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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

茂木大輔先生ワークショップ受講

29日(土)、京橋の明治屋ホールで行われた、茂木大輔先生のワークショップに参加した。

 

「We Love BEETHOVEN」と称するこのワークショップのことは、フォローしている茂木先生のTwitterで知った。

茂木先生の指揮・指導で演奏できる機会が得られるだけでも魅力的な企画だが、加えてテーマ曲がベートーヴェンの7番、浦安オケで11月に演奏するメイン曲である。

 

一アマチュアの立場で参加していいものかと思ったが、募集の案内によると、応募資格は、

・年齢や経歴を問わずベートーヴェンを愛する方
・6月に開催予定のオンライン勉強会に参加(もしくはアーカイブ視聴)できる方
・オーケストラでの演奏経験は不問ですが、事前に練習して、ご自身のパートを責任をもって演奏できる方

とある。

所定のエントリーフォームで申し込んだところ、茂木先生の選考を経て参加OKの連絡をもらった。

 

   「We Love Beethoven」Twitterアカウント

      https://twitter.com/we_love_lvb

 

 

全国から80人ほどが集まってのオーケストラになるとのことだった。
コンサートマスターの会田莉凡先生を始め、弦各パートのトップはプロの先生方がかため、ファゴット、ホルンにもプロ奏者が指導に入る形。

 

このワークショップは初めての企画にもかかわらず運営が大変優れていた。発案者であるホルン奏者のじゅりさんという方が中心になっておられたが、メールと、参加者によるLINEのグループチャットの2つを通じての事前連絡は誠に行き届いたものだった。感服した。

 

ワークショップに先立って、6月29日(木)の夜、「オンライン勉強会」が開催された。この勉強会の受講は有料かつ必須。
Zoomを通じて開催され、受講者からの質問も受け付ける双方向の形になるとのことだったが、あいにくこの日時、東京国際フォーラムで、さだ(まさし)さんのコンサートを聴く予定が入っていて、誠に残念ながらオンタイムで参加することができなかった。

 

勉強会直前に、茂木先生が作られた勉強会資料が送られてきた。
後日、勉強会の映像をアーカイブ視聴したが、資料ともども大変ためになった。

 

自分なりの事前練習をして迎えた29日当日、京葉線に乗って東京駅まで移動し、会場である明治屋ホールに向かった。集合は9時。

N社(京橋)在籍41年の内、29年は京橋勤務だった。明治屋界隈は毎日のように歩いていた場所だが、この建物の中にオーケストラが演奏できるホールがあるとはまったく知らなかった。

 

運営から、事前に参加者名簿や各メンバーの自己紹介などが送られてきていた。おそらく私が最年長と思われた。
今回の参加者はほとんど初めましての人ばかりだが、知り合いなのは2人。大学オケの後輩でその後も色々な団体でちょくちょく一緒になるチェロのS氏、マウントあさまでご一緒しているファゴットのN氏である。

 

ヴィオラは当初12人との情報だったが、当日欠席が2人出て10人。
トップの石田紗樹先生(東京都交響楽団)の他、プロ奏者、音大生2人が補助メンバーとして参加されたので、アマチュアは7人だった。
譜面台は1人1台。事前に通知されたシフトにそって4プルトの裏に座った。表はプロ奏者の野崎りいな先生。

実は、参加者名簿とシフト表を見た時に、「えっ? あの野崎りいなさん、リーナさん?」と驚いたのだった。

野崎先生とは、2年くらい前にTwitter上で知り合っていた。毎朝出題される「オケ曲あてクイズ」について、ひと頃頻繁にリプライを差し上げ、やりとりしたことがあった。曲あてクイズはワークショップ前日の28日(金)が1,000問目(1,000日目?)だったようだ。

 

※過去の関連記事

naokichivla.hatenablog.com

 

※曲あてクイズについてのWeb記事

musemate.jp

 

