naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

3月場所千秋楽

把瑠都が今日も勝って、ついに全勝優勝。あの北の富士以来というのだから、大変なことだ。
私も長年相撲を見てきて、十枚目の全勝優勝は初めて見る。
NHKの放送では、15日間の全部の相撲を見せてくれたが、左四つにつかまえて体力で圧倒という相撲のようだ。
このまま幕内で通用するとは思えないが、楽しみな逸材であることは間違いない。
15日制で、過去十枚目で全勝した3力士は、すべて横綱大関に上がっている。この人はどうか。

 

隆の鶴が、初日に勝っただけの1勝14敗。初日負けていれば、全勝力士と全敗力士が同時に出るところだった。

 

十枚目では、他に海鵬が久しぶりの勝ち越し。同じく勝ち越した土佐ノ海は、1場所で幕内復帰が濃厚だが、海鵬にも何とか返り入幕を果たしてほしい。

 

高見盛は、武雄山をうまくたぐった。3場所連続の7勝8敗だそうだ。
惜しかった。
膝の大きいサポーターもないし、身体的には調子がよかったのだろうが・・・。
ともかく、自分の相撲を少し考えて稽古してもらいたいと思う。

 

旭鷲山が敢闘賞。敢闘賞という相撲ではないように思うが(笑)。
今日は、若の里によく見られ、うまくやられた。
その若の里も11勝。来場所は久しぶりに上位に戻る。本人としても楽しみだろう。

 

北桜は、今日も左上手がとれなかったことで充分になれず、右半身の格好から惜しくも負け越し。
花道でのハイタッチは、負けた日もやるのはいかがなものかと思う。

 

朝赤龍皇司をいい攻めで破って10勝。敢闘賞をあげてもよかったのではないか。

 

稀勢の里が2ケタに乗せた。相手が栃乃洋だから当然左四つにはなる。上手はとったが、左が不充分。栃乃洋は、とりあえず左を差せばとれるので、どうかと思ったが、右上手側に腰をぶつけながらの寄りが今日はよかった。
何だかんだ言っても、2ケタ勝ったのはやはり力があることを示すものではある。
ともかく、まだまだ大きく未完成な相撲を、早い内に磨いてほしい。この人にも、もっともっと考えて稽古してもらいたい。

 

旭天鵬が、立ち合いすぐに左四つ充分に組んで、玉春日に完勝。
やはり実力者だ。来場所は三役復帰。

 

安美錦が、足が悪い中、よく頑張って、玉乃島を逆転。7勝8敗は惜しかった。
足をしっかり治して来場所また頑張ってほしい。

 

勝てば技能賞という安馬
動きの中で足が流れてはっとさせられたが、琴光喜に動き勝ち、たぐってうまくまわり、めでたく勝ち越しと三賞を手にした。
一方の琴光喜はこれで8勝7敗。もはや言う言葉がない。

 

さて、優勝をめざす白鵬とがけっぷちの魁皇
白鵬が、普通に相撲をとれるかどうかが取りざたされていたが、立ち合い、白鵬が嫌ったことで、いやな予感がした。
立ち上がると、魁皇充分の左四つを許し、しかも右上手もがっちりとられる最悪の体勢。
魁皇も、今場所ここまでは、左四つになっても力を出せないことが多かったが、さすがにもう後がないこの一番、死にものぐるいの攻めを見せ、一方の白鵬は防戦一方となった。
魁皇が、WBCの日本チーム同様、99%絶望的な状況から、大関を守った。
ただ、力自体が落ちたとも見えた今場所だけに、来場所以降についても心配は残る。

 

一方の白鵬だが、大いに反省すべき相撲だ。
確かにとりづらかったかもしれない。とりあえず大関昇進は手にして、優勝についてどうしても、という気持ちはなかったかもしれない。そうした迷いが出たのだろう。
しかし、それではいけない。朝青龍琴欧州千代大海は、同じ状況の魁皇と正面から戦ったのだから。
普通にとれば圧倒できた筈だ。
それにしても、いくら白鵬でも、これだけ相手充分になってはダメだ。
期待はずれ、この場所何番か見た「どうしたことか」という相撲になってしまった。
今場所、負けた2番は、いずれも別人のような悪い相撲だった。
まだ課題はある。

