naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

古畑任三郎 VS.SMAP

1月、「古畑任三郎DVDコレクション」の刊行が開始された(デアゴスティーニ。隔週刊)。

 

各号、「古畑任三郎」を原則として2話ずつ収めたDVDが入っている。

これは最初の号。

f:id:naokichivla:20220226140505j:plain

 

ラインナップを見て検討し、全25号中17号は買う予定にしている。

 

ところで、このデアゴスティーニのラインナップには、「古畑任三郎」全話の中でたった一つだけ、SMAPが犯人役を演じた「古畑任三郎 VS.SMAP」が入っていない。

事情は不明。ネット上では、ジャニーズ事務所が許可しないからというような説も書かれている。

1999年1月の放映当時、大変面白く、また感じ入った回だったので、それが欠けているのは残念きわまりない。

試しにネットでさがしてみると、HMVでこの回のDVDが手に入ることがわかったので、購入した。

f:id:naokichivla:20220226141816j:plain

 

23日(水)、これを久しぶりに観てみたのだが、改めて感服した。

 

古畑任三郎」全作の中で(と言っても、観ていない回もあり、知っている限りでだが)最高傑作と言っていいのではないかと思った。

(余談になるが、他に私が好きなのは、「ピアノ・レッスン(木の実ナナ)、「さよなら、DJ」(桃井かおり)、「最後のあいさつ」(菅原文太)、「しゃべりすぎた男」(明石家さんま)、「赤か、青か(木村拓哉)、「ニューヨークでの出来事」(鈴木保奈美)、「しばしのお別れ」(山口智子)、「古い友人に会う」(津川雅彦)あたり)

 

犯行の内容、謎解きのストーリーとしては、上に掲げた作品にもっと優れたものがあるように思うが、このSMAPの回で断然秀逸なのは、犯人であるSMAPの描き方だ。

作中でのSMAPは、殺人犯として描かれるので、現実のSMAPではない。

(エンドロールの後に、「古畑任三郎は架空の刑事でありSMAPは架空のSMAPです」との表示が出る)

 

しかし、作中に出てくるSMAPの5人は、本物のSMAP、当時、「SMAP×SMAP」を始めとするテレビ番組で観て私が知っている5人そのままだ。

中居(正広)君が、木村(拓哉)君が、(稲垣)吾郎君が、(草彅)剛君が、(香取)慎吾君が、それぞれに、本物のSMAPでの中居君、木村君、吾郎君、剛君、慎吾君のままのキャラクターで動いている。いかにもそれぞれのメンバーが言いそうなことを言っている。

 

「私が知っている5人」と書いたが、もちろん、私はSMAPの誰とも面識はないし、本当の彼らのキャラクター、人物を知っているわけではない。正確には「私がテレビで観てイメージを持っている5人それぞれ」だ。

その上で、この作品がすごいと思うのは、我々一般の視聴者が観て持っている、5人のキャラクターを、架空の殺人事件の中で再現していることだ。

他の回は、どれも、それぞれの犯人役の俳優、女優が、自分でない別の人物を演じている。

このSMAPの回だけ、SMAPSMAPを演じている点が設定として大きく異なるのだが、作中のSMAPと「SMAP×SMAP」で観るSMAPに何の齟齬もないところがすごい。

さすが、三谷幸喜、と思う。

この回を最高傑作と感じる理由である。

 

作中で、古畑任三郎と剛君の会話の中で、「僕、あまり子供が好きじゃない」と言う剛君に、古畑が「そういうふうには見えません」と言うと、剛君が「テレビで観るイメージとは違いますよ」と返すシーンがある。

これに対して古畑は、「テレビこそ人の本当の姿を映し出すものです」と反論する。刑事である古畑にテレビのことがわかるのは本来おかしいのであり、この古畑のセリフに込められているのは、脚本を書いた三谷幸喜の考えだと私は理解する。

そう考えた時、私が感服している、「テレビで観るSMAPが、そのまま架空の物語で再現されていること」について、三谷氏自身、この脚本を書くにあたって相当自負を持っていたところではないか、と思うのである。それあって、古畑にこのセリフを言わせたのではないか、と。

 

マネージャーを演ずる戸田恵子さんもとてもいい。本当のSMAPのマネージャーがどういう人なのかはまったく知らないが、いかにも、と言った感じが出ている。

 

デアゴスティーニで順次買い揃えて行く他の回も、少しずつ観直して行きたい。