「駅前シリーズ」で、今日、大宮駅西口の写真を載せた。
文中に書いたが、このあたりの変貌ぶりというのは、かつての姿を知っている者には、信じられないものがある。
あの頃の大宮駅西口って、何もなかったというだけでなく、何か、歩くのがこわいような、そんな感じさえあった。
その頃の大宮駅西口をめぐって、妙に憶えていることがある。
入社何年目だったか。たぶん、まだ2年目くらいだったと思う。
大学オケ同期のホルンのKが遊びに来た。確か寮に泊まっていったと思うが、滞在中のある日、大宮駅西口で昼飯を食べた。
友人が遊びに来たということだから、週末の休日のことだ。
大宮駅西口すぐそばの、どちらかと言えばきたない飯屋に入った。
店の一角の棚に乗せられたテレビで、プロ野球をやっていた。テレビでやっているということは、もちろん巨人戦だ。
で、どことの対戦かは憶えていないのだが、バッターボックスにピッチャーが入った。確か、新浦だったと思う。
その時に、Kが、「こういう時のピッチャーってさ、ヒット打とうと思って打席に入るのかなあ」と言った。
このことだけを、何故か鮮明に憶えているのだ。
その滞在中に、Kとどういうふうに過ごしたのか、憶えていない。
その店の場所も憶えていない(たぶん、今はもうないだろうから、というのもあるが)。
どうしてその店に行ったのか、自分が行ったことがあったからか、憶えていない。
それなのに、店の中の様子と、その、Kの発言だけを、妙に忘れずにいるのだ。
前後のつながりなどはすべて忘れていながら、ある局部的な記憶だけが消えない。
人間の記憶というのは、面白いものだと思う。
人間の記憶というのは、面白いものだと思う。