naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

2022.6.12 小田和正朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター公演<3>

久々のツアー、初参戦ということで、セットリストも初めてのものだが、諸々気がついたことを書いておく。

 

1曲目が何か。

これまで原則的には、ツアー前にリリースされた最新曲が多い。その意味からは「so far so good」だが、違うような気がしていた。その前の「こんど、君と」は、ツアータイトル曲なので、1曲目はないだろう。とすると、さらにその前の「風を待って」が、曲調からしても向くかな、と何となく予想していたのだが、当たった。

 

予想の当たり外れは別にして、小田さんの生の歌声を聴いただけで涙が出る思いだった。
私個人は、9ヶ月前、昨年9月に横浜で小田さんのライブにはふれている。

 

   SOUND ALIVE presents 横浜合同演奏会2021
      https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/09/25/181234

 

しかし、小田さん単独のツアーの重みには段違いのものがある。
今年74歳になろうという中、これだけの規模のツアーを組んでくれて、とにかくこうしていつものように歌ってくれている、ということの重みである。

この1曲目は冷静に聴けなかった。

 

すべての曲の最初に、曲名とリリース年がビジョンに出た。
例えば「風を待って (アンダーラインがあってその下に) 2021」。
これは従前のツアーではなかった演出だ。

 

「愛を止めないで」には弦が参加しない。弦の4人はコーラスで参加。全24曲で、弦が参加しなかったのはこの曲だけだったと思う。

 

3曲歌ってのMC。以前から始めたラジオ体操を、初めて楽屋でなく外でやったという話。昨日は外に出たら夏っぽい感じだったので夏の曲をやったが、今日はそうでもなかったので春っぽい曲をやります、と「Re」。
(夏の曲とは何だったんだろう、とネットであたったところでは、どうやら「夏の日」だったらしい)

 

ステージ、花道のすぐそばなので、黒いTシャツを着たたくさんのスタッフがあわただしく動いているのがよく見える。ビジョンに映す映像のカメラを持って移動したり、ケーブル類をその都度さばいたり。演奏中に、ステージ上手脇でギターをチューニングしているスタッフも見た。大きな音の中でチューニングができるものなんだろうか。

 

5曲終わったところで、グランドピアノが上がって、小田さんが座る。ヤマハのようだった。

 

MC。昨日は自分の歌なんだけど、歌っていて迫ってくるものがあった。それを悲しいとも幸せとも思わなかったが、というような話だった。
(具体的な説明はなかったが、これもネットであたったところ、「こんど、君に」を歌い直した場面があったらしい)

 

昔の歌を、と「水曜日の午後」が歌われたのが嬉しかった。この曲は好きなのだが、私が接したオフコースのライブでは聴いたことがない。ソロになってからは2011年のツアーで一度聴いたが、ピアノと栗尾(直樹)さんのキーボードでのスタイルは初めてだ。
ビジョンに「初めて(ギターでなく)ピアノで作った曲です」と出た。

 

次の「言葉にできない」は、当然やらないはずがない曲だが、びっくりしたのはオフコースオリジナルのアレンジだったことだ。通常は小田さんがピアノ弾き語りで、イントロなしで歌い始めて、途中からバンドが加わる。それが今回は、稲葉(政裕)さんがあのト長調エレキギターのイントロを弾き始めたので驚いた。この曲では稲葉さんは珍しく椅子に座って演奏していた。
ちょうど40年前、1982年6月30日の武道館。ひまわりの映像をバックに小田さんが声をつまらせた、オフコース5人での最後のステージ。その後、4人のオフコース時代、この曲はずっと歌われないままだった。1989年2月26日の解散の東京ドームで久しぶりに歌われたが、確かその時も、オリジナルアレンジではなかったと記憶する。
松尾(一彦)さんが吹いたハーモニカのパートは栗尾さんがキーボードで弾いたが、途中で音色が変わった。本来そういう設定だったのか、機材トラブルなのか。次回、札幌で確かめたい。

 

「たしかなこと」「キラキラ」と、定番曲が続いて、9曲終わったところで小田さんとバンドがはけて「御当地紀行」に移った。

前回のツアーだと、「御当地」の前には12曲あるいは13曲演奏していたので、やはり少ない。

 

照明の感じがちょっと変わったかな、という印象を受けた。スタンド席から見ていないので正確なところはわからないが、構図がはっきりした、原色をぶつけ合う感じのものが多かったように思う。記憶では、オフコースの1985年のツアーの照明が似た感じだったように思う。

 

コロナ禍のツアーにあって、「御当地」がどうなるかは関心事だった。「御当地」自体はあったが、内容は違った。過去のツアーでの北陸圏の「御当地」のダイジェストで始まった。そして、後半はイベンターのキョードー北陸の人と、新発田市の五十公野(いじみの)公園(ダイジェストの中にも出てきた)、新潟市白山神社を訪れる内容だった。
つまり、街を歩いてふれあう内容の撮影は見送り、イベンターとの撮影に限定したということだ。
おそらくこれは今後も続くのだろう。