 

この時点で、朝青龍は、よし、結びで決めるぞ、と気合いが入った筈だと確信した。
本割り一発で14勝1敗の優勝がほぼ濃厚と見えた。

 

カド番をやっと脱出した千代大海と新しくケガをした琴欧州は、琴欧州が今日も相撲がとれない。
両者9勝6敗。
千代大海には、今後多くは望めないが、琴欧州には、ともかく万全に相撲をとれる形で来場所土俵に上がってくれることを切に願う。

 

さて、結びの朝青龍栃東は、まったく意外な結果になった。
ここというところでは、ケタ違いの集中力を見せる横綱が、これも一体どうしたことか。
少なくとも五分にはとれる相手だった筈だが、まさかのもろざしを許し、以後もまったくいいところなく、目を疑う負け方となった。
やはり考えてみれば、今場所は、常に相手に相撲をとらせており、最初から自分の形を作ってしまうことができずに推移してきた。要は調子が悪かったということだが、一方の栃東が終盤調子を上げ気味できたことで、こういう結果になったといえる。
栃東からすると、ここ数日の愚直な相撲を貫いたのが勝ちにつながった。
 価値ある12勝だ。
これで、来場所については、横綱昇進を占う場所になると思う。

 

両者が負けての優勝決定戦というのは、最も可能性が薄いケースと思っていたが、まったく意外だった。

 

その決定戦の予想。
今の力関係からは、まずは五分の勝負といえる。
そうは言っても、朝青龍からすると、千秋楽の本割り・決定戦での連敗、また、白鵬に本割り・決定戦での連敗(先場所からは3連敗)は、絶対に許せないところだろう。
ここで負けたら、時代が変わるかもしれない。それは何としても阻止するのではないか。

 

そんなことを思いながら見た。
内容的には圧倒的に白鵬だったと思う。
立ち合いは左四つに組んだが、これでも存分にとれるのは本割りで証明済み。
しかもその後、まきかえの応酬があって、右四つ。それも左上手を充分にとってのがっぷり四つだ。
懐の深さも生かせる。90%以上、白鵬のもの、という体勢だった。
しかし、白鵬は臆したか。
左の引きつけが足りなかった。
白鵬の気持ちの中に、余りにもいい体勢になったことで、このまま勝ってしまっていいのか、という思いがよぎったのではなかったか。
一方の朝青龍は、栃東戦の不本意な敗戦もあったし、必死だった筈で、その分、迷いがなかったと思う。
懸命に動いて、不充分の右四つからなりふりかまわぬ投げで切って捨てた。
不調ながらもやはり終わってみれば朝青龍千代の富士貴乃花の時代にも、終わってみれば、というのはよくあったが、今場所の朝青龍も同様の結果となった。
白鵬に今一つの厳しさがあれば、と本当に悔やまれる。真の強者には、そういうところがなければならない。琴欧州にはややひ弱さを感じつつも、白鵬にはもっとずぶといところがあると思っていたのだが、現時点ではまだまだのようだ。
そうした気合い、気持ちの強さにおいて、やはり朝青龍は群を抜いていると言わざるを得ない。

 

今日は土俵の進行が遅かった。決定戦含みであれば、17時半より前には本割りを終える進行であるべきだったが、大きく遅れた。
NHKの放送は、少し時間を延長したが、それでも優勝力士インタビューの時点で終わってしまった。
こういうことは記憶にない。
毎場所千秋楽の放送終了時に流される、その場所のダイジェスト映像も、おそらく用意はされていたのだろうが、使われなかった。

 

この3月場所は、優勝争いも面白かったし、栃東の12勝、白鵬大関昇進と収穫もあった。
いい場所だったと思う。
サンケイスポーツで見たが、十枚目以上の全力士が皆勤したのは平成5年7月場所以来だという。
終盤ケガをした力士もいたが、ともかくよかったと思う。

 

※5月場所番付予想

 

      東   西
  横綱 朝青龍
  大関 栃東  琴欧州
      千代大海 魁皇
      白鵬
  関脇 雅山  琴光喜
  小結 旭天鵬 安馬

 

  入幕 土佐ノ海、片山、豊真将把瑠都