休憩時、おそれながら話しかけてみた。曲あてクイズにおける私のことはおぼえていて下さったようで、これもおそれながら当方のTwitterをフォローいただいた。
ネット上での旧知の方とリアルで対面できたことは嬉しかったが、プロの方の隣で弾くのは緊張した。いや、そもそもこのワークショップに来て弾くこと自体、会場に入った時から緊張が高まるばかりだったのだが、ましてアマチュア同士のプルトでないのは大変。
でも、いつもPCやスマートフォンの画面からだけ聴いていたリーナさんの音を生で聴けたのは光栄だったし、プロの隣というのはもちろん弾きやすかった。野崎先生の譜面台には紙の楽譜でなくタブレットが置かれていた。

 

9時半頃からワークショップ開始。茂木先生が指揮台に立たれた。少し前までN響のテレビ番組で、またTwitterでもいつも拝見しているが、生茂木大輔を見るのは初めてだ。

 

管はもちろんだが、弦もマスクをしている人は皆無に近い。初対面の人が多いオケでもあり、私もはずした。

 

練習は4楽章から始まり、楽章を逆順に練習し、最後に通し演奏をすると聞いていた。

 

ということで、まずは4楽章から。事前情報では2分音符=68~70のテンポと聞いており、家でさらう際にそのテンポでやってみたが、私にはとてつもなく速く、とても弾けないと半分あきらめて、もっぱらゆっくりしたテンポで練習した。
さてついて行けるものか、と戦々恐々だったが、予告よりは遅いテンポだっただろうか、思ったよりも食らいつくことができた。

 

オンライン勉強会では、茂木先生から、メトロノームとチューナーは演奏者にとっての鏡である、とのお話があり、個人練習で活用するだけでなく、ワークショップ当日の合奏時も、チューナーをつけることが推奨された。
楽器に取り付けるクリップ式のチューナーは持っていなかったので、24日(月)にシマムラストリングス秋葉原に弓の毛替えに行った際に買い求めた。これを着けて1日弾いた。これを機に、今後浦安始めオケで弾く際には、本番を除いてチューナー装着にしようと思う。茂木先生のお話では、プロオケでもゲネプロまでは着けているのだそうだ。

 

練習では、コンマスの会田先生からも随時指示が色々出された。

 

続いて3楽章。これはだめだった。1小節120のテンポが予告されていたが、ついていけない。

どの楽章も、まず楽章全体を通して、その後、止めながら返し練習をするスタイルだったが、繰り返し弾く内に少しずつましに弾けるようになっていった。スタカートの4分音符の飛ばしは放棄し、ともかくテンポからはずれないように弾くことを優先した。

 

2つ楽章を終えたところで一旦休憩。

 

休憩明けは2楽章。

 

茂木先生の指導は、どこがよくないのか、どうしてほしいのか、ポイントをとてもわかりやすく伝えて下さるものだった。すべてに納得した。
事前のオンライン勉強会と、その資料で伝えられていた(学んでいた)内容が演奏者に入っていたことも大きかったと思う。とても効率が良い練習になった。

 

また、これは予想していたことだが、やっぱり面白い方だった。
4楽章の返しの際、練習記号Eからという時に、「江利チエミのEから」。この路線は以後も続いた。「伊東四朗のI」「大五郎のD。しとしとぴっちゃん」「森進一のM」。
練習記号以外にもギャグが乱発され、爆笑の渦だったが、基本的には昭和時代に焦点が当たったものが多かったので、若い人にはわかったかどうか。

 

この2楽章では、まず冒頭の木管の和音をずいぶん繰り返し練習された。

 

12時半過ぎ、昼食休憩。

会場に、茂木先生が持ってこられたベートーヴェンの自筆譜が置かれたので、めくってみた。ゆっくり見る時間がなかったのが残念。

 

外へ出る。勝手知ったる京橋、かつてランチに通った店はたくさんあるが、土曜日ということで閉まっていたりして、結局は八重洲地下街に下りた。
ベートーヴェンでパワーを使っているので、和幸へ。

 

13時半頃、再集合。
ここで、弦の小川響子先生、会田先生、石田先生、黒川実咲先生による弦楽四重奏の特別演奏が行われた。4人の先生方は、「クァルテット奥志賀」として演奏活動をされている。
曲の紹介がないまま始まった曲が何なのか、私にはわからなかったが、後で聞いたところでは、メンデルスゾーンの2番の1楽章とのことだった。

 

そして練習再開。

 

