１月場所10日目～琴欧洲、日馬富士痛い３敗目

２敗同士、白馬と北太樹は、立ち合いすぐに左四つ、ちょっと右に動いて上手を先にとった白馬が、右から外掛けに行きながら上手投げで勝ち越し。

豊真将は、光龍の突きに下がらず、左上手をとり、頭もつけて寄り切った。今日はいい相撲だった。
豊真将が攻めの相撲を心がけているのはわかる。相撲が変わってきたとも感じる。しかし、上位定着、三役をめざすなら、立ち合いから｢先に攻める｣相撲を身につける必要があると思う。足りないのはやはりスピードということだろう。立ち合い五分ないしは攻め込まれた体勢からの相撲では、上位戦は苦しい。自分が先に攻める相撲を磨いてほしい。

栃煌山は、左右のぞかせ深く差そうとしたが、玉乃島は、左右からはさみつけるようにして赤房下へ寄り切った。
もろ差しの相撲が栃煌山の持ち味であることはわかるのだが、今日の相撲を観ていると、何かせせこましいというか、縮こまった小さな相撲という感じも受ける。豊真将同様、栃煌山も、これから上位に定着するためには、相撲を変える必要がある。二本差さずに、この人の長所である出足をいかすような相撲を模索してもらいたいと思う。

豊響は、朝赤龍の左への変化に動ずることなく、正面からのいい押しで、青房下へ押し出した。

突いて離れたい玉鷲、まわしをとりたい土佐豊、見ごたえのある攻防となったが、最後は玉鷲が根負け。玉鷲の突きは、やや高いように思った。

２敗同士、安美錦と阿覧は、離れた相撲となったが、安美錦が動き勝って、押し出し。

稀勢の里と垣添は、稀勢の里が立ち合い左を差しながら、垣添にもろ差しを許してしまった。右上手はとったものの、今日も体勢を立て直せない。垣添が低い体勢から寄り切った。
地力に劣る垣添相手に、得意の左を差したのに、勝てないとは、情けないとしか言えない。脇の甘さ、腰の高さ。相撲が甘い。
今場所、相撲が変わったと思わせる内容で、初日から５連勝しながら、まさかの５連敗。大関候補とは言えない。
稀勢の里、栃煌山、豪栄道、若手のホープと言われる力士に共通するのは、負けが混んでくると、急に無気力なところがみえてくることだ。やはり、周囲の期待の声が、自意識につながっているのだろう。
もっと謙虚に、もっと愚直に、たとえ悔しい星を落としても、自分の相撲をとる気力を持ってほしいと思う。

楽しみな鶴竜と豪栄道は、豪栄道が、立ち合い頭で当たってすぐに左への変化。これにはがっかり。私が豪栄道という力士に今一つ肩入れできないのは、こういう相撲が少なくないことだ。
ＮＨＫ正面解説の玉ノ井親方は、はたかれる方が悪いとコメントしていたが、それは相撲をとる立場からの発言だ。今日屈指のこの好取組に、熱戦を期待した相撲ファンを裏切るものであることは間違いない。
観戦者の立場から、はたかれた鶴竜が悪いと見る人は、少なくとも大多数ではないはずだ。さらに言えば、いい相撲だった、という満足感を与える相撲では絶対になかった。

１敗の把瑠都は、過去７戦全勝の豊ノ島との対戦。把瑠都は、立ち合いに右かいなを伸ばしてすばやく上手をとった。把瑠都としては、これで大丈夫と思っただろうが、勝敗は逆になった。豊ノ島は右を入れてもろ差し。そこからの攻めが速く、把瑠都に持ちこたえるヒマを与えなかった。把瑠都の上手がやや深かったが、これはいつもあることで、それでも力が出る力士だ。今日の一番に関しては、豊ノ島の攻めの速さ、そして、腰を沈めた体勢の低さが勝因だろう。

琴欧洲と嘉風は、琴欧洲が、立ち合いにまわしをとりにいくのでなく、敢えて突きにいった。突き放しておいて、相手を見ながら攻めようとしたようだが、嘉風の低い突きがツボにはまった感じで、琴欧洲の腰が崩れてしまい、そのまま押し出された。琴欧洲は、誠に痛い３敗目。

日馬富士と魁皇は、日馬富士が立ち合い右に動いて上手をとり、すかさず出すと、魁皇は後ろを向いてしまった。これで、九分九厘日馬富士のものと思われたが、魁皇はよく向き直り、俵を伝わりつつまわりこんで引き落とすと、魁皇の体も土俵から飛び出しかかる中、僅かに早く日馬富士が落ちた。
微妙ではあったが、物言いはつかず。
日馬富士は、立ち合いから出し投げまでの動きはよかったが、その後、相手に密着し正対して攻めることができなかった。やや雑な相撲という印象。日馬富士も痛い３敗目。

白鵬は、今日はまわしにこだわらず、左右からおっつけながら琴奨菊をまっすぐ西へ運び、最後は右のどわで決めた。一方的な相撲だった。

朝青龍と豪風は、朝青龍が立ち合い左から張って、すぐ右四つに組み止め、上手も充分。問題なく向正面へ寄り倒した。

１敗　白鵬、朝青龍
２敗　把瑠都、安美錦、白馬

２敗の大関が揃って敗れたのが、何としても残念。横綱二人は、今日は万全の相撲だった。
明日は朝青龍＝把瑠都が組まれているが、把瑠都が今日勝っていたら面白かったのに、ちょっと水を差された感じだ。