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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

「切れた環がつながる日」に向けて~浦安シティオーケストラの2011年<2>

(前の記事から続きます)

 そして、通常の練習が可能な環境に戻った我々は、次の活動に移った。7ヶ月後、12月の第23回浦安市民演奏会に向けた練習である。
 隔年開催の市民演奏会では、市民公募の合唱団と我々のオーケストラが共演している。当初計画では、過去2回の演奏会形式オペラ・ガラコンサートの好評を受け、演出付きのオペラ全曲演奏(マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」)に初挑戦の予定だった。
 しかし、市当局が近く合唱団の募集を始めようとしていた矢先の震災発生。浦安市の人的物的事情等から、演奏会自体の見送りも一時検討されたと聞くが、最終的には可能な範囲の内容に企画を変更しての実施が決まった。

  ●第23回浦安市民演奏会「世界はひとつ 浦安から世界へ」(指揮:矢澤定明)
     第1部  バーンスタイン ミュージカル「キャンディード」序曲
           石毛里佳編曲 ディズニー・メドレー(書き下ろし初演)
           石毛里佳編曲 世界の名曲メドレー(書き下ろし初演)
           源田俊一郎編曲 ふるさとの四季
     第2部  フォーレ ラシーヌ賛歌
           モーツァルト アヴェ・ヴェルム・コルプス
           ヘンデル オラトリオ「メサイア」から「ハレルヤ・コーラス
           ハチャトゥリアン 組曲「仮面舞踏会」から「ワルツ」
           ハチャトゥリアン バレエ「ガイーヌ」から「剣の舞」
           プロコフィエフ バレエ「ロメオとジュリエット」から
                      「モンタギュー家とキャピュレット家」
           チャイコフスキー 序曲「1812年
     アンコール ホルスト 組曲「惑星」から「木星」(抜粋)
             岡野貞一 故郷

 5ヶ月余りの練習を経て、12月11日(日)の本番は、満席の盛況の内に無事終了した。客席に、またステージにも、被災した市民がいた。復興の進む浦安に何かを届け、何かを共有することはできただろうか。

 こうして2011年の活動が終わった。5月の臨時演奏会はまったく予定外の内容であり、12月の市民演奏会も企画内容が大幅変更。震災の傷が大きく残った年だった。

 そして2012年、我々は今、6月の本番に向けて練習中である。

  ●浦安シティオーケストラ第39回定期演奏会
     日 時 2012年6月10日(日) 14:00開演
     会 場 浦安市文化会館大ホール
     指 揮 横島勝人
     曲 目 J.シュトラウスⅡ 皇帝円舞曲
          チャイコフスキー 幻想序曲「ロメオとジュリエット」
          ブラームス 交響曲第3番ヘ長調

 今度は、内容の変更はない。昨年5月に予定していた曲目を、同じ指揮者で同じホールで演奏する。変わったのは時期だけだ。
 失った時間を取り戻す。多くの団員がそんな気持ちだと思う。

 あの昨年3月11日に突然切れてしまった環が、6月の本番が終わった時にまたつながる。そして我々のオケは、そこから真に新しく一歩を踏み出すことができる。本番3ヶ月前の今、私にはそんなふうに思える。
 元気でいれば、また何かができる。命を得ている今この時に感謝することを忘れず、「その日」に向けて練習に励みたいと心から思う。