naokichiオムニバス

69歳、公務員、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

ワーグナー漬け

先月、念願のショルティの「リング」を買ったので、さっそく通勤の往復にウォークマンで聴いた。

 

   ショルティの「リング」全曲盤購入
      https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/03/31/215658

 

3月29日(月)に「ラインの黄金」を聴き始め、5日(月)に「神々の黄昏」を聴き終わった。

週5日の通勤往復、1週間では四部作を聴ききれなかったわけで、さすがの大作である。

 

その流れで、以後もワーグナーを聴き続けてきた。

 

ショルティと比較すべく、カラヤンで「ラインの黄金」と「ワルキューレ」。

 

「リング」はベームのハイライト盤を持っているので、それをはさんで、同じベームの「トリスタンとイゾルデ」全曲へ。

 

さらに、ショルティ=シカゴ響の「マイスタージンガー」、カラヤンの「パルジファル」。

 

聴き終わったのが今日13日(火)。休日の外出時を含めて実に13日間、ワーグナーオンリーで過ごした。空前絶後かな、こんなの。

 

  3月29日(月) ラインの黄金(ショルティ)
    30日(火) ラインの黄金(ショルティ)
         ワルキューレ(ショルティ)
    31日(水) ワルキューレ(ショルティ)
  4月1日(木) ワルキューレ(ショルティ)
         ジークフリート(ショルティ)
    2日(金) ジークフリート(ショルティ)
         神々の黄昏(ショルティ)
    5日(月) 神々の黄昏(ショルティ)
    6日(火) ラインの黄金(カラヤン)
         ワルキューレ(カラヤン)
    7日(水) ワルキューレ(カラヤン)
         ニーベルングの指環ハイライト(ベーム)
    8日(木) ニーベルングの指環ハイライト(ベーム)
         トリスタンとイゾルデ(ベーム)
    9日(金) トリスタンとイゾルデ(ベーム)
    10日(土) ニュルンベルクのマイスタージンガー(ショルティ=シカゴ響)
    12日(月) ニュルンベルクのマイスタージンガー(ショルティ=シカゴ響)           

         パルジファル(カラヤン)
    13日(火) パルジファル(カラヤン)

 

以下、感想。

 

ショルティの「リング」については、話には聞いていたが録音が大変良いのに驚いた。音像が大きいというか近いというか、とにかく明瞭きわまりない。

 

また若きショルティの演奏自体もそれと軌を一にする傾向に思える。非常にくっきりと明快。

 

あまりに明快なので、時に、とげとげしいとまでは言わないものの、迫力に押されてややたじろぐこともある。宇野功芳氏言うところの「カミナリ太郎」の面目躍如と言ったところか。

 

基本的に非常に聴きやすくまたわかりやすい演奏だと思う。ただ反面、少々単純な印象も受ける。

 

尚、これも話に聞いていた効果音については、すごい雷鳴など、これがそれかと思ったが、個人的好みとしては無用だと思う。「ドン・ジョヴァンニ」の冒頭のチャンバラ部分でも、刀の音や刺された騎士長の悲鳴はない方が好きなので。

 

さて、そんなショルティ盤の後、カラヤンを聴いて比べてみた。さすがに全曲とはいかず、最初の2作にとどめたが、やはり相当違う。

 

ここでのベルリン・フィルは、大変しっとりと落ち着いた響きである。日頃オペラを演奏しているウィーン・フィルと、この録音時点ではほとんどオペラ経験がなかったというベルリン・フィルの違いということもあるのだろうか。

 

聴き比べての印象としては、やはりカラヤン盤の方が、オケの音としては好ましく感じられる。

「大人の音楽」という感じがする。

 

結局録音の違いが大きいのかもしれない。ショルティ盤の解像度の高さは異常と言えば異常。「実演では決してこんなふうには聞こえない」と評されたこともあったが、それをまさしく実感する。

 

ベームバイロイトの「リング」は、CD1枚、9曲だけのハイライトだが、基本的に速めのテンポで武骨な印象がある。しかし、音楽が軽くなることはなく、重心の低い響きである。

機会があれば全曲盤を聴いてみたいものだ。

 

同じベームバイロイトの「トリスタン」は、もう42年前、就職して1年目の冬に、カラヤン盤と迷いに迷った末買って以来、何度も聴いてきた録音だ。

 

同じ指揮者、同じバイロイト実況でありながら、「トリスタン」の方が録音がずっと良いと感じる。充実した美しい響きだ。レーベルの違いから来るものだろうか。速いテンポの引き締まった演奏。ライブでもあるからか、圧倒的な迫力だ。

 

「トリスタン」の音源の中でも、またベームの数多いオペラ録音の中でも屈指の名盤だと思う。

 

ショルティ=シカゴ響の「マイスタージンガー」。

 

ショルティは、「リング」の全曲録音完結から10年後の1975年に、同じウィーン・フィルと「マイスタージンガー」を録音し、さらにその20年後の1995年にシカゴ響と「マイスタージンガー」を再録音している。

 

シンフォニーオーケストラとの演奏に興味があり、シカゴ盤を選んで買ったものだが、聴いてみると同じデッカ録音でも「リング」とはだいぶ違う。こちらの方がまあ普通のオペラ録音だ。「リング」ほどの「リアル過ぎる」音ではない。

 

明晰な演奏という点は共通しており、そこはやはりショルティだからなのだろうが、この「マイスタージンガー」は、楷書体に過ぎると言うか、オペラ的な感興には少々欠ける印象を受ける。「マイスタージンガー」というオペラは、シンフォニックな側面を追求するには適していると思うので、敢えてシカゴ盤を買った判断に照らすと納得ではある。

 

カラヤンの「パルジファル」。

 

パルジファル」という作品にはあまりなじみがない。LPレコード時代には音盤を持っておらず、CDとしては定盤と言えるクナッパーツブッシュバイロイト盤を買って一応聴いたことはあるものの、作品を理解できているとはとても言えない。実演にも接したことがない。

 

以前買った、カラヤンのユニバーサルのオペラボックスに「パルジファル」が入っていたのを、今回初めて聴いてみた。「パルジファル」の名盤選びでは、クナ盤と常に接戦を演ずる東西の両横綱である。

 

作品自体をほとんど知らないのだが、緩徐楽章的と言うのか、ヒステリックにがなりたてる場面の少ないオペラとの印象を受ける。

 

カラヤン指揮するベルリン・フィルについては、「リング」と共通する味わい深いものがあると思う。曲自体わかっていない私にも、これはとてつもなく良い演奏だと伝わってくるものがある。

 

とにかく、「パルジファル」については、もっと勉強して作品に近づきたい。いずれ実演も聴いてみたいと思う。

 

とりあえず、一連のワーグナー漬けはこれで打ち止め。

今日は、会社帰りに「パルジファル」を聴き終えた後、実に久しぶりにワーグナー以外の音楽を聴いた。クーベリックバイエルン放送響のマーラー10番アダージョ

 

ワーグナーの主要作としては、「ローエングリン」がまったく不勉強な状態である。これもなるべく近い内に「パルジファル」ともども探求したい。