naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

イッセー尾形のたった二人の人生ドラマ

イッセー尾形のたった二人の人生ドラマ」を見た。

8月13日の深夜、NHK総合で放映されたものを録画してあったのだが、休みの今朝やっと見たのだ。

タイトルにあるように、登場人物は二人だけ。
1時間ほどの放映時間を20分弱の3つに分けたオムニバス形式だ。

第1話「妻よ」       大泉  洋 (イッセー尾形の娘婿役)
第2話「転勤ですか?」 小松 政夫 (イッセー尾形の部下役)
第3話「再会」       石田ゆり子 (イッセー尾形の娘役)

舞台はいずれも福岡中洲の屋台。
二人芝居であることに加えて、台本一切なし。設定だけが決まっていて、あとは役者のアドリブで進んで行く。

アドリブ芝居だと知った上で見た訳だが、とても面白かった。
基本的には、イッセー尾形が攻め役というか、話を進めていくポジションだったように感じられたが、予め決まったストーリーがない中、相手のせりふに一方がどう応じていくか、興味深く見た。
大泉洋石田ゆり子が、途中で吹き出して笑ってしまったりした場面があったが、これは素の反応だろう。
他にも、「そうきたか」という動揺や、あるいはうまく返せなかったという悔いなども、それぞれの20分弱、お互いの内心には色々あったんだろうな、と面白く見た。

これは推測だが、同じ設定で何回か収録したのではないだろうか。そのたびに違う話の展開になる中、最もいいものを放映したということかと思う。
それとも1回きりなのだろうか。

3つの中では、やはり小松政夫との第2話が、さすがにベテラン同士の熟達した芸に感じられたが、後で調べたら、この二人は日頃も二人芝居をよくやっているらしい。やっぱり。

私は舞台の芝居は見たことがほとんどないが、あらかじめ決めた台本があっても、毎日の芝居の中では色々なことが起きるのだろう。
テレビドラマも、放送局の録画技術が発達していなかった昔は生放送だったが、今はいくらでも撮り直しや編集が可能だから、ミスのない完成されたものが放映される。
(生の演奏会とセッション録音と同じだ)

今回のアドリブ二人芝居のように、ハプニング要素を含んだドラマは、テレビでは珍しい。
そういうものをテレビで見てみたいという心理がある。
ちょっと古いが、「ムー一族」が、新聞のラテ欄に「今夜は生放送」とうたって生放送をやったことがあった(近くは、三谷幸喜の「HR」のある回が生放送だったと記憶する。やはり舞台畑の人ならではの企画)。失敗がないだろうか、大丈夫だろうか、とこっちまでどきどきしながら見て、うまく終わると、さすがにプロは違うな、と思ったりした。
スポーツの実況同様、加工されておらず、レベルの高い妙技、名人芸を見るところに、視聴者としての楽しみもある訳で、今回のような、「なまもの」の芝居を、時々はテレビで見てみたいと思う。