naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

若書きアーカイブ~オフコース「ライブ」初試聴記(1980年5月2日、24歳)

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※「音楽断章」ノートから。オフコースの2枚組アルバム、「ライブ」を初めて聴いた時の記述。

    まさに垂涎の思い、どれだけこのレコードの出るのを待ったことか。
    オフコース「ライブ」入手(発売日5/5の前日4日は日よう日。その
    前日3日は祝日ということで今日)。
    これほど楽しみにしていたレコードもちかごろなかった。
    ライブが出るかもというニュースは、10月ごろFM誌増刊でさいしょ
    にみた。

    ビールのみつつきくが大感動。あのコンサートが彷彿としてくる。
    写真集もついているし、愛聴盤となることは必至。

    「さよなら」で、1/30の聴衆は、音のきえるまで拍手しなかった。
    感心したものだが、このレコードはそうでないのがやや残念。

    演奏の出来はなかなかよい。「老人のつぶやき」とか「さわやかな朝を
    迎えるために」(これは私の行った8/4の田コロのもの!)など、か
    なりちがったアレンジになっているもの、「思いのままに」「愛を止め
    ないで」のように、ステージ用のアレンジになっているものがきける
    のがうれしい。※
    「さよなら」「風に吹かれて」はシングルでしかないのでこれも歓迎。
    「のがすなチャンスを」のドラムソロは、FMのテープとちがい、短
    めであったのが意外。それとステージでは清水さんのベースのソロ
    もたしかあったはず。
    それにしても、このいみで(※)、プラスオフコースの代表曲である
    「眠れぬ夜」「秋の気配」が入っていないのは、ほんとうに何度惜しん
    でも余りある。投書しようかしら。
    「眠れぬ夜」が宣伝ポスターになかったのを4/11にみたときのシ
    ョックは忘れん。そのときは半信半疑だったがレコードマンスリー
    でみてあきらめた。

    2枚で90分であるが、アリスの RUN FOREVER くらい
    全体の時間がもう少し長かったら、あと5曲くらい入るだろう。
    1/30のプログラムからいうと「その時はじめて」「潮の香り」「愛
    あるところへ」もほしかった。
    オフコースの場合、アリスのように、いくつもライヴ盤をつくると
    思えぬだけにとくに残念。

前年の10月に、「Three and Two」がリリースされ、それをベースにしたツアーが行われた。

「あのコンサート」「1/30」と書いているのは、そのツアーの一環で、新宿の厚生年金会館で行われたライブのことだ。

そのツアー他、それまでのライブ音源を編集して制作されたのが、この2枚組。もちろんLPレコードでのリリースだったが、4,000円。

上の文章は、購入して独身寮に帰宅し、部屋で即聴いた時の試聴記。

冒頭で予想したように、今に至るまで愛聴し続けているアルバムだ。

私は入社3年目。本社の経理部にいたが、会社の女子社員にはオフコースファンが何人かいて、昼休みなどには、オフコース談義に花を咲かせたものだ。

このアルバムを買って、会社で見せたら、その中の一人が、ジャケットを見て、「何? 「ラブワン」って」と天然なことを言ったので、みんなで笑ったのをおぼえている。

選曲について色々文句をつけているが、中でも「眠れぬ夜」が収録されなかったことのショックは、文中にある通りであり、今でもそのことへの思いはありありと思い出す。

「8/4の田コロ」と記しているのは、前年の8月4日、雨の田園コロシアムでのライブのことだが、初めてオフコースのライブに接した私は、これをきっかけにオフコースにのめりこみ、今日に至る。

当時、「眠れぬ夜」は、オフコースのライブにおいては、一番盛り上がる曲の一つだった。
どの曲をさしおいても、5人のバンドとしては初めてのライブアルバムにおさめられないはずはないというポジションだった。

ところが、会社の近くのレコード店の店頭に、このアルバムの告知ポスター(確か5人のメンバーが黒のタキシードを着て写っていた)がはりだされ、そこに収録曲も記載されていたのだが、その肝心の「眠れぬ夜」が載っていない。

目を疑い、まさしく半信半疑、本当に入らぬはずはない、と思っていたのだが、結局収録されなかった(「レコードマンスリー」とあるのは、当時レコード店のレジのところに積まれていた、無料の月刊情報誌)。

この時に予想した通り、毎年のようにライブ盤をリリースしていたアリスと違い、オフコースは、その後、ライブアルバムを出さなかった。

ライブビデオは、例の82年6月30日の武道館のものと、4人になってからの87年のツアー、「as close as possible」のものが出ているが、それだけだし、レコード、CDの形では、この「ライブ」が最後。

そして、2種のライブビデオにも、「眠れぬ夜」は収録されていない。
特に武道館では、当然の定番曲として、実際に演奏されただけに、それが、ライブアルバムと同様にオミットされたのは何故なのか、これもリリース当時は不思議に思ったものだ。
(「愛を止めないで」の歌詞の中に「「眠れぬ夜」はもういらない」という一句がある。何かそういう意図があってのことかと、いぶかったものだ)

要するに、5人のバンドでのオフコースの、ライブの真骨頂の一つであった「眠れぬ夜」は、公式音源、映像としては一切残っていないということになる。

また、ソロに転じてからの小田(和正)さんは、初期にはこの曲を歌っていた記憶があるが、今ではまったく歌わない。

今の小田ファンで、「眠れぬ夜」を知らない、アルバム「ワインの匂い」でのアレンジとはまったく異なる、あのライブでの「眠れぬ夜」を知らない、という人は相当数いるのだろうと思う。

単一の曲の話が長くなってしまった。

個人的には、オフコースの歴史の中では、5人のバンドでのパフォーマンスが一番好きだ。
過去にも記事に書いてきたが、小田さんと鈴木(康博)さんのコンビあってのオフコース、という要素はやはり大きい。

そうした、オフコースの一つのピークは、やはりライブでのパフォーマンスにあったと思う。
それを今に伝えるのは、このライブアルバムと、武道館のライブビデオだけだ。

商品として、長く残ってもらいたいと願う。