10日(土)、落語を聴きに千葉市民会館に出かけた。
「朝日さわやか寄席」という公演で、このチラシが朝日新聞朝刊に折り込まれていて知った。
文珍師匠、好楽師匠の落語が聴けるならと、販売所に電話してチケットを買い求めた。
「笑点」の大喜利メンバーとして有名な三遊亭好楽だが、以前、その好楽師匠の落語を定期的に聴いていたことがある。
昭和から平成にかけての時期だったと思うから、もう相当昔だ。
その頃、N社(京橋)の職場の先輩であるU氏に誘われて、親しい仲間と連れだって、浅草の㐂(喜)久鮨(きくずし)という店で開催されている落語会、「㐂(喜)好会」(きこうかい)に通っていたのだった。
平日の夜、確か19時頃にその寿司屋の2階の座敷で開演、開口一番ということで若手が一席うかがい、その後、毎回好楽師匠が登場した。好楽師匠は確か2つの噺をやったと思う。1つ目の噺が終わったところで中入り。ここで寿司と飲み物が出る。その後、もう1つの噺があってお開き。別料金を払うと、残って出演者との打ち上げに参加できるという流れだった。
かれこれ10回、15回は通っただろうか。そんなことで、好楽師匠については、「笑点」でよく観る噺家さんという以上の親しみを感じてきた。
(当時は、次の㐂好会の案内がハガキで届いていたものだが、行かなくなって久しいので、来なくなった。㐂久鮨のサイトを開いてみたところ、2019年5月に第115回の㐂好会が開催されている。かつての好楽師匠のポジションを務めるのは、当時開口一番に出ていた三遊亭好太郎さんだ。その後はコロナもあって中断しているのだろうか)
昔話はさておき、今回この案内チラシに魅力を感じたのは、その好楽師匠の生の落語が久しぶりに聴けることによる。
千葉市民会館へ。ここに来るのは、昨年9月の津田沼ユニバーサル交響楽団の定期演奏会に出演して以来だ。
館内は満席の盛況。
私の席は、26列9番。
入場時にもらったチラシ。
最初に主催者の挨拶があった。この寄席の開催は4年ぶりらしい。
まず開口一番として、「めくり」をめくったり座布団を裏返す係の、金原亭駒平という若い落語家が「元犬」という噺をやった。犬が人間に変身する噺だった。
続いて登場したのが、桂文珍師匠。神戸から久しぶりに千葉にやってきたとのこと。
長いまくらの後で、「デジナン」という新作落語。年寄りがデジタル機器の扱いに困って、ヘルプセンターに電話する噺。最後はその年寄りがデジタル難民でも何でもなかったという逆転劇があるのだが、とにかく大変面白かった。
15分の「お仲入」。
後半最初は、蝶花楼桃花(ちょうかろうももか)という女性の落語家。春風亭小朝の弟子で、2022年春に真打ちに昇進してこの名前をもらったとのこと。落語家の総数における男女比は、男性およそ千人に対して、女性は30~40人くらいしかいないのだそうだ。建設業以上の男社会だね。
泥棒がたまたま善行をして表彰されてしまう、「表彰状」という噺だった。
女性なので声が通って聴きやすかったし、落語家としてもとても面白い人だと思った。
落語が終わった後、座布団から立ち上がらず、つなぎの芸として南京玉すだれを披露してから下がった。
最後は好楽師匠。昨年夏に右足を怪我して、正座ができないとの話から始まった。そのため、文珍師匠が使っていたテーブルのようなもの(後でネットで調べたら、上方落語で使われるもので、「膝隠し」などと言うこともあるらしい)を置いて座った。
(そもそも、「笑点」の大喜利でも座布団に腰かけているそうだが、浦安のオケ練もあって観る機会がないので知らなかった)
さらに年末に左足の生爪を剥がしてしまったそうで、それもあってか、この日の好楽師匠、いささか元気がないように見受けられた。
林家木久扇師匠の話や、春風亭柳昇師匠のおかみさんのエピソードなど、いくつものまくらを経て、桂文枝師匠が作ってプレゼントしてくれたという「やさしい言葉」という噺をやった。文枝師匠の新作落語は、昨年12月に明治座で聴いて大いに笑ったが、他の噺家さんにも作品を提供しているとは知らなかった。
13時開演で15時過ぎ終演。楽しい落語会だった。
近い内に、上野か新宿の寄席に行って、色々な演目を楽しんでみたいと思った。
帰り道、JR千葉駅へ。
千葉市民会館は、老朽化に伴う移転建て替えを予定しているが、JR千葉駅東口で既存建物の解体が行われているこのあたりが、移転先になるらしい。
ただ、建設費の高騰により、計画の見直しを余儀なくされ、当初予定の2027年オープンは難しくなったと報じられている。