naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

ACジャパンのCMについての誤解

今、テレビ各局で頻繁に流れている、ACジャパン(旧公共広告機構)のCM。

仁科亜季子母娘。金子みすヾ。イビチャ・オシム。妊婦に電車の席を譲ったりする心づかいの話。

同じCMが何度も何度も流れることについて、昨日何気なく記事に書いたら、canser2525さんから、mixiニュースでも話題になっていると、コメントをいただいた。

調べてみたら。

ACジャパンに、しつこい、不快感がある、内容がそぐわないなどの抗議の電話が殺到しているのだそうだ。

デイリースポーツのネットニュース記事によると、これらの社会啓発的なCMは、放送局や新聞社など加盟社の会費で制作されており、今回、これだけ大量に流されても、ACジャパンから放送局に、CM料は一切入らないのだそうだ。

私は、このことはまったく知らなかった。

今、民間企業は、自社の被災復興に金がかかって、広告宣伝費を削らなければならないので、予定のCMの放映を中止したか、金銭的な事情はなくとも、この重苦しい状況に配慮して、自粛したのか、と私は想像していた。
これ自体ははずれてはいないかもしれない。

そして、そんな中、放送局としてはCM料収入がなければ、災害特番も維持できないので、そこでACジャパンが代わって、その分のCM料を払っているものだと思っていた。

しかし、それはまったくの誤解だったのだ。

そうだったんだ・・・。

ACジャパンのサイトには、「お詫びとお知らせ」と題した文章が掲載されている。

それによれば、ACジャパンが制作したCM(広告素材)は、会員社である放送各局に対して提供し、放送局の判断で必要と思われた場合に使ってもらうものなのだそうだ。

となると、今回、各局が大量のCMを流しているのは、放送局側の判断ということになる。

それなのに、ACジャパンに対して抗議がなされるのは、まったく筋違いな話だ。

私同様、今回の大量放映に伴って、CM料が動いていると誤解している人はいるようで、「そんなCMに税金を使うなら、少しでも被災地にまわせ」という抗議もあったそうだ。

本来は、ACジャパンが謝罪すべき問題ではない。ACジャパンは、広告素材を提供しただけで、それを使ったのは放送局なのだから。

ただ、話の内容からは、誤解する人がいるのも無理からぬ面はあるかもしれない。広告主として名前を出している以上、抗議は甘受するのが、立場というものか。

ACジャパンでは、CMの最後に流れるサウンド・ロゴを削除するとともに、被災者応援のための臨時CMを制作しているとのこと。

そこまでしてくれているのなら、ACジャパンをこれ以上非難すべきではないだろう。

ひるがえって、今回の件では、放送局側は何かコメントしてしかるべきかもしれない。

どんなにうなずける内容のすばらしいCMであっても、これだけ繰り返し繰り返し観せられたら、食傷するのは当然だ。

こういう状況であり、各局とも非常態勢で連日連夜の報道にあたっているのだから、CMについては二の次になることは理解できる。

しかし、数種類のCMをとっかえひっかえ繰り返し流し続けることそれ自体は、やはりセンスに欠ける面があると言えるだろう。「芸がない」という印象になってしまうのだ。

これが、CM料確保の観点から、所定枠のCMを流す必要がどうしてもあり、そこで流せる広告素材が、ACジャパンの限定された数種類しかないとするなら、こうなるのもやむを得ないかもしれない。

しかし、CM料が一切動いていないとなると、どうだろう。

そもそも、これだけのCMを流す必要そのものがあるのだろうか、という疑問に突き当たる。

キャスター、アナウンサーや、放映スタッフの休憩のためなんだろうか。そうなのかもしれない。何か、放送上の事情があるのだろう。

それならそれを否定するものではないから、今回の件、小さくない反響がある現在、ACジャパンだけが謝罪するのでなく、放送局として、何かの説明(別に謝罪でなくていいのだ)があるといいように思う。

私が目で見ていないだけで、既に行われていたら申し訳ないと思う。