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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

府中の森クラシックコレクション クァルテット・エクセルシオ 室内楽演奏会

10日(土)、府中の森芸術劇場で行われた、クァルテット・エクセルシオの演奏会を聴きに行った。

 

クァルテット・エクセルシオは、これまでもたびたび聴いてきたが、私にとっての大きな変化は、昨年、J:COM浦安音楽ホールが公募した弦楽合奏団、うらやすシンフォニエッタに参加したことである。昨年11月からの練習、今年3月の本番まで、指導をして下さったのが、ホールのレジデンシャルアーティストでもあるクァルテット・エクセルシオだった。

ステージ上の演奏を客席で聴くだけの関係に加えて、自分の演奏に指導をいただくという別の次元が加わった。

そのため、これまでは「(チェロの)大友(肇)さん」だったのが、今は「大友先生」ということになる。

 

クァルテット・エクセルシオの演奏会に行くのは今年初めて。つまり、「先生方の演奏」として聴きに行くのは初めてだ。

 

さて、府中の森芸術劇場。ずいぶん昔に一度だけ来たことがある。

母校オケがマーラーの9番をやった時だった、とのうっすらとした記憶があり、改めて手元にある大学オケ関係の資料を調べてみたところ、それは1992年12月のことだった。

30年も前だったのか。第40回の記念定期演奏会だったようだ。

 

京王線東府中駅から歩いて行った。当然30年前の記憶はないが、案内看板が出ていたので迷うことなく行けた。

 

到着。距離としては、本千葉駅から千葉県文化会館くらいだろうか。

大学オケを聴いたのはどりーむホールの方だったと思う。

今日は室内楽なので、ウィーンホールだ。

 

●府中の森クラシックコレクション クァルテット・エクセルシオ 室内楽演奏会

日 時 2023年6月10日(土) 13:30開場 14:00開演

会 場 府中の森芸術劇場 ウィーンホール

弦楽四重奏 クァルテット・エクセルシオ

曲 目 モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」序曲

    モーツァルト アイネ・クライネ・ナハトムジーク 第1楽章

    ヴォルフ イタリアン・セレナーデ

    ヨハン&ヨーゼフ・シュトラウス ピツィカート・ポルカ

    モーツァルト 弦楽四重奏曲第13番ニ短調 第3楽章

    シューベルト 弦楽四重奏曲第12番ハ短調「断章」

    ドヴォルザーク 弦楽四重奏曲第12番ヘ長調アメリカ」

    [アンコール] グレインジャー 岸辺のモリー

 

プログラム冊子から。

(チラシ裏面にある白黒のメンバー写真。ここはJ:COM浦安音楽ホールの外階段である)

 

初めて入るウィーンホールは、とてもいい雰囲気。正面にオルガンがあることと、空間の規模から、松本市音楽文化ホールのメインホールを思い出させる。

 

私の席は、4列10番。

これはちょっと前すぎた。客席とステージの高さ関係から、前の列に座っている人の頭で演奏者が隠れてしまう。

私の席からは、北見(春菜)先生だけ、遮るものなく全身が見えたが、他の3人の先生方は、膝から下が見えない。西野(ゆか)先生は、私の真ん前の席の人がちょっと右に寄ると顔くらいしか見えなくなる。

もう少し後ろの列がよかったな。

 

14:00、定刻に開演した。

最初は「フィガロの結婚」序曲。昨年、宇奈月オペラで演奏したが、冒頭の細かい音符から終始アワアワとやっていた身からすると、先生方、当たり前だけど何と完璧なことだろう。

 

大友先生が曲間にマイクを持ってお話をされた。

今回のプログラム、前半は、ウィーンホールでの演奏にちなみ、ウィーンに関わりのある作曲家の音楽を集めたとのこと。

メンバーの先生方、全員桐朋学園大学だが、在学中にこの府中の森芸術劇場では、ウィーンホールでもどりーむホールでも何度も演奏したとのことだった。

 

続いて「アイネ・クライネ」の1楽章。「フィガロ」ともども、途中にしばしば呼吸というか、自然な間があって心地よかった。

 

ヴォルフの曲は初めて聴いた。セレナーデという割には活発な感じの曲だった。終わりそうでなかなか終わらない、という印象。

 

次の2曲は、踊りの曲ということで、ポルカメヌエット

 

ポルカでは、弓を、ヴァイオリンの2人は床に、ヴィオラ、チェロは譜面台に置いていた。

このポルカは、鮮やかの一言に尽きる。西野先生に他の3人がつけていく感じだった。西野先生の音はメリハリの幅がすごくて、テンポも動き、楽しそうなアンサンブルだった。

 

メヌエットは、モーツァルト17歳の作品。主部がニ短調、トリオがヘ長調だった。主部の疾風怒濤が印象に残った。25番のシンフォニーを思い出した。

 

前半最後のシューベルトは、大変美しい曲だが、作りとしてはいまだファーストヴァイオリン主導という感じがある。

 

休憩20分。このホールではドリンクコーナーが営業していて、ワインやビールも売っていた。

 

後半は「アメリカ」。

大友先生のMCで、このへんの時代の作品になると、ファーストが主役という作り方でなくなり、4人が主役になる、とのお話があった。

 

力演だった。

冒頭、吉田(有紀子)先生のヴィオラがとてもふくよかだった。

昨年12月、J:COM浦安音楽ホールで、スメタナの「わが生涯より」を聴いたことがあった。この時の曲頭の吉田先生は、暴力的とも感じるすごみのある音だったが、この「アメリカ」はまったく違った。

 

それにしても、「アメリカ」はいい曲だと改めてつくづく思った。

2楽章は、4パートそれぞれの役割が本当によく作られた音楽だ。ヴィオラの16分音符の動きは、前半が6つずつワンボウで弾かれ、後半は2つずつ弓を返されていた。

4楽章は、日頃聴いているより速いテンポ。楽章のあちこちにちりばめられた緩急の呼吸が本当にほれぼれとするすばらしさで、最後の追い込みから曲が終わったところで涙が出た。

 

アンコールに、グレインジャーの曲が演奏された。この日のプログラムのどの曲とも似ていない面白さがあった。

 

<追 記>

後日、クァルテット・エクセルシオを紹介する動画を、北見先生のTwitterで知ったので貼っておく。

フィガロの結婚」の演奏と、メンバーへのインタビュー。

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