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母に見せたかった「とと姉ちゃん」だが

母は、朝の連続テレビ小説を、欠かさず観ていた。

亡くなったのが、2009年の10月3日だったから、この年上期の、多部未華子主演の「つばさ」は、たぶん最後まで観たかと思う。

以後、母が生きた時代を描いた作品、例えば、「ゲゲゲの女房」や「カーネーション」などが放映されるにつけ、母に見せたかったと思うことが時々あった。

今、放映中の「とと姉ちゃん」は、その最たるものだ。

何しろ、母が愛読していた「暮しの手帖」の大橋鎭子氏をモデルにしているのだから。

母が生きていたら、さぞかし喜んで観ただろう、と残念に思いつつ、母に代わって、同じく「暮しの手帖」ファンだった私は、熱心に観ている。

母が喜んだだろうと思うポイントは、いくつもある。それは、子である私自身が好ましく思っているポイントでもある。

まず、主演の高畑充希が、いかにも昭和の時代を生きた女性のイメージにふさわしく、感じが良いこと(母親役の木村多江よりも、昭和の匂いを感じさせる)。

あるいは、番組冒頭のタイトルに出てくる台所の映像が、その昔、「暮しの手帖」の表紙や紙面を飾っていた、当時の台所のイメージそのままであること。

他にもたくさんあるが、そうしたプラスのポイントを列挙するのが、ここでの目的ではない。

母がどう思ったかなあ、と思う懸念が一つあるのだ。

宇多田ヒカルの主題歌、「花束を君に」のことだ。

宇多田ヒカルが世に出てきた、1999年頃だったと思う。木更津の実家に帰った時に、母が、「あんた、宇多田ヒカルってどう思う?」と私に尋ねた。

同じ、若手の女性ポップスシンガーとしては、その3、4年前から、安室奈美恵がブレイクしていた。私としては、安室奈美恵に勝るとも劣らない、もしくはその上を行く新人が出てきた、と思っていたので、「安室奈美恵もすごいけど、上には上がいると思う」と答えた。

すると、母は、「あたしは嫌いなんだよ」と言った。

聞けば、宇多田ヒカルの歌そのものが、ということでなく、ラジオ番組などでのしゃべり方が乱暴で、母には容認できないと言うのだった。

以後、宇多田ヒカルについて、母と特段の会話をかわしたことはないので、その後、見方や評価が変わったかどうか、今となってはわからない。

毎回の放送で、「花束を君に」を聴くたびに、もし母がこのドラマを観たら、喜んだだろうけど、もしかすると、「何だって、よりにもよって、宇多田ヒカルが主題歌を歌っているのか」と、この点だけは苦々しく感じるのかもしれないな、と思うのである。

※過去の関連記事
    「とと姉ちゃん」、暮しの手帖
       http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/65244455.html
    「とと姉ちゃん」木更津でロケ?
       http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/65261762.html