naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

偏愛…モーツァルト「ポストホルン」

クラシックの作曲家の中で誰が一番好きかと問われれば、迷うことなくモーツァルト
これは昔から自分の中でも決まっていて、あちこちで公言している。

私の人生にとってモーツァルトの作品群は、宝の山である。

好きな曲はいくらでも挙げられるが、ここ何年かで急に好きになり、今では偏愛の域にまで達してしまったのが、セレナーデ第9番「ポストホルン」である。

モーツァルトの機会音楽としては、当然ながら、「アイネ・クライネ」やK136のディヴェルティメントなどの有名曲の方に、古くからなじんでいた。これらの曲は、学生時代から仲間内で演奏したりもしてきた。
その後、色々な曲を知る中で、私が特に好きだったのは、K334のディヴェルティメントである。もちろん今でも好きだ。

そういう鑑賞歴の中で、「ポストホルン」は、割合最近まで私にとってそう印象に残る音楽ではなかった。

しかし、03年の11月に、浦安のオケの定期演奏会でこの曲を演奏する機会を得て、その楽しさにとりつかれ、今ではことあるごとに聴いている。
今も、シャーンドル・ヴェーグの演奏をかけている。

浦安のその時の演奏会は、たまには小ホールで室内楽中心の小さな演奏会をやろうという企画のもとに、
  グノー 9つの管楽器のための小交響曲
  ルーセル ディヴェルティスマン
  R.シュトラウス 13管楽器のためのセレナーデ
  モーツァルト セレナーデ第12番ハ短調「ナハトムジーク」
  モーツァルト セレナーデ第9番ニ長調「ポストホルン」
というプログラムを組んだ。
管楽合奏を並べた後、メインは少し大きめの曲、ということで、弦も入って、「ポストホルン」をやった訳だ。
トランペットのM氏がポストホルンを持っていて、本番ではスタンド・プレイの形でソロをとり、喝采を浴びた。
この時残念だったのは、時間の都合で抜粋演奏(2・5楽章を割愛)となったことだ。
いずれ全曲を演奏する機会があればと思う。

曲の話に戻るが、どれも楽しいモーツァルトの機会音楽の中にあって、私を特にとらえるのは、この曲の持つ「軽やかさ」である。
編成は交響曲並みに大きいのだが、厚ぼったいトゥッティになることはなく、常に響きは軽やかだ。
1楽章の第2主題や展開部、7楽章の第2主題など、薄い響きになる部分が特にそうだ。

とりわけ私がひかれるのは、3楽章と4楽章。この二つの楽章は、さながら木管楽器を主役にした「歌のないオペラ」の趣きで、フルート、オーボエがアリアや重唱のように優美に歌い交わす楽しさは無類である。
木管楽器奏者にとってはこたえられない音楽ではないだろうか。

一方、5楽章のように陰影のある楽章もある。
全7楽章を通して聴くと、その多彩な味わいに、本当に満腹感をおぼえる。
これからも大切に聴いていきたい曲である。

レコードは、あれこれ買い集めて、とっかえひっかえ聴いているが、今のところは、レヴァインウィーン・フィルの演奏が一番気に入っている。