朝日新聞千葉地方版「俳壇」に掲載された、父の俳句、1995年~1997年分。
選者:河合凱夫
1995年5月11日 佳作
ジョギングの早や葉桜となりし道
1995年7月6日 特選
勝馬の汗輝かせ戻り来る
【評】この「汗」のつかみ方を凄いと思う。おそらく、競馬
には無関心な人々も、この句には、一も二もなく拍
手をおくられるのではないだろうか。それに「戻り
来る」の状況説明も、「その前に何があったか」を暗
示して、その毛並、その汗、その勝利に、われわれ
まで酔わせるのである。誰かが「明快さは美しい」と
いったが、この「勝馬」を詠いあげるのに「汗輝かせ」
と明快に言い放った説得力を作者の作句姿勢として
窺いとることができるのである。
には無関心な人々も、この句には、一も二もなく拍
手をおくられるのではないだろうか。それに「戻り
来る」の状況説明も、「その前に何があったか」を暗
示して、その毛並、その汗、その勝利に、われわれ
まで酔わせるのである。誰かが「明快さは美しい」と
いったが、この「勝馬」を詠いあげるのに「汗輝かせ」
と明快に言い放った説得力を作者の作句姿勢として
窺いとることができるのである。
1995年8月24日 佳作
灯を消してなほ目覚めをり夜の秋
1996年5月9日 佳作
白魚の水に黒き目走りけり
1996年9月5日 佳作
片隅に生きて残暑のごろ寝かな
1997年2月20日 佳作
流さるるままの余生や水温む
1997年5月8日 佳作
隠しごとあり独活和へのほろ苦く