新型コロナウイルスによる巣籠り生活と関係あるのかどうか、Facebook上で、本やレコードを1週間とかの期間、毎日紹介して、次の人を指名する、バトンとかリレーを、少し前から見かけるようになった。
そんなリレーが、浦安オケでいつもお世話になっている、ヴァイオリンのIさんからまわってきた。
「クラシック音楽限定で、1日1曲、5日間紹介し、1日1人に繋げていくもので、あとバトンを渡して貰った人と渡す人をタグ付けするそうです」とのこと。
きちゃいましたか。やってみましょう。
ということで、5日(金)から5日連続で、Facebookへの投稿を始めた。
こちらにも、その投稿を転載しておく。
尚、思うところあって、バトンを渡す人は指名しないことにした。
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<第5日> リヒャルト・シュトラウス ばらの騎士
最終日は、オペラ。
5曲とりあげるなら、絶対にオペラを何か一つ選ばなければ、と思案の結果、「ばらの騎士」にしました。
自分の乏しい経験から言うと、オペラというものをまったく知らない方に、まずお薦めすべき曲は、「カルメン」(ビゼー)か「ラ・トラヴィアータ」(ヴェルディ)かな、と思っています。
さらに進んで、「その作曲家の本領が、オペラでこそ発揮されている」という点では、モーツァルトとR.シュトラウスではないかな、と思います(ワーグナーやプッチーニはどうした、と言われそうですが)。
で、これまで聴いてきたオペラの中から、もし1曲選ぶのであれば、やっぱり「ばらの騎士」。
学生時代、大学オケの友人でオペラ好きのMが、「「ばらの騎士」は楽しいぞお」、とよく言っていたものでしたが、私が実際にその比類のない楽しさに接したのは、社会人になってからでした。
この曲については、吉田秀和氏がその著書で、「私には、モーツァルトを除けば「ばらの騎士」こそ、最もオペラ的なものの精華なのである」と書いていますが、まったく同感です。
何と美しい音楽なんでしょう。とりわけ第3幕の終盤は、この世のものとは思われないほどです。
オペラの場合、物語、筋書きに疑問や矛盾を感じることがしばしばあります(「魔笛」とか、ね)が、「ばらの騎士」にはそれがなく、音楽もお話もすばらしい。
「オペラを満喫した」と思うことができる演目の最右翼ではないでしょうか。
終幕、オクタヴィアンに向ける元帥夫人の心情には、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(ワーグナー)での、エファに向けるハンス・ザックスのそれを想起させられます。共通するのは、時の流れ、齢を重ねることの哀愁、諦念です。
このオペラの主人公は誰なんでしょう? タイトルロールはオクタヴィアンですが。
そんな「ばらの騎士」ですが、実は、実演はまだ2回しか観ていません。今後、上演があれば、何度でも観たいオペラです。それにしても、あのカルロス・クライバーが、日本で演奏してくれる機会があったというのに、行かなかったのは、一生の痛恨事です。
録音はいくつか持っていますが、よく聴くのは、バーンスタイン指揮ウィーン・フィルの盤。あと、昔聴いた、エーリッヒ・クライバー指揮ウィーン・フィルも、とてもよかった記憶があります。
私の場合、R.シュトラウスのオペラは、まだ知らない作品がたくさん残っています。これからもその魅力を探索していくのが楽しみです。
※新国立劇場Webサイトから
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音楽による描写・・・
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フォン・シュターデのオクタヴィアン録音2題