE」の最新号は、1970年代の昭和歌謡を特集しているが、その特集の冒頭に上白石萌音のインタビューが載っており、アルバム制作の過程などについて語っている。

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上白石萌音「あの歌」特設サイト   

sp.universal-music.co.jp

 

※関連YouTube番組

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