９月場所４日目

嘉風は栃乃花に一方的に押されて１勝３敗。だいぶ力がついたと思っていたが、今場所は調子が出ない。

豊真将が初日から４連勝。
寶智山の突きもすばらしかったが、相手を起こすことができなかった。豊真将は、今日も受けるだけでなく攻めがよかった。前に出る力は入幕３場所目の進境だ。

垣添が今日は見事な突き押しで高見盛を圧倒した。

安馬は、今日は突いておいて珍しく引き技に出た。安馬も、ついて行けず落ちた琴奨菊も、互いにいい相撲とは言えなかった。当人たちも、反省の表情を見せていた。
しかし、ともかくも安馬、４連勝。

豊真将、安馬の無傷の４連勝は、私としては嬉しい。

今日一番楽しみな露鵬と把瑠都は、立ち合い露鵬が左上手をとりに行き、右四つがっぷり。
この形だと、体格に勝る把瑠都に分があるかと思ったが、以後の攻防は、終始露鵬が厳しく攻めた。
攻めて攻めて、最後は切り返しで把瑠都を転がした。
がっぷり四つの形から、把瑠都相手に正面から渡り合えたのは、大したものだ。力強い相撲だった。
今場所の露鵬はずいぶん違う。
今日の相撲に関しては、厳しさの差があった。把瑠都は反省すべき相撲。
値打ちのある一番だった。

雅山が黒海にはたかれて、早くも２敗。
立ち合いからの踏み込みは黒海。
雅山も一応当たってはいったが、押し込めない。逆に一気に押し込まれて土俵に詰まった。
大関をねらう関脇としては、逆にならなければならないのだが。
後手にまわりっぱなしのまま、押し返していったところをはたかれて落ちた。
それにしても黒海の相撲は力強かった。

魁皇が琴光喜に敗れて３敗目。
まったくだめだ。自分としてはこう動きたいというのが見えないし、相手の動きについていけない。
好調不調という次元の話ではなさそうだ。
来場所、ご当所の福岡の土俵を踏めるかどうか危ういとさえ思う。

千代大海は、今日は突きに徹した。稀勢の里の今の地力からすると、千代大海に充分対抗できるはずなのだが、終始防戦にまわり、いいところがまったくなかった。
これで、千代大海戦は４戦全敗。
不思議としか言えないが、これが合い口というものだろう。

白鵬は、時天空相手に、今場所ここまでの中では、まあましな相撲。
立ち合い左に動き気味に肩越しに上手をとりにいった。
やはりどうしても右四つになりたかったのだろう。
右四つになりさえすれば、という気持ちがあったと思う。
以後はまあまあの相撲。
しかし、同じ右四つねらいでも、優勝した５月場所では、土俵すれすれに低く出て、下から左前まわしをとりに行く相撲に連日徹していた。それに比べると今場所の内容は雲泥の差だ。
仮にこんなふらふらした相撲で13番14番勝てたとしても、内容的には横綱に推せない。
本人も勝ち残りで納得していない表情だった。
いい加減、調子を上げてほしいものだが。

栃東が玉乃島をいい相撲で破ってやっと初日。先場所９日目からの連敗を10で止めた。ほっとしたことだろう。
立ち合い低く頭で当たって、玉乃島ののどわ攻めに頭をあげず、右を差して左からおっつける低い体勢を作ることができた。
玉乃島に、それ以上の攻めがなかったことも幸いし、以後は栃東らしい寄り身が出た。

琴欧州が安美錦にまさかの黒星。
白鵬が今一つの今場所、琴欧州の存在には期待するところがあったのだが、がっかりした。
立ち合いに左上手に手がかかりながら、切られた。だからといってあわてる必要のない相手のはずだが、どうしたことか、すぐはたきにいってほぼ自滅の形で土俵を割った。
調子を下ろしたか。
せっかくの３連勝でふくらんだ期待が帳消しになってしまった。

結びは朝青龍に出島。
過去、横綱の13勝３敗、今場所これまで全勝の横綱に、出島は全敗。
波乱の要素はないと思っていたが、やはり横綱の余裕だけが目立った相撲になった。
出島としては、低く当たって押し込むしかない。そのように愚直な相撲をとったが、横綱があっさりはたいて決めた。
いつものことではあるが、他の力士が星を落としていく中、横綱だけが乗ってきている。
だから横綱なのだろうが。