14日(水)、J:COM浦安音楽ホールで行われた、クァルテット・エクセルシオのベートーヴェン全曲チクルスを聴きに行った。
J:COM浦安音楽ホールのレジデンシャルアーティストであるクァルテット・エクセルシオが、ベートーヴェン生誕250年を記念して、5回にわたり、弦楽四重奏曲全曲を演奏するものである。
私の場合、ピアノ・ソナタの全曲チクルスよりは、弦楽四重奏曲全曲の方に食指が動く。
全5回のセット券を購入した。今回がその第1回である。
●ベートーヴェン生誕250年記念 弦楽四重奏全曲チクルス 第1回
日 時 2020年10月14日(水) 18:30開場 19:00開演
会 場 J:COM浦安音楽ホール コンサートホール
演 奏 クァルテット・エクセルシオ
曲 目 ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第11番ヘ短調「セリオーソ」
ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第9番ハ長調「ラズモフスキー第3番」
ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第12番変ホ長調
入場時には、手指の消毒と検温があった。席の間隔を空けられておらず、入場人数の制限はないようだった。
映像収録のカメラが入っていた。DVD、ブルーレイでの販売があるそうなので、プログラム冊子に挟み込まれていた申込書で、終演後に購入を申し込んだ。
私の席は、1階F列12番。毎回この席に座ることになる。ということは、周囲に座られている方々とも、毎回ご一緒することになるんだろう。
市原に住む従兄もセット券を買ったとのことで、私より右手前方の席に座っていた。
最初は「セリオーソ」。好きな曲だ。
1楽章、2楽章を聴いていると、ハイドンから出発し、モーツァルトが発展させた弦楽四重奏という形態が、ずいぶん遠いところまで来たものだ、というふうに感ずる。
今回の演奏では、2楽章の一部が、時にバッハのように聞こえ、時にバルトークやショスタコーヴィチのようにも聞こえた。
後半2つの楽章は、とても引き締まった演奏だった。
続いて、「ラズモフスキー」の3番。
同じ曲を、先月、黒部市宇奈月国際会館セレネでの澤クヮルテットの演奏会で聴いたばかりだ。まだ半月ちょっとしか経っていない。
1楽章、主部に入ったところでの響きの美しさに感じ入った。
2楽章は、張り詰めた緊張の中を流れる憂愁が心にしみる。
3楽章は、メヌエットなのに、華やかにならない、むしろほの暗い音。中間部は対照的に明るい音楽になった。
4楽章は、圧巻。力強く水際立った、胸のすくような演奏だった。ベートーヴェンが演奏者につきつけてくる音楽の強さに負けない力を持った演奏と感じた。
それにしても、この曲は、ラズモフスキー3曲の中で最も短いのに、何と巨大な音楽だろうか、と改めて思う。
休憩の後は、12番。
1楽章、2楽章と、この曲でも、弦楽四重奏の響きの美しさを存分に味わった。
ベートーヴェンの四重奏の中でも、この12番は、私にはちょっとわからないところがある。
1楽章は、つかみどころがあるようでないような音楽。8番のシンフォニーの1楽章を思い出す場面があった。
2楽章は、本当に深くて美しい音楽だ。4人の奏者が一体となって動いていると強く感じた。
3楽章は、ベートーヴェンとしても破天荒な音楽。
そして、4楽章は、フィナーレとしては、どこか普通でない感じがある。最後、4分の3のEsdurに戻って統一感をにおわせるものの、やはり全体を通じて、わからないところが多い音楽だと今回も思った。
「セリオーソ」とこの12番を聴いていて、ベートーヴェンという人が、チェロのピツィカートをとても効果的に使っているな、と思った。
アンコールはなし。
楽屋面会はお断りします、というアナウンスがあり、後列から順番に時間差退場となった。
第2回は来月。10番、8番、16番だ。
来年3月までのチクルス、本当に楽しみだ。