「TIME MACHINE TOUR」と称する今回のツアーは、ベストアルバム的な選曲によると漏れ聞いていた。久しぶりに行こうと思ったのも、それが理由の一つだ。最近の新しい曲は知らないので。
18:27、開演。
冒頭は、「ベルベット・イースター」。
なるほど、ファースト・アルバムからスタートか。ユーミンのピアノの弾き語りだが、結果として、弾き語りはこの1曲だけだった。
円形のセンターステージの円周部に、バンドとコーラスが配置されている。
2曲目、「Happy Birthday to You~ヴィーナスの誕生」で、フラッシュライト「フリフラ」が発光。以後、都合9曲でこれが使われた。
この曲では、象が登場。これは作り物のようだが、昔、本物の象がステージに出たと話題になったのを思い出した。
白いワンピースに衣装替えして、「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ」。
この後のMCで、今回のツアーは、ベストアルバムに合わせた内容にしたこと、これまでのショーを新しく組み立てなおす作業をしたことが話された。
「色々な時代の私をお楽しみ下さい」。
「輪舞曲」で、和服風の衣装にチェンジ。
過去のツアーでの演出を再現する場面がいくつもあった。
象は「OLIVE」ツアーの再現だそうだ。
「春よ、来い」での長崎くんちの龍みたいなのは、同じ武道館で観たのをおぼえている。
この曲は、3月のこの時期にはちょうどぴったりだ。
次の衣装替えは、「Cowgirl Blues」。ウエスタンスタイルの衣装。
さらに「セシルの週末」では、ミニワンピース。
MCによると、どういう衣装を選ぶかは、ユーミンにとってとても大切なことなのだそうだ。
「月曜日のロボット」での、女性がたくさん並んで座って、足を組み替える演出も、おぼえている。あれもこの武道館で観たんだったと思うが、その時は、確か最前列かそれに近いかぶりつきの席だった。
「不思議な体験」では、光る宇宙服のような衣装。
「Nobody Else」での宙乗りの演出は、シャングリラだ。
「ESPER」(この曲、懐かしい!)では、白い帽子とパンツスーツ。
「45年のタイムトラベルはいかがでしたか?」とのMCから、「COBALT HOUR」、「宇宙図書館」と2曲歌われて、20:53、本編終了。
20:55、アンコール。
衣装は、マリンルック。ともかく、多種多様な衣装だ。
「カンナ8号線」、「DESTINY」。往年のアンコール定番だったが、今回のツアーだからこれをここに持ってきたのか、その後もずっとそうなのか・・・?
一旦、全員がステージからはけたが、すぐユーミンが戻ってきた。
「最終日なので、ちょっと長く話します」。
14歳で歌を書き始めて、19歳でアルバムを出した時の話から。歌を書き始めた当時は、自分で歌うことは考えていなかったとのこと。
今日まで38枚のオリジナルアルバムを出してきたことが、自分の誇りであることと、今の夢は「続けること」だと、しめくくられた。
「一緒に歌って下さい」と、最後に「やさしさに包まれたなら」。
21:26、終演。
久しぶりのユーミンのライブ、本当に堪能した。
1曲1曲、大変聴きごたえ、見ごたえがあるパフォーマンスだった。
ユーミンは、MCの中で、自分のライブのことを「ショー」と呼ぶ。
思ってみれば、自分のステージを「ショー」と自称できるというのは、なかなかないことだと思うが、ユーミンの場合は、まさにそれにふさわしいと思わせるものがある。
久しぶりに観て、ヴィジュアル効果、演出は相変わらずさすがだと思ったし、ダンスも若々しくエネルギッシュだった。
ユーミン、既に65歳だが、いささかの衰えもないと驚かされた。
その昔、つまり20年以上前に、例えば「LOVE WARS」などのド派手なステージを観ていて、この人は、何歳までこういうライブを続けられるんだろう、と思ったのを覚えている。
40代も後半になったら、小さなライブ会場で、アコースティックな弾き語りのスタイルでやるようにすれば、相当な年齢まで現役でできるのではないか、などと勝手なことを思ったりしていたものだ。
それが、40代どころか60代半ば、まさに相当な年齢に至ってなお、あの頃と変わらぬパフォーマンスを見せてくれるとは。
いやはや、恐れ入りました。
まあ、ポール(・マッカートニー)もいまだワールドツアーをやってるわけだし、小田(和正)さんやジュリーも、70になってまだがんばってるしね。
アンコール前のMCでは、こんな話があった。
「今回、こんなツアーをやってしまったから、これで引退か、と思う人もいるでしょうが、私はまだまだこんなもんじゃ終わりませんよ! (場内、拍手) まだ聴いてほしい、見てほしいアイデアがたくさんあります。次のツアーでお会いしましょう!」。
そうですか。まだまだ、なんですね。
近い内に、またユーミンのショーに来よう。
最後に。
これは昔から思っていて、今回のライブで改めて痛感したが、やっぱりユーミンは「天才」だ。詩も曲も。
日本のポップス界で、「天才」の名に値するのは、やっぱりこの人を置いていないのではないか。
桑田(佳祐)さんにも才気を感じるが、ドンピシャ天才」と言ったら、やっぱりユーミンかな。
小田さんについては、天才、というイメージはあてはまらないように思う。