naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

ベームの「田園」

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5日は、長崎リゾートアイランドパサージュ琴海で、会社のゴルフコンペ。
幹事の一人として無事表彰式までの運営を終了することができた。

帰りは、専用高速船で長崎空港まで行き、羽田へ飛ぶのだが、船と飛行機のスケジュールの関係で、表彰式終了から出発まで2時間ばかりの空き時間ができた。

もう公式行事はないので、ある者は碁を打ち、ある者は将棋を始め、ある者たちは麻雀卓を囲み、と、各自思い思いの過ごし方で時間つぶしをしている。

私も、こういう時にいつも行く、ホテル奥の海を見下ろせる一角に座って、レコードを聴くことにした。

聴いた中の1枚がベームウィーン・フィルの「田園」(グラモフォンのスタジオ録音盤)である。ちょうど浦安では今ごろ「田園」の4楽章と5楽章を練習しているはずだ、と思いながら聴いた。

このレコードは、ベームベートーヴェン交響曲全曲録音の「運命」「第九」に続く第3弾として発売された。
私がこのレコードを買ったのは72年7月、高校2年の時で、初めて買う「田園」のレコードだった。

その後、全集としてまとまって発売されたものを、大学入学の際に親にねだって合格祝いとして買ってもらった。
ベームのこの全集は、その後CDでも買い直していたが、CDで聴くのは確か今回が初めてだ。
だから、この演奏を聴くのは二十数年ぶりになるかと思う。

本当に久しぶりに聴いた訳だが、改めて美しい演奏だと思った。

第1楽章の出だしの響きが何とも言えない気品、雰囲気をたたえている。
最近聴いたどのレコードからもこういう音は聴けなかったように思う。全然違う、と思った。

だが、しばらく聴き進む内に、ほんの少し、ほんの気持ちだが、重たい感じがしてきた。

第2楽章も、申し分ないと思うのだが、僅かに深沈としすぎる感じもする。

第3楽章も、これもほんのちょっと、テンポが遅く感じる。もうちょっと速ければ、と思う。

ただ、さらに聴き進む内、これは、当方のコンディションによるものかもしれないと思い至った。
昨日は早朝から飛行機に乗って、日中は観光し、パーティーで飲んで騒いだ。今日もコンペ事務局としての仕事を少しはした。多少の疲れはあるのだ。
そんな身に、この演奏がちょっと合わなかったのかもしれない。
カラヤンあたりのもっとてきばきとしたテンポの演奏か、時代楽器のさらさらした音だったら、すんなり聴けたかもしれない。

そんなふうに思いながら、第4楽章、第5楽章はしかし、申し分なく感じられた。

全体としては、やはり素晴らしい演奏だと思った。

ウィーン・フィルのこの曲の名演はいくつかあるが、この演奏では、ウィーン・フィルの美感、特にオーボエの美しさが際立っていると思う。
また、第3楽章のスケルツォ主部の終結で、ホルンが音を割って演奏するのは大変個性的だ。こういう演奏はその後も他に聴いたことがない。この部分は、17歳の頃に初めてこのレコードを聴いた時から強く印象に残った部分だ。

このレコードは、また、もう少しゆとりのある状態の時に聴いてみたいと思う。