naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

もう一つのびっくり~吉田秀和氏の復帰

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今回の「レコ芸」、もう一つのびっくりがある。
吉田秀和氏の復帰である。

八重洲東春堂」に平積みになったレコ芸そのものにもびっくりしたが、二度びっくりしたのは、表紙に大きく書かれた、
  新企画 吉田秀和 「之を楽しむ者に如かず」
の文字だった。

氏が連載「ディスク」を休載されて久しかった。
夫人に先立たれ、執筆の意欲をなくした、ということは、しばらくして連載を再開された際に、自ら書かれていた。
しかし、再開された連載も、確か2回か3回でまた中断され、長く休載が続いてきた。
毎号のあとがきには、「吉田秀和氏の「ディスク」は都合により休載しております」と書かれ続けた。

この間、朝日新聞夕刊の「音楽展望」も休載されたまま。
その「音楽展望」の単行本が最近出たが、そのあとがきには、「一旦戻った意欲が続かなかった」という趣旨のことが書かれていた。しかも、そのあとがきは、ご本人の筆によるものではなく、編集者の聞き書きだということで、そのことが私にはショックだった。
長く続く休載と併せ、もしかしたら、氏は病床にあるのではないか、と、不謹慎な心配をしていた。

そのようなところへ、この表紙の大きい文字。
二度びっくり、かつ二度嬉しい今日の事件であった。

帰りの電車に乗って、ページを繰るのももどかしく、氏の記事をさがした。
休載前と変わらぬ香り高い文章がそこにあった。
・・・何と嬉しかったことか。

前回のことがあるからか、冒頭で、「また少し書く気力が出てきたみたい」としながら「いつまたすぐひっこんでしまうかわかりません」と書かれている。
記事そのものには「第1回」とかの表記がなく、単発の読み物かとも思ったが、あとがきによれば、連載を予定しているようだ。

無理をなさらず、不定期でもいいから、続けて行ってもらえれば、と切に願う。