 

「御当地」明け、最初は「so far so good」。後半の幕開けには絶好の選曲だと思った。2014年のツアーでこのポジションだった「愛になる」に通じるものを感じた。

 

「やさしい雨」では、2011年のツアーでこの曲が歌われた時と同じく、キラキラ光る紙吹雪の雨が降った。バルーン投入を見送った分、こういう演出がとりいれられたように思った。

 

日頃、クラシックの演奏会では私は1階席を選ばない。オーケストラなどでは1階席だと奥の管楽器奏者がよく見えなかったりするからだ。
今回のアリーナ2列目はそれと似ていて、木村(万作)さんがよく見えなかった。弦の4人も、堀沢さんと金原(千恵子)さんにはさまれる形で、吉田(翔平)さん、徳高さんが見えなかった。
もちろんこれはぜいたくな話であり、ビジョン映像でも補って観られるのでいいのだが。

 

「Yes-No」で珍しかったのは、通常マイクを持って花道を動き回る小田さんが、ギターを持ってステージ中央のマイクで歌ったこと。

 

ラブ・ストーリー」は、バンドがエンディングに行ったのと小田さんのヴォーカルが合わないミス。

 

前週の福島と、この新潟は、ニュー・アルバム発売前の公演である。もっとも、収録される9曲は、どれも何かの形では既に耳にする機会が持てた。
そんな中、私は「ナカマ」を初めて聴いた。「ガイアの夜明け」のエンディングテーマであるこの曲を、その番組で事前チェックしていなかったからだ。
聴きごたえのある曲だと思った。

 

「生まれ来る子供たちのために」では、ピアノの弾き語りからバンドが加わる進行だが、稲葉さんはギターを持たずコーラスのみ。
この曲のコーダ部分で、ヴィオラがすごく力強い音を出したように感じた。これまでこの曲でこういう音を聴いたことはなかったが、聞き間違いかもしれないので、札幌で確認したい。

 

ツアータイトルの「こんど、君と」をこのバンドの演奏で聴くのはもちろん初めてだが、とても良い演奏だと思った。

 

「君住む街へ」で本編が終わり、1回目アンコールでは、ツアーTシャツに着替えた全員がまずステージ前面に横1列で立ってお辞儀をした後、ポジションに戻って「またたく星に願いを」。

 

2回目のアンコール前、少なくとも、再度のメンバー紹介を伴う曲は何かやるはずだと思った。

(本編最後の「君住む街へ」でそれがあってもよかった雰囲気だったが、なかった)

それにふさわしい、また私が一番聴きたい曲の一つである「hello hello」をやってくれて嬉しかった。
前回以前は、イントロ最初は栗尾さんのキーボードの延ばしで始まったが、今回は弦の延ばしだった。

 

最後の最後、「また会える日まで」は、冒頭のコーラスアレンジが少し変わったか。

 

弦の4人が楽器を持ってはければ終演。
オープニング同様、アニメでなく「御当地」やこれまでの各ツアーの映像や写真が映し出された。ツアースケジュールがエンドロールのように流れる。追加公演として発表された神戸は出てこなかった。

最後にタイトル曲の歌詞である「もう少し この先へ」の文字が出て終わった。

 

ふりかえると、ニューアルバムが出るとは言うものの、純粋な新曲は少ないこともあり、全体には定番曲で構成されたライブだった印象がある。古い曲で珍しかったのは「水曜日の午後」だけだったし。
新鮮味がないと言えば言えるが、むしろそこが嬉しくもある。
久しぶりに訪れた懐かしい街で、歳はとったが今も営業している店主の変わらぬメニューを食べた、というような。

 

さて、単独コンサートとしては3年ぶりに聴いた小田さんのパフォーマンスはどうだったか。
演奏上のミスのようなものはいくつかあった。これは前からのことで、変わっていないとも言える。
ただ、ステージ、花道に近い席で、間近に小田さんを見た印象としては、やっぱり見える姿は70半ばになろうという老人だなあ、と感じた。花道を歩く様子を見ても、やはり何年か前の若々しくさっそうとしたところはない。時に走ろうとする場面もあったが、やはり続かないようだった。
仕方がないのかな、とにかくこうして生の歌声を聴かせてもらえるだけで充分、と思ったりする。
ただ、以前にはなかった初めての事象として、最初のメンバー紹介で堀沢さんの名前、そして最後のメンバー紹介で徳高さんの名前が出てこなかったことには、ちょっと驚いた。人の名前が出てこなくなる、というのは? と。

久しぶりに会った人ではない。毎日一緒に仕事をしている仲間なわけだし。ちょっとそこは気になった。次回の札幌ではどうだろうか。

 

規制退場。

外に出る。

万代橋が見えた。

 

買ってきたツアートラックのミニチュアを、会社(A社(西新宿))のデスクに置いた。前回ツアーのものは前から置いてあったのだが、その手前に。

 

さて来月は札幌。このセットリストを聴く2回目となる。楽しみたい。