15日(金)、鶴見区民文化センターサルビアホールで行われたクァルテット・エクセルシオの演奏会を聴きに行った。
JR鶴見駅で下りるのは初めてだろうか。
横浜の地理に疎く、根岸や桜木町や鶴見の位置関係すらわかっていない。今回行って、鶴見が横浜より手前、川崎のすぐ先にあることを知った。
サルビアホールは、駅前にある。
●サルビアホール クァルテット・シリーズ 165
クァルテット・エクセルシオ ラボ・エクセルシオ
ラボ・エクセルシオ ショスタコーヴィチ・シリーズ Vol.5
日 時 2023年9月15日(金) 18:20開場 19:00開演
会 場 横浜市鶴見区民文化センター サルビアホール 音楽ホール
ピアノ 鈴木 慎崇
弦楽四重奏 クァルテット・エクセルシオ
曲 目 ショスタコーヴィチ 未完成の弦楽四重奏曲変ホ長調
ショスタコーヴィチ ピアノ五重奏曲ト短調
ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第15番変ホ短調
このサルビアホールは、「クァルテットの殿堂」を標榜しており、数々の弦楽四重奏団が演奏会を行っているようだ。
「165」と表記されているから、165回目ということなのだろうか。
定員100人の小さなホールだ。
私の席は、F列4番。
クァルテット・エクセルシオによるショスタコーヴィチのチクルスは、今回が5回目で最終回。このチクルスの存在は不覚にも知らなかった。過去4回を聴けなかったのが悔やまれる。
プログラム冊子から。これに加えて、クァルテット・エクセルシオの2023/2024シリーズのすべての主催公演の曲目や曲目解説が載ったプログラムも配られた。
18:30からステージでプレトークが行われると聞いていたので、その前に着席した。
最初にチェロの大友(肇)先生がマイクを持って登場。先般他界された西村朗氏とクァルテット・エクセルシオの関わりについて話をされた。
その後、音楽ジャーナリストの渡辺和氏と音楽学者の中田朱美氏が登場し、ステージ前面、左右に座り、演奏者席には大友先生がチェロを持って座る形でのプレトークとなった。
内容は、これから演奏される曲の紹介だった。
メインの四重奏曲については、中田氏が各楽章の重要動機を説明し、大友先生がその動機を弾かれた。
渡辺氏からは、15番の四重奏曲は、わけがわからないという評価もあるが、実はやっていることはとてもよくわかる(ただそれが表しているものを理解するのは別)、また、ショスタコーヴィチはこの曲でとてもきっちりした音楽を書いた、との話があった。ベートーヴェンの14番にも通じるものがあるとも言われていた。
開演に向けてセッティング換え。プレトークの話者用の椅子が撤去されたが、ステージに出てきて作業をしているステマネの女性にどうも見覚えがある。よく似た別人かと思ったらさにあらず、浦安オケやマウントあさまのオケ仲間であるMちゃんだった。
何でここでこういう仕事をしているんだろう。
入場時にFacebookにホールの写真を投稿したのだが、それにすぐコメントをくれて、休憩時には席まで会いにきてくれた。
さて、開演して最初は未完成の四重奏曲。2003年に発見されたもので、ロマーン・レデニョーフという人の補筆を経て2005年初演。
単一楽章の曲。ショスタコーヴィチだな、こういう音楽だろうな、と聴いた。
ショスタコーヴィチは、日頃余り聴かない。近現代の音楽だと、新ウィーン楽派やバルトークの方をよほど聴いている。
自分にとっては常食に属さないこの作曲家だが、ピアノ五重奏曲だけは、エドリーナとボロディン四重奏団のレコードを、結構昔、23歳の時に早々と買って聴いたことがある。5番のシンフォニーくらいしか知らない頃だ(大学オケを卒業する間際に5番をちょっと弾いたことがあり、それに影響されてピアノ五重奏のレコードも買ったのだったか)。
実演でこの五重奏曲を聴くのは初めてだろうか。いや、だいぶ昔にどこかで聴いたかもしれない。
ショスタコーヴィチ独特のテイスト、苦味。また独特の諧謔を、実演で目の当たりにしつつ聴くのはやはり面白いと感じた。
特に3楽章は面白かった。
未完の四重奏曲の後に聴いて、弦楽四重奏にピアノが加わったことで、表現される音楽の幅がすごくひろがることを強く実感した。
休憩後、メインの15番。ショスタコーヴィチ最後の四重奏曲だ。
プレトークで説明を聴いたので、聴きやすかった。
1楽章は、渡辺氏が言っていたベートーヴェンの14番の1楽章をちょっと思い出した。
2楽章のセレナーデは特に印象に残った。
5楽章は葬送行進曲とクレジットされているが、ベートーヴェンの「エロイカ」の2楽章やマーラーの5番の1楽章を想起させる付点のリズム。
全6楽章、大変面白く聴いた。
ショスタコーヴィチの音楽を少し聴いてみようかと改めて思った。
シンフォニー、弦楽四重奏曲。
それにしてもこのチクルスを知らなかったのはうかつだった。