naokichiオムニバス

66歳会社員。ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

新国立劇場「ニーベルングの指環」第3日「神々の黄昏」

2015年にスタートした、新国立劇場の「リング」(ゲッツ・フリードリヒ演出)も、いよいよ最終作「神々の黄昏」。

ワーグナーの他の諸作に比べてまったく不勉強なこの大作、この貴重な機会に、ともかくも実演にふれてしまいたい、との思いから、毎回にわか勉強を重ねながら足を運んできたが、そんな私にとってもめでたくフィナーレ、大団円である。

   ラインの黄金  2015年10月10日(土) 2階1列16番
   ワルキューレ  2016年10月15日(土) 2階1列39番
   ジークフリート  2017年6月10日(土) 2階2列26番
   神々の黄昏   2017年10月14日(土) 1階10列3番

指揮は一貫して、新国立劇場オペラ芸術監督の飯守泰次郎氏だが、オケは、最初の2作が東京フィル、以後、東京交響楽団、読売日響と交代してきた。このような大プロジェクトだから相当前から計画されたものと思うが、それでも同じオケを押さえることが難しかったのだろうか。

あいにくの雨模様の中、家を出て東京へ向かう。

初台駅ホームで。「眠りの森の美女」のワルツ。

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新国立劇場に到着。「リング」完走間近、第4コーナーをまわった、という感じで、いつも以上にワクワクする。

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入口で配られたペーパー。

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休憩含めて5時間55分! 前回の「ジークフリート」が5時間40分だったから、それより長い。序幕分が長いんだな。
これまで色々オペラを観賞、鑑賞してきたが、これが最長記録になる。

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通常、この劇場に来る時には、オケピットが見下ろせる2階席を買うのだが、たまにはと思い、今回は1階席にした。下手側の端。

オケ仲間のHさんにFacebook上で勧められていたので、ホワイエでクッションを借りた。500円。

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開演。

1階だと、指揮者が出てくるのが見えない。場内に拍手は沸いてても、指揮台に立つまでは見えない。

しかし、序幕+1幕でジャスト2時間というのは、ほんとに長いねえ。よく、オペラのひと幕を指して、古典派のシンフォニー1曲分などと言うが、これだと、あの長いマーラーの3番がすっぽり入ってしまうんだからすごい。って言うより、オーケストラコンサートほぼ一つ分だもんね。

始まって、字幕の位置がちょっと遠いことに気づいた。下手側の字幕は、私の席からだと2階席が一部かぶって見えない。上手側を見るしかないのだが、これはステージからは距離があるので、字幕とステージを行ったり来たりしながら見ることになる。やはり、2階席であれば、すべてが視野に納まるので、そっちの方がいいな。

序幕、1幕は眠かった。しばしば落ちた。

ワーグナーの叙事的語りというのは長いな、やっぱり。その件は前に観て知ってるんだけど、と思うことが延々と説明される。何でだろうね。そういう音楽を書きたかったんだろうけど、つきあうこちらは大変だ。

私の眠気は、ブリュンヒルデのところをヴァルトラウテが訪ねてくるあたりから少し上向き、ジークフリートの登場から持ち直した。

タイムテーブル通り、16時前、1幕終了。

2時間、座ったままで音楽を聴いたことってこれまでなかった。それは皆さん同じのようで、一斉に席を立って出て行った。ともかく立ちたい、もうこれ以上座っていられないってことだろう。

休憩は45分。

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もっと眠くなるかも、と思いつつビール(笑)。正面に赤いデジタル数字が見えるが、これ、休憩の残り時間なんだ。これまで気がつかなかった。27分。

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2幕は、動きがあるので、飲んだにも拘わらず、眠くなることなく、以後、全曲の終わりまで過ごすことができた。

2幕、見応えがあったなあ。

しばしば思うことだが、この作品に限らず、ワーグナーのオペラは男声中心だ。男同士のやりとりが多い。2幕を観ながらそう思った。登場人物としては、「神々の黄昏」は女性も多いんだけど。

あと、この長大な四部作の中で、合唱が出てくるのは「神々の黄昏」だけだが、その点が物足りない。「マイスタージンガー」などが、合唱をとても効果的に使っているのに比べると、「オペラは合唱がなければ」と思っている私にとっては、さみしい。

タイムテーブル通り、18時前、2幕終了。

休憩は35分。

再度のビール。軽食を何か、と思い、ソーセージが売り切れていたので、ロール寿司。

外はもう暗い。

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さて、大詰め3幕。引き込まれて観るだけだった。

それにしても、ブリュンヒルデって、「ワルキューレ」からこの「神々の黄昏」まで、一貫して「かわいそうな女性」だなあ。

父ヴォータンからの仕打ちに始まり、神性を奪われてかよわい女性になってしまい、ジークフリートとの間の愛情しかよりどころがなくなったのに、そのジークフリートに裏切られてしまう。さっきもらったばかりの指環を、当のジークフリートから無理矢理奪われてしまうなんて。

もっとも、ジークフリートも、かわいそうではある。ハーゲンに2回飲まされた薬に動かされているだけなのだから。

終幕、ブリュンヒルデを演じたペトラ・ラングの歌が、ともかく圧巻。すごかったなー。私には、ジークフリート始め、他の出演者がかすんでしまうように思えた。

全曲の最後は、2年越しの四部作の最後でもある。

トリスタンとイゾルデ」と同じ、DesDurの和音。もうちょっと長く伸ばして、浸らせてほしかった。

その和音が消えた後、しばらく沈黙の間があってから、拍手。これはよかった。まあ、そういう音楽、そういう演奏だったんだけど。

カーテンコールでは、ブリュンヒルデジークフリート、ハーゲンにとりわけ大きな拍手と歓声。私も立ち上がって拍手を送った。

四部作、とうとう全部実演で観た、という大きな達成感が残った。

4作目にして初めての読売日響。Facebook上では、既にこの公演を聴いた方々から、毀誉褒貶両論の評価が書き込まれていたが、私としては特に申し分がないと感じた。
(休憩の時に、ホワイエでたまたま隣に座った男性2人の会話が耳に入ってきた。飯守さんの指揮には強弱の差がなく、あれでは歌手も大変だろう、と話していた)

各種の動機をもっとおぼえたら、より楽しめるんだろう、と思った。昔出ていたショルティの全曲盤には、ライトモティーフ集がついていたものだが。

初めて接する「リング」なので、演出については何も言えないのだが、フリードリヒの演出は、正直なところ、私にはちょっとピンとこないものだった。機会があれば、また別のプロダクションの「リング」を観てみたい。