naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

5月場所千秋楽

千秋楽の記事を書くつもりはなかったのだが、これより三役の3番について少し。


昨日書いたが、自分が勝ったら相手が大関から落ちるという一番ながら、今場所、優勝争いにからんだ好調からすれば、しっかり勝たねばならない。
しかし、目を覆うような相撲。これではだめだ。
NHK放送の刈屋アナが、「琴欧洲、カド番を脱出しました」と、いかにもよかった、という言い方をしたが、どんなものか。
ギリギリ8勝7敗で大関が地位にとどまったことが、そんなに良いことなのか?
今場所の7敗の内容を観れば、大関にふさわしい力士でないことは明白。
そういう大関は淘汰されてしかるべき、と評するのが、メディアの使命ではないのか。


ぶちこわし、とはこのことだ。
この一番の経過、結果に、どれだけの相撲ファンが落胆しただろう。
昨日のあの白鵬戦が帳消し。
今場所の稀勢の里は変わった、と多くの相撲ファンが思い、昨日の相撲でそれを確信したはずだ。
久々の国産力士の優勝、また近い将来、久々の国産横綱の誕生を、今度こそ、と思った人は多かろう。
しかし、それがすべて帳消し。
たった一番の相撲の怖さを痛感した。
放送の中で、「昨日の相撲で、白鵬との実力差が拮抗してきたのは事実であり、優勝は逃したが、来場所以降期待できる」との発言が何度も出た。
私は違うと思う。
白鵬の個別の対戦については、例の64連勝阻止や、翌場所の再度の連勝阻止の相撲など、これまでも対戦成績以上に好勝負が多く、このカードに関して、今後の期待が持てるのは事実だろう。
しかし、14日間を帳消しにしてしまうような相撲を、同格の大関相手に千秋楽でとったことだけで、この力士に横綱の資格がまだないと言えると思う。
今日の相撲を通じてはっきり言える、この人の課題は、「左をどう使うか」だろう。
左四つに自信があるから、左を差したいのかと思いきや、稀勢の里は、左のおっつけの破壊力も相当なものがある。
その左を、例えば今日、琴奨菊にどう使うのか。差すでなく、おっつけるでない、あの相撲では、もろ差しを許しての惨敗もやむを得ないところだ。
これまで何度も言ってきたが、この人は左四つの四つ身がよくない。むしろ突き押しの相撲が向くと思う。
自分にとっての最善の相撲が確立していない大関に、まだ横綱は難しいと考える。


土俵に上がる前に、優勝が決まった。しかも、稀勢の里のあんまりな内容の相撲で。
全勝にこだわらないなら、気が抜けてしまっておかしくない状況。
しかし、しっかり相撲をとって、10回目の全勝で花を添えたのは、立派だった。
一方、2ケタは確保したものの、の日馬富士の来場所以降はどうなるか。