やがて、ステージへ移動するようにと声がかかった。
楽屋がある7階の廊下を奥に行くと、そこがステージレベル、上手だった。
今回、弦のトップは予めKAJIMOTOの事務局から指名され、S氏からヴィオラは私に、との連絡があった。
ヴィオラには、大学オケ先輩のY氏、後輩のU氏、そして、昔、浦安にエキストラに来ていただいていたY氏。
見上げると、ステージの上には立派なオルガン。来月には、大学オケ、現役の諸君が、このステージで、サン=サーンスの「オルガン付」を演奏することになっている。是非聴きに来たいものだ。
「Wagner」と一言あった後、指揮棒が構えられた。
客席のワークショップ受講者やご家族から、拍手が沸いた。
S氏が、ワークショップの企画趣旨等についてスピーチをされた後、返し練習が行われた。
響きがきつくならないように、もっと柔らかく、という指示。テンポが走るところの指摘など。
ワーグナーが終了したところで、受講者の皆さんが、客席から楽器を持ってステージへ。
配置につくまでの間、オーケストラメンバーや、指揮者、そして講師の先生へのインタビューが行われた。
ホルンの先生へのインタビューでは、「2日前に、楽器の組み立て方から始まりました」との話が紹介された。
いよいよ、合同演奏の開始。
楽器初心者のワークショップで、何でこの曲がとりあげられたのか、ちょっとわからないところがある。幻想交響曲は、テレサ・ユースオケの来日公演の演目ではあるのだが、それと関係があるのだろうか。
(今日21日(土)、芸劇で、「幻想」をメインとする演奏会がある。若者たちの「幻想」を聴いてみたいのだが、自分のオケのGPがあるので、残念ながら行けない)
(今日21日(土)、芸劇で、「幻想」をメインとする演奏会がある。若者たちの「幻想」を聴いてみたいのだが、自分のオケのGPがあるので、残念ながら行けない)
打楽器の受講者は、シンバル、ティンパニ、バスドラ。その間に講師の先生が立って、サポートされていた。
曲の冒頭のティンパニから、受講者の出番だ。
いきなり通し演奏。
「幻想」は、浦安で5年前に演奏して以来。よくこんなの弾いたな、と思いながら演奏した。曲の後半は、全然だめだった。トップなのに(汗)。
そして、その後、返し練習が行われた。
バスケス氏は、初心者がいるパートでも、遠慮なく抜き出して演奏させた。
特にいいなと思ったのは、シンバルの年配の男性に、「私と一緒に演奏しましょう」と、大きな身振りで、ダイナミックを示して、一人でたたかせた場面。
なかなか思い切った大きな音が出るとは限らなかったが、バスケス氏が励ますようにしながら、指揮すると、その男性も楽しそうに演奏していた。
返し練習の後、受講者へのインタビューもあり、このシンバルの方にもマイクがまわったが、参加者中最年長の84歳とのこと。ステージ、客席から、大きな拍手が沸いた。
その後、S氏から、再度、ワークショップの企画意図について話があった。
「高齢化が進む日本では、高齢者の自殺者数が、ベネズエラとは比べものにならないくらい多い。
そういう中、オーケストラで楽器を演奏することで、高齢者の生きがいを提供できたら、ということで、楽器未経験者のワークショップを発案した。
今回の受講者の皆さんには、これから楽器を続けていってほしい。
また、現に演奏活動をしている、ORCHESTRA65+の人には、地域や企業において、音楽ができる環境作りを進める力になってほしい。
日本全国、それぞれの地域、コミュニティに、シニアオーケストラがある社会を作るのが、自分の夢である」。
そういう中、オーケストラで楽器を演奏することで、高齢者の生きがいを提供できたら、ということで、楽器未経験者のワークショップを発案した。
今回の受講者の皆さんには、これから楽器を続けていってほしい。
また、現に演奏活動をしている、ORCHESTRA65+の人には、地域や企業において、音楽ができる環境作りを進める力になってほしい。
日本全国、それぞれの地域、コミュニティに、シニアオーケストラがある社会を作るのが、自分の夢である」。
そういうお話だった。
S氏の話の中で、特に良い言葉だと、深く記憶に刻まれたのが、以下。
「受講生の皆さんを見ていて、「始めるに遅い」ということはない、と思った」。
「そして、ORCHESTRA65+の皆さん、「やめるのはまだ早い」です」。
「そして、ORCHESTRA65+の皆さん、「やめるのはまだ早い」です」。
そして、ワークショップの最後に、もう1回、4楽章を通し演奏して終わりましょう、ということで、全員で、再度演奏した。
約1時間半のイベントは、こうして終了。
意義があり、かつ楽しい時間を過ごさせてもらうことができて、感謝の気持ちでいっぱいだった。
一発オケのトップで、何ができたわけでもないが、オケをひっぱるコンミスのリラさんをよく見て、できるだけ合わせて弾くことを心がけた。リラさんと、何度かアイコンタクトできたのが、ちょっと嬉しかった。
隣に座った若者、後ろの若者とは、ほとんど意味ある会話がかわせなかったものの、音楽を通じた一体感は得られた気がする。
終演後は、笑顔で握手をした。
ステージを後にして、楽器をかたづけ、有志参加の打ち上げへ。
芸劇2階の「アル・テアトロ」という店に移動して、立食の形で懇談した。
S氏始め、旧知の方々も多数参加され、楽しく語り合った。
このワークショップ、今後も続いていくことを期待したい。
浦安では、来年春に、新しいジュニアオケが発足する動きがある。
市内唯一の市民オケである、浦安シティオーケストラも、設立から30年近くが経ち、世代交代が進みつつあるが、浦安オケ出身者を中心にした、シニアオケを作るようなことが、いつかできるだろうか。
「やめるのはまだ早い」と思うのであれば!