1楽章。この楽章に一番時間がかけられただろうか。途中に休憩を入れて、15時半頃まで練習した。

 

今回のワークショップは、聴講のみの参加者もおられ、オケの後ろに聴講席が設けられていた。目分量で20人くらい座っておられただろうか。

 

茂木先生と会田先生。

 

再度休憩が入れられ、最後に通し演奏。

最初に繰り返しの確認。提示部の繰り返しは1楽章のみで、4楽章はなし。3楽章は最初の24小節だけ繰り返し、以後はまったくなし(トリオの中の繰り返しもなし)。

 

最後なのでがんばって弾いたが、やっぱりベートーヴェンというのは集中を求められることを改めて痛感した。ちょっと散漫な気持ちになるととたんに崩れる。このシンフォニー全曲を集中し通して弾ききるのは本当に難題だ。11月の浦安オケでの本番に向けて、そこは注力していきたい。

 

16時半頃、通し演奏終了。オケからも聴講席からも大きな拍手。

 

朝からずっと、右隣に座っていた5プルト表のKさんといわれる若い男性の演奏が、とても音程正確でしっかり弾かれている上、何よりとにかく音がきれいなのに驚いていた。常に澄んだ音が届いてきてとても弾きやすかった。通しが終わったところで「音がきれいですね」と声をかけて少し話した。まだ大学生なのだそうだが、音大ではないとのことで驚いた。青森からの参加とおっしゃっていた。若い方と一緒に演奏するのは刺激になる。

 

さて、あっという間の1日だったが、事前の勉強会を含めて、とても濃密な時間だった。参加してよかった。
正直なところ、このワークショップに向けての事前練習や準備は充分でなかった。そこは反省するところだ。
ただ、この濃密な時間で得たものは、逆説的になって大変失礼だが、自分のオケでの11月の本番に向けてすごく大きい。生かしていきたい。

 

明治屋とは目と鼻の先にある相互館の中の店で、交流会が行われた。初めての方々と交流できるチャンスなので、もちろん参加した。
ヴィオラはかたまって座り、石田先生を囲んで歓談した。

 

途中からは茂木先生の司会・仕切りで、その場にいる全員が一言ずつ話すことになり、順次マイクがまわされた。
聴講の方も多く交流会に参加されていた。

 

運営の中心を務められたホルンのじゅりさんの丁寧なお仕事ぶりは、彼女を知らない参加者(私もその1人)にもたぶん等しく感銘を与えたと思う。
朝、開会時に前に出て挨拶をされた時も盛大な拍手が送られていたが、夜の交流会でも、2日後(だったか)がじゅりさんの誕生日ということで、サプライズでバースデーケーキが用意され、座のみんなで歌ってお祝いした。
信頼できる本当にすばらしい運営だった。初めての人が集まるこういうイベントにおいてはとても大切なことで、成功の大きな要因だと思う。

 

機を見て茂木先生のところへ行くと、サインを求める列ができていたので、そこに並んだ。
先生と一緒の写真を撮らせていただき、持参してきた先生の著書、「交響録 N響で出会った名指揮者たち」にサインをいただいた。
(後日、Facebookの友達申請を差し上げたら承認いただき、ワークショップの写真を添えたメッセージも頂戴した)

 

今回のワークショップには、映像と写真のカメラマンが入っていた。追って参加者には共有されると聞いているので、楽しみにしている。

早々と、運営が写真収納用のフォルダを作ってくれて、参加者が撮った写真は随時ここにアップされている。

 

茂木先生のワークショップ、今回は第1回とされていて、今後ベートーヴェンの9曲を全部やると聞いている。
是非次回も参加したい。次回はもっと事前準備して。
年1回の9年計画となると、全部参加したら最終回は76歳になるが、必ずコンプリートしたい。

 

※ワークショップ往復に聴いた音楽
    ベートーヴェン 交響曲第2番
       小澤征爾=サイトウキネン
    ベートーヴェン 交響曲第7番
       小澤征爾=サイトウキネン(2016年録音)
       カザルス=マールボロ音楽祭管
    ベートーヴェン エロイカ
       モントゥー=アムステルダム・コンセルトヘボウ管