naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

昔、大宮駅近くで~人間の記憶の不思議

「駅前シリーズ」で、今日、大宮駅西口の写真を載せた。

文中に書いたが、このあたりの変貌ぶりというのは、かつての姿を知っている者には、信じられないものがある。

私は、78年に、今の会社に入社してから、5年間、北浦和にある独身寮に住んでいた。
そのため、2駅隣(当時)の大宮にも、時々足を運んでいた。

あの頃の大宮駅西口って、何もなかったというだけでなく、何か、歩くのがこわいような、そんな感じさえあった。

その頃の大宮駅西口をめぐって、妙に憶えていることがある。

入社何年目だったか。たぶん、まだ2年目くらいだったと思う。

大学オケ同期のホルンのKが遊びに来た。確か寮に泊まっていったと思うが、滞在中のある日、大宮駅西口で昼飯を食べた。

友人が遊びに来たということだから、週末の休日のことだ。

大宮駅西口すぐそばの、どちらかと言えばきたない飯屋に入った。

店の一角の棚に乗せられたテレビで、プロ野球をやっていた。テレビでやっているということは、もちろん巨人戦だ。

で、どことの対戦かは憶えていないのだが、バッターボックスにピッチャーが入った。確か、新浦だったと思う。

その時に、Kが、「こういう時のピッチャーってさ、ヒット打とうと思って打席に入るのかなあ」と言った。

このことだけを、何故か鮮明に憶えているのだ。

その滞在中に、Kとどういうふうに過ごしたのか、憶えていない。

その店の場所も憶えていない(たぶん、今はもうないだろうから、というのもあるが)。

どうしてその店に行ったのか、自分が行ったことがあったからか、憶えていない。

それなのに、店の中の様子と、その、Kの発言だけを、妙に忘れずにいるのだ。

前後のつながりなどはすべて忘れていながら、ある局部的な記憶だけが消えない。
人間の記憶というのは、面白いものだと思う。