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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

大阪フィルハーモニー交響楽団 3大交響曲の夕べ

 

大阪フィルハーモニー交響楽団 3大交響曲の夕べ
日 時 2022年8月11日(木) 16:00開場 17:00開演
会 場 フェスティバルホール
指 揮 小林研一郎
管弦楽 大阪フィルハーモニー交響楽団
曲 目 シューベルト 交響曲第7番ロ短調「未完成」
    ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調「運命」
    ドヴォルザーク 交響曲第9番ホ短調「新世界から」
    [アンコール] アイルランド民謡 ダニー・ボーイ

 

4月に葉加瀬太郎の公演でこのフェスティバルホールに来た際、館内に置かれていたフ

ライヤーでこの演奏会のことを知った。これまで、フェスティバルホールでクラシック

の演奏会を聴いたことがないので、一度聴きたいという妻の希望があり、チケットを買

った。

 

ところで大阪フィルの演奏会を聴いたことがあったっけ、と振り返ると、私は2017年7

月に、井上道義の指揮で、バーンスタインの「ミサ曲」を聴いている。これが、フェステ

ィバルホールに初めて来た時だった。

 

我々の席は、2階L9列4番・5番。

ほぼ満席の盛況である。

 

オケはヴィオラ外配置の16型。この3曲にしては大きな編成に感じる。

弦楽器は半数以上がマスクをしている。そして、指揮の小林氏もマスク。指揮者がマスクをして振る演奏会はあまり見ないが、この人は声を出すからかな。

 

最初は「未完成」。

 

1楽章、2楽章とも遅めのテンポのじっくりとした演奏。強奏部もわめくことがない。

1楽章のリピートはなし。1楽章の後はアタッカのように2楽章に移った。

もう何度も何度も聴いている「未完成」だが、本当にこの曲は飽きることがない。いい曲

だなあ、とそのたびに思う。

今回聴いていて、1楽章の主部の伴奏音型は、思ってみれば「運命」と同じだと気づいた。

それと、2楽章の弦のピツィカートの使い方(書き方)の妙。

 

「未完成」が終わったところで、小林氏がマイクを持ってのMCが入った。

ホルンが上手側から下手側へ移動するなど、転換があるかららしい。

この三大交響曲の演奏会は31年目だと言っていた。

シューベルトベートーヴェンの「第九」を聴きに行っており、その時は「未完成」が書か

れていたという話。

モーツァルトは頭の中ですっかり曲ができていて、それを書きとめるだけだったのに対

して、ベートーヴェンはあふれる楽想を楽譜に書きつけてからそれを自ら否定して戦っ

たという話。

そんな話の内に転換も終わり、「運命」へ。

 

オケがとてもよく鳴っていると思った。下手側の席に座っていることもあってか、特に

ヴァイオリン。プロオケにこう言うのは失礼でもあるが、後ろのプルトの1人1人の音

がくっきりと聞こえてくる。上手側のコントラバスのずっしりとした音も印象的だっ

た。

 

1楽章、4楽章のリピートはなし。

ホルン奏者は4人だった。1楽章と4楽章の途中で、全員ベルアップする場面も。

4楽章の最後、ピッコロをきわだたせるために他のパートを落とすなど、強弱の工夫が

いくつかあった。

それにしても、「未完成」も「運命」も拍手が早いなー。最後の音の余韻がホールに散って

いくのを聴きたいのだが・・・。

 

休憩の後、「新世界」。

 

ここまでで想像はついたが、「新世界」も1楽章のリピートなし。

 

この曲では、小林流ということなのか、普段聴かない演奏の仕方がいくつかあった。

2楽章の2番、cis-mollになってフルートとオーボエがメロディを吹くところ

の、セカンドとヴィオラのきざみ。1拍目と3拍目にアクセントがつけられた。

3楽章の1番のヴィオラ。楽譜では7小節間、16分音符のきざみだが、見ていると動き

が違う。どうやらここはチェロバスと同じメロディを弾かせていたようだ。

(トライアングルの音をもう少し大きく聴きたかった。弱めにたたかせる味わいもわかるのだが)

4楽章の26小節目から8小節間の弦は、レガートに演奏された。154小節目からのヴィ

オラは、根音が変わるところでfpもしくはアクセントを一瞬つけるのが普通だが、強

さを長く保ってディミヌエンドするように弾かせた。

一番驚いたのは、4楽章でチューバが吹いたこと。記憶では208小節目からまず加わっ

て6小節吹いた。その後休んで、曲尾近く、たぶん329小節目から最後まで吹いていた

と思う。

劣らず驚いたのは、最後小節の弦の和音。4分音符で弾き切るのが普通だが、ディミヌ

エンドしながら長く延ばした。管よりは先に切って、管の延ばしを残す形ではあった

が、弦のあの和音を延ばすやり方は、レコードでも実演でも聴いたことがない。弦に驚

いてしまったので、同じく4分音符のトロンボーンティンパニ(この日の場合はチュー

バも?)がどうしていたかはわからなかった。

 

アンコールには、弦楽合奏で「ダニー・ボーイ」が演奏された。小林研一郎の定番曲のよ

うだった。

この曲のために16型の弦がほしかったのかな、と思った。

 

19時半頃終演。

 

それにしても、この3曲の組み合わせはやっぱりいいなと思う。いわゆる入門曲ばかり

ではあるが、どれもいわば「いい曲」であり、聴き飽きない永遠の名曲と言える。

「三大交響曲」と称するにぴったりのラインナップではないだろうか。

例えば「新世界」に代えて、同じドヴォルザークの8番だとか、チャイコフスキーの「悲

愴」をもってきて3曲並べても、何かしっくりこない気がする。

「未完成」に代えて同サイズのモーツァルトの40番とかをもってきても同様だと思う。

クラシック音楽を聴き始めた人でも、さんざん聴いてきた人でも楽しめる「三大交響曲

というと、これ以上の組み合わせはないように思う。

(東京でも確か読売日本交響楽団が毎年このプログラムで演奏会を開いている)

 

聴きに来てよかったと思う演奏会だった。

 

小林研一郎の「ダニー・ボーイ」を検索したら、いくつか動画が見つかった。その内の一つ(別のオケだが)を貼っておく。

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