好きな小澤さんの録音
小澤さんのレコード(LP、CD)は相当数持っている。同一アーティストの録音を買い集めた率で言うと、クラシックではポリーニあたりと並んで一番だと思う。
(クラシック以外だと、小田(和正)さんなどは当然100%)
好きでよく聴いてきたものを挙げてみる。
シベリウス ヴァイオリン協奏曲
ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番 潮田益子 日本フィル
○ベートーヴェン 第九 ニュー・フィルハーモニア管
チャイコフスキー 悲愴 パリ管
チャイコフスキー くるみわり人形 眠りの森の美女 パリ管
ドヴォルザーク 新世界 サンフランシスコ響
リムスキー=コルサコフ シェエラザード ボストン響
チャイコフスキー 弦楽セレナーデ サイトウ・キネン・オーケストラ
ベートーヴェン 交響曲第7番 サイトウ・キネン・オーケストラ(2016年録音)
特に、というと○印。すべて1970年代の演奏だ。さらに絞れば「第九」とマーラー1番になる。
ベートーヴェンのシンフォニーは、ボストン響と全集を録音してほしかった。R.ゼルキンとのピアノ協奏曲、あるいは、P.ゼルキンとのヴァイオリン協奏曲のピアノ版(これはニュー・フィルハーモニア管だが)を聴くと、小澤さんのベートーヴェンには木のような独特の香りがあり、シンフォニーも録音してほしかったが、5番だけしか残っていない。
私が好ましく思う独特の香りは、その後のサイトウ・キネンとの全集では感じることができなかった。
ベートーヴェンについては、むしろさらにその後の水戸室内管との録音の方が好きだ。全曲録音が完結しなかったのが残念だった。3番と6番が残ったし、「第九」もセッションとライブの混淆という半端な形になってしまった(この「第九」はしかしなかなか良い)。
ブラームスについても、ボストン響と全集がほしかったのは同様だが、こちらはPHILIPS時代のサイトウ・キネンとの全集で満足できる。
小澤さんの評伝
小澤さんに関する本は、これも相当数買い求めて持っている。
その中で、評伝としての本でお勧めなのは、以下の3点。
音楽の旅人 ある日本人指揮者の軌跡 (山田治生著 アルファベータ 2006年刊)
18年前の刊行なので、カバーする範囲はそこまでだが、これまで折にふれ読
み返してきた。
小澤征爾覇者の法則 (中野 雄著 文春新書 2014年刊)
中野雄氏の緻密で丁寧、説得力のある文章で小澤さんの歩みが読める。
山本直純氏との歩みを書いており、小澤さん単独の評伝ではないのと、直純
さん逝去時点までの記述ではあるが、大変面白い。さだ(まさし)さんが直純
さんを知る者としてかなりの証言をしているのが、私には嬉しいところだ。
河出書房新社が、ある人物をテーマに定めて出している「KAWADE夢ムック 文藝別冊」というシリーズがある。
音楽関係だと、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンなど作曲家の他、フルトヴェングラー、トスカニーニ、グールドなどの演奏家も出ている。
私は、カラヤン、バーンスタイン、クライバー、吉田秀和などの刊を手元に置いて日頃読んでいるが、このシリーズに小澤さんが加われば良いのに、と以前からずっと思っていた。
この機に、刊行を切に望みたい。できればディスコグラフィ付きで。