５月場所12日目

昨日新入幕で勝ち越した龍皇と２敗の出島。
龍皇が果敢な突きから攻め込み、左から突き落としを見せたが、今場所の出島は、場所終盤にきても動きがしっかりしており、これを食わない。逆に右から突き落として、龍皇の体勢を崩した。
これで出島は２ケタ。

露鵬は、寶智山に今日は会心の左上手投げ。
序盤色々あった露鵬だが、いつの間にか星をあげてきていて、これで勝ち越し。

北勝力と雅山の対戦は、今場所の調子を反映して、突きの威力は北勝力だったが、雅山が左に開いてのはたきでかわした。

普天王と朝赤龍。２敗同士とはいえ、ここまでの内容は少なからず差があると思うが、それが出た相撲となった。
立ち合いいい当たりから攻めたのは朝赤龍。
突き押しで攻め込み、左差し。普天王も左を差して、左四つ。
朝赤龍は、右から厳しくしぼる。普天王は、今場所常にそうだが、左は差せても右上手がとれない。
何とか上手をさぐろうとする普天王だが、朝赤龍はそれを許さないばかりか、普天王の左下手まで切り、勝負を決めた。
相撲の厳しさがまったく違った。朝赤龍はこれで２ケタ。
朝赤龍の今日の相撲は非常に値打ちがあった。今日はこういう相撲を見られてよかったと思わせる一番だった。

高見盛と鶴竜は、互いにいい当たり。
鶴竜は、突き放したかったようだが、高見盛は、左差し、右をのぞかせながら相手に密着、まっすぐ出た。
今日の高見盛は出足の鋭さが光った。
高見盛としては、早々と、という勝ち越し。

豊馬将は、時天空戦、立ち合いに失敗。
立ち合いのタイミングが合わず、豊馬将が早く立ったが、相手が待ったすると思ったか、高かった。
そこを時天空に突かれ、終始時天空ペースの相撲。珍しく頭を押さえられてのはたきに落ちた。
豊馬将としては、自分が早く立ちすぎたので、相手が待ったするかと、一旦気を抜いてしまった。
そこを攻め込まれて、後手にまわったままの相撲。反省すべき一番だ。

豊ノ島は、玉乃島戦で果敢な攻め。右前まわしをとって、寄って出た。
玉乃島はこれを残しながら、土俵際で右小手投げ。
ほぼ同時に落ち、豊ノ島の右膝も結構早く落ちた。
軍配は豊ノ島で、当然の物言い。取り直しが妥当と思ったが、正面九重の説明は｢再確認のための物言い｣で、軍配通り。
疑問の残る判定だった。ケガをおして出場し続ける豊ノ島に同情したか。

琴奨菊と栃煌山は、明徳義塾の先輩後輩の対戦。
栃煌山は、左右からはさみつけるように前に出た。いい攻めだったが、琴奨菊も左を入れて、まずは安心の体勢。
栃煌山が肩すかしにいくところを、琴奨菊がついていった。
地力の差と言ってしまえばそれまでだが、栃煌山に先場所のような愚直さがない。ともかく、引いたのが悪い。これで入門以来初の負け越し。

琴光喜と豪風は、琴光喜が当たって右をのぞかせつつ、一気に出た。
今日の琴光喜は、まわしにこだわらなかったのがよかった。これで先場所に続く２ケタ。
来場所、大関昇進挑戦の資格を得た。

安馬と稀勢の里は、踏み込みは安馬。
突き起こしにいきたかったがはたせず、そこから前にはたいた。
相手との距離のとり方がよかった。
安馬の相撲は、必ずしもほめられないが、一方の稀勢の里の相撲がもっとよくない。
今日の相撲を見ていても、どういうふうにしたいのかがまったくわからない。ただ、表情に気合いをみなぎらせて、身体を動かしているだけだ。
これで３場所連続の負け越し。このままで終わってしまうとはあまりにさみしい。

魁皇と安美錦は、安美錦が立ち合い右にまわって上手をとり、頭をつけて上手投げでふりまわし、後ろにまわった。
これで安美錦は勝ち越し。三賞は確定だろう。あとは三役復帰だ。
それにしても魁皇。得意の左四つなのだから、何とかできなかったのか。

白鵬と琴欧洲は、相四つだけに、変な形になると危ない面もあると思った。
今日の白鵬は、立ち合いすぐ左前まわしに手がかかった。そこから引きつけで出れば理想だったが、琴欧洲充分の上手をとられたからか、そこから投げにいき、上手が切れた。
しかし、小手に巻く形で休まず連続して投げを打って決めた。小手投げを下に打ったのが、セオリー通りでよかった。
白鵬としては、止まらずにあくまで動いたのが勝因。
琴欧洲も、終始後手にまわった格好で、力が出る体勢になる瞬間もあったが、生かせなかった。

朝青龍と千代大海は、普通にとれば、横綱断然有利と予想していたが、千代大海が今場所最高、いや相撲人生最高の相撲をとった。
こんな相撲がとれるのか、と思った。
今日の朝青龍は、立ち合いの当たり、踏み込みがまったくなかった。
一方の千代大海は、これ以上ないいい当たりから、突きでいっぺんに押し込み、朝青龍に立ち直るいとまを与えなかった。
それにしても、今日の千代大海の相撲は、突きの威力を始め、何から何までがよかった。
朝青龍は、安美錦戦については、調子を下ろした相撲だったが、今日の大関戦に関して言えば、相手をなめてかかったわけではない。まともにとった結果の勝敗だったと思う。

全勝　白鵬
２敗　朝青龍、千代大海、琴光喜、朝赤龍、出島

まさか、朝青龍が２つも星を落とすとは予想できなかった。
３日を残して星２つの差がつくとは・・・。
数字の上では、明日にも優勝が決まることになってしまった。
これで、白鵬の横綱昇進は、99％確実。優勝についてもほぼ間違いない情勢となった。

場所前から、柔軟な取組をすると言っていた審判部、14日目に朝青龍＝白鵬戦を組むことになると思う。
審判部の思惑とは逆の展開なのだろうが。