naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

3月場所13日目~白鵬優勝に王手

NHK正面実況は刈屋アナ。この人は、時間いっぱいになると、「立ち合いです!」、「立ち合い!」というのが口癖になっている。ほとんどどの取組にも連発するので、非常に耳ざわりだ。

朝赤龍は左四つから千代白鵬を正面に寄り切った。この人らしい、食い下がる相撲ではなかったが、4場所ぶりの勝ち越し。

高見盛は、翔天狼を右四つに組み止めての寄り切り。下手の方へ、下手の方へと、基本に忠実な寄り。

玉鷲豊真将は、立ち合い玉鷲が押し込んだが、豊真将は俵に足がかかったところから左を入れて攻め返した。今場所の豊真将は、前に出る出足が目立つ。守り中心の相撲からの脱皮がみられる。右からおっつけながら、白房下へ寄り倒した。これで2場所連続の2ケタ。

山本山は、立ち合い豊ノ島に下に入られ、頭もつけられ、これではもうだめか、という体勢。あとは、豊ノ島がどう料理するか、の興味だけかと思ったが、ここから、山本山が意外なねばり。豊ノ島が正面に寄ると、これを残して、右から上手投げを打った。豊ノ島はブリッジの格好でくるりと一回転した(かつて物議を醸した、朝青龍琴ノ若の相撲を思い出した)が、本当にこれをよく残して、相手と正対し、青房下に出ようとしたところ、山本山は今度は左からの上手投げ。これが決まった。山本山は、本人の言う、「ただのデブではない」ところを見せた。

琴奨菊は、立ち合い右から張って右上手、左も差して、上手を引きつけて出足よく豪風を赤房下へ寄り切った。

豪栄道栃煌山、ライバル同士の一番であることに加え、今場所は上位にあって7勝5敗と好調な状況での楽しみな対戦となった。立ち合い、豪栄道が下からすくうように右差し。栃煌山も左上手をとったが、すかさず次の瞬間、豪栄道が右下手からの投げ。豪栄道の投げは強い。栃煌山を腰に乗せた。
この一番は、常に豪栄道が先手で動いたことが勝ちにつながった。栃煌山にはいいところがなかった。悔しいだろう。豪栄道は、返り三役で見事に勝ち越し。

稀勢の里鶴竜は、三役入れ替え戦的な取組。相撲は一方的で、またまた稀勢の里のふがいなさだけが目についた。立ち合い、鶴竜は左から張って、すぱっともろ差し。いっぺんにがぶって黒房下に寄り切った。鶴竜は勝ち越し。一方の稀勢の里は何もできないままで負け越し。とにかく、稀勢の里には、自分の相撲というものを考え直してほしい。NHK向正面の武隈親方が、「稀勢の里には謙虚さが足りない」と指摘していたが、まったく同感だ。どこかに考え違いがあると知ってほしい。

把瑠都旭天鵬は、旭天鵬が先に左上手。しかし、把瑠都も手を伸ばして上手をとり、がっぷり右四つ。そこから動きが止まったが、把瑠都は昨日に続いて吊りをみせた。旭天鵬は、足をばたつかせて残したが、把瑠都は左から投げながら、白房下へ寄り切った。

琴光喜千代大海は、千代大海がよく突いて押し込んだが、琴光喜はこれを残し、右からいなし気味に体を入れかえて、東へ押し出した。これで、琴光喜はカド番脱出。

今日の日馬富士は、あまりいい攻めではなかった。立ち合い、飛び上がるように雅山の顔を左から張った。上手をとりにいこうとしたようだがとれず、突き合いとなったが、上体が高くなったままでの突きだったので、雅山が右から突き落とすと、西へ大きくのめって、土俵をほとんど飛び出しかかったが、よく向き直り、左前まわしをつかむと、東へ寄った。日馬富士は、後半は動きがよかった。

白鵬琴欧洲は、琴欧洲が予想以上にいい相撲をとった。白鵬は立ち合いからもろ差しをねらったが、琴欧洲は左からおっつけて、白鵬の右差しを許さず左四つ。互いに上手がとれない格好になった。白鵬としてはこの流れは誤算だっただろう。しかも、琴欧洲ががっちり下手まわしをとったのも効いていた。白鵬は、機を見て右をまきかえてもろ差しをねらったが、琴欧洲も右をまきかえて右四つ。このまきかえが実に速かった。これも白鵬としては誤算だったと思う。また互いに上手がとれない右四つとなり、ここでも、琴欧洲が右下手をがっちりととった。しかも、先に攻めたのは琴欧洲。左からおっつけながら、赤房下へ寄ると、上手がとれていない白鵬は下がって危なかったが、土俵際で上手に手がかかると、その瞬間に上手投げで転がした。速く、切れ味のある投げで、見事に決まった。
白鵬としては、常に下手を充分とらせたことが苦戦の原因。土俵から下りて、相当疲れた様子を見せていたのと、投げて土俵に落ちる時の右手首のつき方も、ちょっと危ない感じだったが、大丈夫か。

結び、朝青龍魁皇は、昨日の相撲を観たところでは、朝青龍のスピードが影を潜めていたし、朝青龍が傷めている左かいなを魁皇がたぐる場面があれば、充分勝機があると思って観た。立ち上がってからの朝青龍の動きは、やはりよくない。スピードもない。攻め合いから左四つ。互いに上手がとれない。ここで、魁皇が相手の左かいなを集中して、小手にきめて攻めれば、と思ったのだが、魁皇にそういう動きがない。朝青龍が右上手をとって、正面に寄ると、下がれば残す腰がない魁皇は、あっさり土俵を割った。魁皇には充分勝機があったと思うが、朝青龍への遠慮があったのか。先場所は、豊ノ島を壊して休場に追い込んだのに。
相撲とは別に、実況の刈屋、正面解説の舞の海が、揃って、朝青龍のここにきての失速を、気力、集中力の問題としてとらえ、左ひじの状態についてはあまり重視しない論調に終始したのには、大いに疑問がある。気力も集中力もあるのだが、ひじが痛くて自分の相撲がとれないというのが実態ではないのだろうか。精神面の下降としてとらえるのは、朝青龍に対して失礼な話ではないかと思う。把瑠都戦であれだけの相撲をとれた人が、急に気力を失うことは考えにくい。フィジカルな部分での異変があったからと見るべきだろう。

全勝 白鵬
2敗 朝青龍

横綱に絞られたとは言うものの、朝青龍逆転優勝の可能性は、限りなくゼロに近いと思う。また、千秋楽で、全勝阻止というのも難しいだろう。明日の優勝決定は、ほぼ間違いない。