naokichiオムニバス

66歳会社員。ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

クァルテット・エクセルシオ ベートーヴェン弦楽四重奏全曲チクルス第5回

24日(水)、クァルテット・エクセルシオベートーヴェン全曲チクルス、最終回に行ってきた。

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ベートーヴェン生誕250年記念 弦楽四重奏全曲チクルス 第5回

日 時 2021年3月24日(木) 18:30開場 19:00開演
会 場 J:COM浦安音楽ホール コンサートホール
演 奏 クァルテット・エクセルシオ
曲 目 ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調
    ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第15番イ短調

 

   ◎チクルス経過

       第1回 2020年10月14日(水)
          第11番「セリオーソ」
          第9番「ラズモフスキー第3番」
          第12番

       第2回 2020年12月16日(水)
          第10番「ハープ」
          第8番「ラズモフスキー第2番」
          第16番

       第3回 2021年1月13日(火)
          第7番「ラズモフスキー第1番」
          大フーガ
          第13番

       第4回 2021年2月6日(土)
          第1番
          第2番
          第3番
          第4番
          第5番
          第6番

 

セット券を購入しての5回の演奏会、めでたく皆勤である。

5回目となる1階F列12番に座った。

コロナ禍にあって、入場者は定員の半分、150人。ただ、席の間引きはない。

 

14番と15番。最終回にふさわしい、チクルスの白眉と言うべきプログラムである。

 

14番。

 

緻密な演奏と感じた。まったく申し分のない、力強い演奏だった。

 

すべての楽章がすばらしかったが、この作品の核心が、中央に位置する第4楽章にあることを、改めて強く感じさせられた。

 

また、つくづく思ったのが、ベートーヴェンという人のピツィカートの使い方の巧さ。この上なく効果的だ。第4楽章と第5楽章。

 

スメタナ四重奏団のレコードで初めて聴いた大学時代から感じていることだが、この作品は、これでもか、これでもかと言わんばかりに、「新しいこと」が次々に繰り出されてくる。例を挙げれば、第4楽章の変奏の果ての眩暈のするようなトリル、第5楽章のピツィカートの後のスル・ポンティチェロ、第7楽章の大詰めのオクターブ和音とか。これは、と驚いているそばから、またそれより大きな驚きが待っている連続だ。

 

そして、と言うべきか、しかし、と言うべきか、そんな斬新さの波状攻撃を繰り出しながら、「どこまでもベートーヴェンの音楽」なのだ。あくまでもベートーヴェンの音楽。曲の最初から最後まで聴きながら常にそのことを忘れることがない。この作品の一番のすごさはそこにあると思う。

 

ベートーヴェン弦楽四重奏曲創作の到達点は、やはりこの14番ということになるのか、と思いながら聴いた。

 

クァルテット・エクセルシオ、いつものように4人ともすばらしかったが、この日のこの作品については、ファースト・ヴァイオリンとヴィオラの存在が特に際立っていたと思う。

 

15番。

 

第1楽章が始まって、やっぱり14番に比べると気楽に聴けるな、と思った。

 

どちらも後期の最高傑作であって、適切な表現ではないかもしれない。

14番が決して息が詰まるだけの、愉しさがない音楽というわけではない。

15番だってすごい音楽だ。

ただあくまで比較の問題ではあるが、15番は「弦楽四重奏を聴いている」という感覚で聴けるな、と思ったのだ。

 

そんな感覚で、第1楽章、第2楽章と時が進んだ。

 

そして、第3楽章に至った。14番同様、全曲の中央にあるこの楽章が核心だと思わされながら聴いた。

改めて、何と言う清澄な音楽だろう、と思う。聴いている自分の体内に何かが染み入り、洗われているような生理的反応がある。

セカンド・ヴァイオリンがとてもすばらしかった。

14番の第1楽章と似たところがある音楽だと改めて思ったが、あちらは全曲の前奏曲的なポジションにある。それに比べるとこちらの「存在の仕方」の重みは上だ。

楽章の終盤、「病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」が、さらに力強さを増していき、「強く生きていくのだ」とでも言うような「決意」に至ったように感じられ、心を揺さぶられた。

 

第3楽章、完璧な演奏だったと思う。

 

第4楽章を聴いていて、オペラのレシタティーヴォみたいだな、と思った。切れ目なく続く第5楽章は、メランコリックなアリアのように聞こえた。

 

第5楽章は力演。全17曲演奏の掉尾を飾る、実に情熱的な締めくくりだった。

 

最終回にふさわしい選曲であり、演奏だったと思う。

 

最終回であり、何かアンコールがあるかと思ったが、なかった。アンコールなど要らない、充実した時間だった。

 

5回にわたって、ベートーヴェン全曲を聴くことができた。これまで、ほとんどの曲は数々の機会に聴いてきた。このチクルスで初めて実演を聴いた曲はあっただろうか。記憶がはっきりしないが、3番、5番、6番あたりは初めてだったかもしれない。

しかしともかく、こうして短期間に全曲をまとめて聴くのは初めてで、それもクァルテット・エクセルシオのような旬の四重奏団のきびきびとした演奏で一貫して聴けたのは大変よかった。

 

クァルテット・エクセルシオベートーヴェン以外のレパートリーも広い団体であり、J:COM浦安音楽ホールのレジデンシャル・アーティストでもある。これからも聴いていきたい。

 

市原に住む従兄が来聴していたので、京葉線に乗って一緒に帰った。

 

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