１月場所13日目～白鵬がよもやの連敗で朝青龍と２差

豊響が、この人らしいいい押しで、猛虎浪を正面へ一気に押し出した。２ケタ。

岩木山が重量感あふれる相撲。立ち合い右をのぞかせると、高見盛をいっぺんにもっていった。これで６日目から８連勝。

光龍が突くところを、栃煌山は左をのぞかせ、右はずで前に出て勝ち越し。いい攻めだった。

玉鷲と阿覧は、阿覧が左から張って左差し。右ものぞかせて頭をつける。玉鷲は右からかかえ、阿覧が出てくるところを、正面でまわりこみながら、小手投げで勝ち越し。
敗れはしたが、今場所の阿覧の相撲には進歩が見える。

武州山と豊真将は、激しい攻防。互いによく動き、最後は豊真将が押し倒した。豊真将は、辛抱の相撲で７勝目。

黒海が、久々に激しい突き押しの相撲を見せた。嘉風を東へいっぺんに突き出した。黒海は、昔はこういう相撲をとっていたんだと思い出させられた。

朝赤龍と豪風は、豪風が突いてはたくと、朝赤龍は崩れかかったが持ちこたえ、豪風がさらに押して出るところを、逆にはたいた。

豊ノ島と豪栄道は、右四つがっぷり、胸を合わせた。豪栄道が正面に寄ったが、豊ノ島が左からの上手投げで逆転。
豪栄道は、何か漫然と寄った感じがある。引きつけも不充分だったし、上手側に寄ったのがまずかった。

稀勢の里は、立ち合い右から張って左四つ。一枚ながら上手をとり、鶴竜には上手を与えない。稀勢の里が西へ寄って出ると、鶴竜はいったんこらえたが、再度の寄りに土俵を割った。稀勢の里は勝ち越し。腰を落とした寄りがよかった。
やはり、自分充分の形になれば強い、ということだ。ただ、今場所、期待される他の若手力士も含めて特に感じるのは、｢こうなれば勝てる｣という形は持っていても、さらに上をめざすのであれば、そうさせてもらえなくても何とかくらいついて攻める、｢相撲の幅｣がほしいということだ。
現時点では、それを持った力士が見あたらない。だから、関脇小結が毎場所いれかわることになる。強いて言えば、把瑠都が少し抜けているが、まだ体力頼みの部分が残っている。

琴奨菊は、雅山の突きをこらえておいての引き落とし。物足りない筆頭は、この琴奨菊。今場所の琴奨菊は、内容に見るべきものがない。この人本来の相撲が少ない。

把瑠都と安美錦は、安美錦が低く当たって右からおっつけ、左はずで押し上げると、把瑠都の巨体が浮き上がった。安美錦が正面に寄って出るところ、把瑠都が左から上手投げを打ち、青房下でもつれた。把瑠都の上手投げは苦しまぎれ。最後はその上手もまわしから離れ、把瑠都の体は土俵下に飛んだ。勝負は別にして、内容的には把瑠都の完敗という相撲だった。
軍配は安美錦にあがるべき相撲と思ったが、行司軍配は把瑠都。当然物言いがついたが、把瑠都の体が飛ぶのと安美錦の手がつくのが同時ということで取り直し。私としては、把瑠都の体が飛んでいる方を重視し、取り直しでなく、安美錦の勝ちでよかったと思う。
取り直しの一番、安美錦があるいは変化に出るかと思ったがまとも。しかし、安美錦はすぐ引きをみせてしまい、把瑠都が西へついていくと、あきらめたように土俵を割った。あるいは膝に痛みが走ったか。

日馬富士と垣添は、低く当たり合ったが、日馬富士が下から突き起こして、東へいっぺんにもっていった。地力の差。

朝青龍は、時間いっぱいから琴欧洲に先に手をおろされて、待った。２回目は自分が先に手をついて立ち上がった。このへんはさすがのかけひき。
立ち合い朝青龍は右から張って左前まわしをとり、頭をつけた。琴欧洲は右からかかえる。以後、朝青龍の右と琴欧洲の左の攻め合いとなったが、朝青龍は右で相手の手首をつかみ、そのまま手前にかいなひねりで倒した。
琴欧洲は終始まわしがとれず。基本的に後手の相撲で、これでは勝つことはできない。

昨日まさかの２敗目、星一つの差で朝青龍を追うことになった白鵬は、絶対に負けられない魁皇戦。このところ17連勝中であったが、よもやの結果となった。
立ち合い白鵬は左からかちあげにいったが、魁皇はその左を思いきってたぐると、白鵬は大きく泳ぎ、西土俵で向き直るところ、魁皇が押し出した。
これで白鵬は自力優勝がなくなった。まったく予想もしていなかった展開だ。
今日の相撲も、昨日の日馬富士戦と同様、白鵬の攻め手と相手の動きが、ちょうどタイミングよく働いた目はある。しかし、魁皇にこの手があることは、白鵬としても充分に頭に入れておくべきであり、このような負け方は、ありうべからざることだ。
ここ２日間、まったく白鵬らしからぬ内容の相撲になっているのが信じられない。

１敗　朝青龍
３敗　白鵬、日馬富士、把瑠都、豊響

これで、明日にも優勝が決まる状況になったが、朝青龍の相手は日馬富士。これは期待が持てる。日馬富士としては、朝青龍に勝てば、千秋楽の横綱同士の対戦の結果によっては、自分にも優勝のチャンスがめぐってくる。
ここは、明日あっさり朝青龍の優勝ということでなく、是非千秋楽に楽しみを持ち越してもらいたいものだ。