５月場所10日目

正面解説は錣山親方。この人の解説はなかなか光るものがある。それにしても、今日の正面実況の岩佐アナは、何か妙に終始嬉しそうだった。

嘉風は高見盛に対して、攻めは悪くなかったが、高見盛に左右からすくうように入られた。
さすがに高見盛は右を差すと強い。

豊真将は、十文字戦、今日も低い攻めが生きた。ぶれない相撲ぶりが好ましい。

片山の栃乃花戦の攻めも光った。

北桜は、四つ相撲、それも右四つに持ち込んだものの、後ろにスペースがない状態で、呼び込むような投げを打ったのが悪く、岩木山に寄られた。
岩木山という人は、案外器用さを見せることがある。
見ごたえのある一番だった。

調子の波に乗ってきた北勝力は、今日はもろ手突きに行ったのが失敗。白露山に二本差された。白露山は腕力が強いだけでなく、今日はここから相手の上手を切るうまさも見せた。

把瑠都の今日の相手は普天王。朝青龍にも勝ったことがある実力者だけに、そうはいかんだろうと見ていたが、驚いた相撲になった。
普天王は立ち合い鋭く出て、把瑠都の脇の甘さを突いて素早く二本差し。
これは力関係から言っても普天王のものかと思った瞬間、把瑠都左からの強烈なつきおとしに普天王は吹っ飛んだ。
馬力だけの相撲と言ってしまえそうな一番ではあるが、放送でも言われていたように、相撲の流れの中で、次の動きが俊敏だ。これは非凡な資質かもしれない。

朝赤龍は、今日も立ち合いからいい流れの相撲。朝赤龍ペースの充実した取り口だったが、琴奨菊も力をつけている。右から絞って上手をさぐる形でよくねばった。
朝赤龍が右からの上手投げで勝負をつけにきたが、その瞬間に右上手に手がかかったことで、残せたし、投げを打ち返すこともできた。
非常に見ごたえのあるいい相撲だった。

そこへ行くと、稀勢の里は、今日も攻めの甘さが出て４連敗。
立ち合いから前に出て左を差したのはいいが、今日もちゃんと形が作れないまま、まわしをとらずに出た。
これでは旭天鵬の懐の深さにやられてしまう。
今場所の稀勢の里は、力がついたと感じさせる相撲をとっていたが、すっかり先場所までの芸がない相撲に戻ってしまった感じだ。

昨日負け越した安馬が２勝目。
立ち合いいい当たりで前に出た。外四つの形になってしまい、苦しいかとも思ったが、左右からの引きつけが強かったのでもちこたえられた。垣添も、日頃もろざしになることはめったにないせいか、この体勢から深く差して寄るということをしなかった。
これが幸いし、最後は安馬が引きつけての寄り。

１敗の雅山は、立ち合いに左足が流れてはっとしたが、若の里が今場所は元気がないだけに問題はなかった。
雅山の突っ張りは今日もよかった。

魁皇は、制限時間一杯の前に、胸を押さえていたが、取組後の放送での話では、昨日の豪風戦で傷めたらしい。
それがあってか、今日は変化すると最初から決めていたようだ。時天空をいきなりはたきにいって、ともかくも勝ち越し。

千代大海は、過去７戦負けなしの安美錦戦。一方的な突きで安美錦に何もさせなかった。
千代大海の場合、ここへきて相撲内容はすっかりよくなった。乗ってきている。

旭鷲山が琴欧州を注文相撲でごまかして勝ち越し。
琴欧州は、身長差があるのだから、再三書いているように、立ち合いがちっとつかまえにいくべきだ。
何もこの旭鷲山に、立ち合い相手を見ずに突っ込むことはないのだ。
旭鷲山にしてみれば、ねらいがまんまと当たった一番。

白鵬は、報道によれば、顔の腫れで苦しんでいるとのこと。だとすると、ここ数日の相撲も納得がいく。
琴光喜に二本差されれば危ない場面もあるかと思っていたが、終始右四つの相撲。
万全とまでは言えないが、充分な相撲で１敗を守った。問題なし。

１敗３人は白星を重ねた。
明日は千代大海と雅山が対戦する。
当然突き合う相撲になるだろうが、今場所の状態からすると、突きの威力は雅山が上回る。
突き合う中で千代大海がはたく場面も予想される。
雅山有利と見る。