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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

サカリ・オラモ指揮フィンランド放送交響楽団演奏会

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13日(火)、母方の従兄の誘いで、「東芝グランドコンサート2007」をサントリーホールに聴きに行った。

 

 

ブラームス    悲劇的序曲
チャイコフスキー ロココ風の主題による変奏曲
[アンコール] J.S.バッハ アリア

 

シベリウス    交響曲第2番ニ長調
[アンコール] グリーグ 「ペールギュント」から「朝」

 

前日まで自分のオケの合宿だった訳だが、昨日の今日なので、やっぱりプロはすごい、と圧倒される思いがする。

 

最初の「悲劇的序曲」は、1年ちょっと前に、浦安市民演奏会の前プロとして演奏した。
ヴィオラの音中心に、ああ、こういう曲だった、と思い出しながら聴いた。

 

最初の内、フィンランドのオケが、ブラームスを演奏することへの違和感が、ちょっとあった。
外来オケの場合、北欧のオケならグリーグシベリウスチェコのオケならドヴォルザークスメタナ、といった、「お国もの」「本場もの」の作品ばかりを演奏するというイメージがあるので、そんな違和感を一瞬持ったのだ。
しかし、考えてみれば、それは一種の偏見というものだ。
それなら、日本のオケは、武満徹芥川也寸志の音楽ばかりを演奏しているか、と言えばそうではない訳で、モーツァルトブラームスロッシーニドビュッシーも演奏する訳だ。
ちなみに、今回のフィンランド放送交響楽団は、シベ2の他、ヴァイオリン協奏曲、「タピオラ」を各地で演奏しているが、その他に、「運命」、ブラ2、ドヴォルザークのチェロ協奏曲などをプログラムに組んでいる。

 

そう思い直して聴いたこのブラームス、引き締まったすばらしい演奏だった。
特に、ティンパニが鋭い、とてもいい音を出していたのが印象に残り、これはシベ2、楽しみだと思った。

 

次のチャイコフスキーは、ナカリャコフの父親が編曲したものだという。
弦の人数はだいぶ減らしての演奏だった。
私はこの曲、本来のチェロ版も、実はよく知らない。LP時代からドヴォコンの余白などに収録されたりしている曲だから、聴いていないはずはないのだが、やはりちゃんとは聴いていない。
へえ、こういう音楽なんだ、と思いながら聴いた。チャイコフスキーらしい美しい音楽。ヴィオラもいい音で書かれている。

 

フリューゲルホルンというと、昔オフコースのライブで、「Yes-No」のイントロを富樫要さんが吹いていたのを思い起こさずにはいられない。
ナカリャコフは、楽器を下に向けて吹く。私の座った2階席(C4列31番)から見ていると、まるでオーボエクラリネットを吹いているような角度に見える。
そのせいもあるのか、トランペットのように突き抜ける響きではなく、金管楽器なのに、くすんだ感じの音だ。
そのため、チェロの曲だというイメージで聴いた。
すごく低い音も出していた。金管楽器のことはわからないが、こういう名人でないと出せない音なのかもしれないと思った。
ロストロポーヴィチと小澤さんのレコードを持っているので、近い内に聴いてみようと思った。

 

アンコールとして、ハイドンかフンメルあたりのコンチェルトの楽章でもやってくれるかと思ったら、意外な選曲で、バッハのアリア。これがまた金管楽器ながら落ち着いた音色で、しみじみと聴かせてくれた。

 

休憩後は、メインのシベ2。
シベリウスの曲はどれも好きだが、この2番は、大学に入ってヴィオラを始め、最初に乗った演奏会のメインだったので、私にとっては思い入れが深いシンフォニーだ。

 

聴いていて、やっぱりこの曲は好きだなあと思った。

 

以前、ヘルシンキ・フィルの来日公演を2回聴いたことがある。オッコ・カムと、セーゲルスタムの指揮だった。いずれの実演でも、シベリウスを聴いたが、木肌の感触の音がするオケだという印象を持った。
それに比べると、このフィンランド放送交響楽団は、同じフィンランドのオケでもだいぶ違う。
指揮者の嗜好がそうなのかもしれないが、メリハリがきいた、えぐりの深い演奏だ。
席のせいもあるのかもしれないが、音がダイレクトに迫ってくる感じだ。昨年末にNHKホールで聴いたN響の「第九」が、おとなしく遠くで鳴っているような演奏に聴こえたのを思い出した。
しかし、それでいてやはりシベリウスであって、チャイコフスキーっぽくはならない。
そこが面白いところだ。

 

ブラームスでいい音を出していたティンパニは、シベ2でも、ここというところで胸のすく鋭い音を聞かせてくれたが、このメインでは、それだけでなく、ずいぶん幅のある音色を使い分けていたのが印象に残った。

 

今回はすべて対向配置による演奏だった。シベ2だと、2楽章の頭の、チェロバスのピチカートが、ステージの右(バス)と左(チェロ)を行ったりきたりする形になるのが珍しかった。

 

2楽章あたりで気がついたのだが、この曲は、木管はオーソドックスな2管。そのまわりをホルンと金管が取り囲むような形だし、弦もファーストが17人という大人数。
バランス的にはちょっと木管が不利かな、とちょっと思った。アシをつけるか、弦を少し減らすか・・・。

 

4楽章の後半、短調で盛り上がっていくところは、相当速いテンポ。昔、よく聴いたモントゥーのレコードを思い出した。
このテンポは、ちょっと私の好みではない。もう少しゆったりと進行してくれればいいのにと思いながら聴いていたが、コーダに入ってからは一転して、じっくり踏みしめるような遅いテンポになった。これくらい遅いのは、私としては非常に好みとするテンポで嬉しかった。途中の不満におつりがきた。

 

やっぱりいい曲だ、シベ2。

 

アンコール、定番の「フィンランディア」でも、と思ったが、よく見ると打楽器がティンパニしかないので、それはない。
ペールギュント」の「朝」がしっとりと奏でられた。非常に満足感を与えてくれるアンコールだった。

 

余談だが、この「朝」、以前出向していた職場で、朝9時前になると毎日流されていた。これが終わるとラジオ体操が始まるのだった。
1年過ごしたその職場のことを思い出させられながら聴いた。

 

21時前終演。
表に出て、従兄と神谷町へ出て、近況報告などしながら軽く飲み、日比谷線で八丁堀、八丁堀から京葉線に乗り換えて帰ったのだった。

 

これも余談だが、市原に住む8歳上のこの従兄は、小田(和正)さんと一緒の大学で同学年。友だちづきあいをしていたという。既にオフコースとして活動していた鈴木(康博)さんとも顔なじみで、「小田」、「ヤス」と呼ぶ仲だったらしい。