naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

稀勢の里の大関昇進に大きな疑問

千秋楽、取組前に、稀勢の里大関昇進が決まった。

今日の朝日新聞の朝刊、三保ケ関審判部副部長の談話として、3場所33勝にこだわる必要はない、自分も31勝で上がったので、と書かれていた。

スポニチにも、貴乃花審判部長が、千秋楽の午前中に、稀勢の里大関昇進について審判部で会議を開くことにしたと書いていた。
3場所33勝の目安はあるが、安定した相撲を取り続けているので、仮に千秋楽に敗れても大関の声は出るだろう、と。

これは、協会としては上げる気があるな、と思っていたら、案の定で、NHKの放送が始まった時点では、審判部が臨時理事会の招集を決めていた。

大いに疑問がある。

33勝に達していない、という星勘定の問題ではない。内容だ。

稀勢の里の今場所の横綱大関戦は、1勝4敗。しかし、勝った琴欧洲戦も、勝負には勝ったものの相撲は負けていた。
実質的には全敗だと思う。

その琴欧洲戦以後、立ち会いの踏み込みはなく、下位の臥牙丸にもあわやというところまで攻め込まれた。

この内容で、どこが評価されるのだろうか。

かつ、今場所の稀勢の里は、優勝争いにもからんでいない。
5日目に、豪栄道に敗れて1敗してしまい、強いて優勝争い上位にいたのは、中日まで。
9日目に日馬富士に敗れて2敗になってからは、ヌケヌケの星取で、最終的には10勝5敗では、大関たる成績とも言えない。

確かに、下位へのとりこぼしはその豪栄道戦のみではあるが、上位戦に4敗では、大関にふさわしいとは言えない。

以上の点から、内容を評価して、といわれるのがまったく理解できない。

今日の一番に勝って11勝し、33勝に達したとしても、内容を勘案すれば、昇進に異論があると考えるのは、私一人ではなかろう。

最低でも、「今日の一番を見て判断する」とすべきだ。
その、今日の一番が、あのように、稀勢の里からすれば惨敗と言える内容で、10勝止まりであっても、昇進の判断を下したのだろうか。

特に思うのは、7月場所の琴奨菊だ。横綱に勝ちながら、その後、下位に星を落としたことで、3場所で33勝に達せず(32勝)、昇進見送りとなった。

琴奨菊から見たら、同じ32勝での稀勢の里の昇進が、取組前に決まっていた今回の判断は、面白くないのではないか。

そうまでして、今場所後に稀勢の里を昇進させなければならない理由がみあたらない。

現に大関は4人いるし、少し前と違って、その中に先のないベテランがいるわけでもない。
5人目の大関を急いで作る必要はない。

強いて言えば、場所前に鳴戸親方が急逝したことでの心情的な面があるかもしれないが、それを理由に昇進させるのは、いいこととは思えない。

鶴竜豊ノ島隠岐の海など、大関をうかがえるいい若手が伸びてきている現在、過去に例のない6人目の大関を作る気が協会にあるということなのか。

もうしばらく、5人目の席を競わせた方が、稀勢の里のためにもなるのではないか、と思うのだが。

疑問を主張するのはこれくらいにして、今日の琴奨菊戦だが、結局、勝敗を分けたのは、型の有無だ。
左四つになった時の強さは琴奨菊の方が上だと、見せつけられた一番だと思う。

再三書いているように、個人的には、現況では四つ相撲が下手な稀勢の里は、このところ見せている突き押し主体の相撲に活路を見いだすべきだと思う。

ただ、今場所の上位戦を観ていると、その突き押しも、上位力士には通じるレベルにまだないと痛感する。

大関としての稀勢の里の前途は、厳しいものがあると言わざるを得ない。