先刻、オケ練から帰宅し、メールチェックしたら、目を疑う訃報が入っていた。
大学オケ時代、常任指揮者だった、イギリス人のDavid Howell(デーヴィッド・ハウエル)氏の訃報だった。
知らせてくれたのは、1年先輩のヴァイオリンのKさん。
突然の知らせに、ただただ驚くばかりだった。
ハウエル氏は、私が大学オケに入部する前から常任指揮者で、1974年~1977年、在学中のすべての演奏会は、氏の指揮だった。
(余談になるが、この当時、アンサンブル・フィオリータの常任指揮者を務めていたのは、大友直人氏である)
イギリス人が指揮者だったと言うと驚かれるが、日本人女性と結婚され、日本酒をこよなく愛する指揮者で、練習は流暢な日本語であった。
我々の時代は、純クラシックの演奏会だけでなく、サマー・コンサートでは映画音楽や日本民謡なども演奏していた。その管弦楽編曲は、すべてハウエル氏の手によるものだった。東京フィルを指揮した、編曲作品集や、ジャン=ピエール・ランパルと共演した邦楽編曲集のレコードも発売されている。
サマー・コンサートでは、氏の作曲によるオリジナル楽曲も2回演奏している。「ハウエルフォン協奏曲」第1番、第2番という曲だった。「ハウエルフォン」というのは、中に水を入れた大小の酒瓶を横に並べて吊るし、水の量を調整して音階を作り、マレットで叩いて独奏楽器とするものだ。チューブラベルのような形の楽器(?)である。2回とも私の1年先輩の打楽器のHさんがソリストを務めた。
また、個人的には、大学祭で演奏した、大学の校歌の編曲が忘れられない。
クラシックの方では、私の在学中は、シベ2、ブラ2、「第九」、フランクの交響曲、ブラ4、シベ1(前記合同演奏会)、ドヴォ8などを演奏した。
3年生になった時の演奏会で、エルガーの「コケイン」序曲、ディーリアスの「楽園への道」をとりあげ、これを機に、毎回の演奏会で、イギリス音楽をプログラミングするようになった。これは、私の卒業後も続く。
在学中、他には、ディーリアスの「夏の歌」、エルガーのチェロ協奏曲(前記合同演奏会)、ヴォーン=ウィリアムズの「すずめ蜂」序曲を演奏した。
1年生から2年生にかけての演奏旅行(沼津、清水、名古屋、木祖村。松本)で、氏と一緒に過ごしたこと。
2年生の夏、氏の自宅に何人かの部員が集まり、秋に演奏する「第九」についての座談会を行い、テープを起こして団内誌に掲載したこと。
前記合同演奏会のプログラムに、ハウエル氏とソリストのN先生の対談を載せたこと。
思い出は数限りない。
私の卒業後、何年か経って、仕事の本拠が大阪に移ったことから、大学オケからは離れられた。
個人的には、久しくお目にかかる機会がないまま、今日まで過ぎてきた。
一昨年、ハウエル氏がテレビ出演されるとの情報をOBルートで得て、久しぶりの指揮姿を懐かしく拝見した。
大学オケ時代の指揮者がテレビ出演
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/64933503
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/64933503
大学オケOBのイベントに、氏が大阪から参加してくれるかもしれない、といった話を、その後も聞いた記憶がある。
三十数年ぶりにお目にかかる機会があるかもしれない、と期待を持ったものだ。
しかし、その機会は訪れることがないまま、突然の訃報に接することになった。
さっき届いたKさんのメールによれば、けさ、奥様からメールでの知らせがあったとのこと。
7月1日(土)、突然の急逝心不全での他界だったそうだ。
享年71歳。まだまだ若いのに。
ご冥福をお祈りします。