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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

読響サマーフェスティバル2021《三大交響曲》

18日(水)、東京芸術劇場で行われた読売日本交響楽団の「三大交響曲」の演奏会を聴きに行った。

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大成建設 Presents 読響サマーフェスティバル2021《三大交響曲

日 時 2021年8月18日(水) 17:30開場 18:30開演
会 場 東京芸術劇場コンサートホール
指 揮 小林 資典
管弦楽 読売日本交響楽団
曲 目 シューベルト 交響曲第7番ロ短調「未完成」
    ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調「運命」
    ドヴォルザーク 交響曲第9番ホ短調「新世界から」

 

毎年この時期、読響は「三大交響曲」「三大協奏曲」の演奏会をやっていて、こういう鉄板の名曲プログラムを聴きに行きたいと思っていたが、今回足を運んだ理由は、指揮者である。

 

指揮の小林資典氏は、浦安シティオーケストラのOBなのである。

 

小林氏は、高校生の時にクラリネット奏者として在籍、その後東京藝術大学に入学され、指揮者となった。現在は、ドイツのドルトムント歌劇場で活躍されている。

 

氏は1974年生まれなので、その在籍期間は、浦安オケの草創期。今年入団27年目になる古株の私でも存じ上げないのだが、当団が輩出したプロの指揮者の帰国公演ということで、是非聴いてみたいと思ったのだ。

 

プログラム冊子から。

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私の席は2階D列9番。いい席だった。

 

ヴィオラは外配置。弦の譜面台は1人1台。最近のプロオケでは珍しいように思う。弦奏者のマスクは各自の判断らしかった。

 

「未完成」と「運命」は12型。

 

初めて見る小林氏は痩せて細いのにまず驚いた。

 

「未完成」だけは指揮棒なし。

 

3曲ともに共通の印象だが、響きの作り方、強弱のつけ方に独特の味わいがある。長いフレーズで呼吸をとって音楽を運んでいく。
クレッシェンドに入る前に一旦音量を落とすのがセオリーのようだった。

 

基本的にインテンポ。テンポの緩急はない。

 

1楽章のリピートあり。

 

2楽章のテンポが速めで心地よかった。

 

重たくはないが、中身の充実した「未完成」だった。

 

「運命」はホルンが4本。

 

指揮棒を持っての指揮だったが、1楽章は「未完成」とはだいぶ趣きが違った。出だしのテーマは今風にあっさりした提示。テンポは速い。肩を怒らせた、昔ながらの「ベートーヴェンの「運命」!」というところはまったくなく、指揮者その人の姿のように痩身の演奏だった。HIP的というわけでもないが。

 

2楽章以降は、少し普通な感じに戻ったが、全曲を通じて、ロマン派的な作り方の「未完成」とはだいぶ違う、引き締まった「運命」だった。

 

3楽章はA-B-A。

 

4楽章はリピートなし。少し意外だった。

 

295小節からのヴィオラの3連符6回。ここは自分で演奏する時に強く弾きたいところなのだが、読響のヴィオラはとてもよく鳴っていて嬉しかった。

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ところで、4楽章の途中、展開部の後で3楽章に戻る部分。ここってどうしてもこうしなければならなかったんだろうか。この日の演奏とは無関係に、「運命」を聴くとしばしば思う。こうでないと再現部に行けなかった? いや、ベートーヴェンほどの人が、4楽章の主題だけで展開した末に再現部に持って行くことはできたはずだと思うのだが。

 

15分の休憩後、「新世界」は弦が16型になった。

 

1楽章のリピートなし。

 

このシンフォニーは、聴けばいつも「やっぱりいい曲だ」と思うが、今回は特に2楽章にそれを感じた。個々の楽器の使い方、取り出し方が絶妙だ。例えば、最後の最後をコントラバスだけにするところなど。
ただ、弾きやすい曲であるかどうかは別だ。

 

2楽章の最後で、弦が4人ずつのソロになるところは、各パートの2プルト、3プルトの奏者が弾き、さらにその後の1人のソロは各パートのトップが弾いた。こういうやり方は初めて見るような気がする。

 

それにしてもこの2楽章というかこのシンフォニー、やっぱりチューバの人はかわいそうというか・・・。シンバルの方が出番は少ないが、この日の読響ではシンバルとトライアングルはかけもちだった。
(「新世界」のシンバルと言えば、昔観た「あぁ!新世界」というドラマ(1975年。東芝日曜劇場)を思い出す。フランキー堺が主役で、シンバル奏者なんだけど本番で落ちてしまうという物語)

 

全楽章を通じて、「新世界」らしいオーソドックスな「新世界」だった。

 

場内アナウンスで、指揮棒が下りるまで拍手は控えてくれと再三言っていたのに、聞いてなかった奴が複数。

 

アンコール曲はなく終演。オケメンバーがはけた後、まだ拍手が鳴りやまず、小林氏が登場した。

 

浦安オケから聴きに来ているメンバーと事前にLINEでやりとりしており、ホールを出たところで落ち合った。

 

団長のT氏、インペクのTちゃん、コンミスのRちゃん、オーボエのS氏。
2021年、私は春の定期演奏会も秋の定期演奏会降り番で、練習に出ていないので、皆さんと会うのは久しぶりだ。今年初めてだったり、Tちゃんに至ってはコロナ以降休団中なので、去年も会っていない。

 

小林氏と一緒の時期に在籍していた人もいる。そういう人にとっては、「あの小林君」の指揮者としての実演は感慨深いものがあるだろう。「三大協奏曲」の方も聴いたという人も。

 

普通ならどこかに飲みに行って感想を語るところだが、もちろん今はできないので少し立ち話。

 

浦安オケは、緊急事態宣言に伴う措置で、浦安市の練習会場の利用制約が強まり、練習が中止になっている。今後の対応について少し話してから、池袋駅に向かい、T氏、S氏とは有楽町線から京葉線に乗り換えて新浦安まで一緒に帰った。

 

※小林資典氏を紹介する「ぶらあぼ」のネット記事
    https://ebravo.jp/archives/91436?fbclid=IwAR3unkDRHJlhDzvSSOZKjQhOV3h_OKgNFZ4QnnNAt2VR78NvpLeShqK0NfA