3月26日(土)、J:COM浦安音楽ホールで行われたクァルテット・エクセルシオの演奏会を聴きに行った。
●クァルテット・エクセルシオ
日 時 2022年3月26日(土) 13:30開場 14:00開演
会 場 J:COM浦安音楽ホール
演 奏 クァルテット・エクセルシオ
曲 目 クープラン 王宮のコンセール第2番ニ長調
ドビュッシー 弦楽四重奏曲ト短調
フランセ 弦楽四重奏曲
ラヴェル 弦楽四重奏曲ヘ長調
[アンコール] ラヴェル 亡き王女のためのパヴァーヌ
浦安音楽ホールのレジデンシャル・アーティストであるクァルテット・エクセルシオ。2020年から2021年にかけて、このホールでベートーヴェンの全曲チクルスを行い、そのすべてを聴いた。
それ以来、久しぶりに聴くエクさんの演奏会は、一転してフランスプログラムだった。
私の席は1階G列11番。良い席だった。
プログラム冊子から。
最初のクープランは、弦楽四重奏曲として書かれたものではないが、楽器指定のない2段楽譜をカルテットで演奏した。弦楽四重奏で演奏されるバロック期の音楽は珍しいと思いながら聴いた。
5つの楽章で構成される曲。大変美しかった。
続いてドビュッシー。この曲は、最近では2020年9月に澤クヮルテットの演奏を聴いている。
1楽章。始まってからしばらくの間の響きの柔らかさが印象に残った。
3楽章の美しかったこと。ベートーヴェンの後期の四重奏曲を連想する崇高さを感じた。
2楽章の切れ味、4楽章の疾走感も心地よかった。
しかし、改めてすごい曲だと思った。LPレコード時代から、ドビュッシーとラヴェルはカップリングされることが多いが、日頃はラヴェルの方を好んで聴いている。
しかしこうして実演でドビュッシーをじっくり聴くと、主題の統一を始め、一部の隙もない音楽という気がする。ヴィオラの使い方、生かし方もすばらしい。
全曲が終わったところでの、僅か1人の拍手が早かったのが実に残念!
休憩後、後半最初はフランセ。
レコードでも知らなかったし、実演でも初めて聴く曲だ。
古典的な4楽章構成でもあり、聴きやすかった。ウィットのある、しゃれた音楽だと思った。
1楽章では、ヴィオラが高音域でヴァイオリンとからむ使い方がドビュッシーとはまた違って面白い。
3楽章はピツィカート主体の音楽。この日のプログラムは、ドビュッシー、フランセ、ラヴェル、すべてピツィカートが前面に出て物を言う楽章が含まれていることを知った。
とてもいい曲だった。
音源は出ていないかと、帰宅後ネット検索してみたが、CDの形で入手できるものはなさそうで、ナクソスのライブラリーには入っていることがわかった。いずれダウンロードしよう。
最後のラヴェル。これはもう申し分のない曲であり、演奏だった。
余談になるが、ラヴェルのこの曲については、いつも思い出すことがある。
大学時代、あれこれレコードを買い集める中で、ラヴェルの管弦楽曲も揃えた。「ダフニスとクロエ」の第2組曲や、「ラ・ヴァルス」、「マ・メール・ロワ」など、好きな曲もできた。
3年生になった時に、新入団員のS君を含む何人かで飲む機会があったのだが、先輩風を吹かせたい私は、「S君はどんな作曲家が好きなの?」と尋ねた。するとS君が「ラヴェルが好きです」と言うので、当方としては待ってましたとばかりに、「どんな曲が?」とたたみかけた。自分でなじんできた上記のような曲が出てくれば、得意げにあれこれ語ろうと待ち構えていると、S君「そうですね、カルテットとか・・・」。
その時点で私はラヴェルの弦楽四重奏曲を一度も聴いたことがなかった(笑)。虚を突かれて返す言葉が見つからずに黙ってしまったのだった。
そんなことはさておき、4曲どれもすばらしい演奏だったが、収穫としては、何と言ってもドビュッシーが一番。そしてフランセだった。
カーテンコールの後、セカンドヴァイオリンの北見春菜さんがマイクを持ってMC。フランスものはこのホールの響きにとても合っていると思うとのお話だった。
アンコールとして、「亡き王女のためのパヴァーヌ」が演奏された。しっとりと心に染み入る演奏だった。