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目から鱗が落ちた話~ヴィオラ初心者時代、「魔笛」序曲の思い出

浦安オケ、今年秋の定期演奏会では、冒頭にモーツァルトの「魔笛」序曲を演奏する。

 

魔笛」序曲には、個人的にはちょっとした縁がある。

 

私は、1974年、大学に入学して管弦楽団に入部し、初心者としてヴィオラを始めた。

 

入部後、最初の演奏会は、7月のサマーコンサート。ヴィオラはまだ始めたばかりだったので、打楽器とキーボードでの出演。

 

ヴィオラでのデビューステージは、11月の定期演奏会だったのだが、この演奏会の前プロが「魔笛」序曲だった。

 

そして、その21年後、1995年1月に、卒業後の長いブランクを経て、今の浦安シティオーケストラに入団。
3月に行われた最初の本番、定期演奏会の前プロも「魔笛」序曲だった。

 

そんな偶然の縁がある曲だ。

 

ところで、話はその初心者時代に戻る。ボウイング、というものについて、目から鱗が落ちる思いをしたのが、「魔笛」序曲でのことだった。

 

7月のサマーコンサートが終わると、間もなく大学は夏休み。
団から借りていた楽器と、11月の定期演奏会の楽譜一式を持って、小平市の下宿から木更津の実家へ帰省した。

 

予定の曲目は、「魔笛」序曲の他、サン=サーンスの「アルジェリア組曲シベリウス交響曲第2番だった。

 

実家帰省中、これらの曲をよちよちとさらった。

 

先輩の団員にレッスンを受け始めて間もない私は、まだ、音階がやっと弾ける程度。もちろん、ヴィブラートやポジション移動どころではない。

 

そんな私が、「魔笛」序曲を個人練習していて、まずぶつかったのがボウイングの問題だった。
(持ち帰った楽譜には、ボウイングが記入されていなかった)

 

ボウイングについては、┌┐の記号がダウン、∨の記号がアップ、くらいのことしか知らず、実際に曲を演奏するにあたっての運用などは、全然わからなかった。

 

で。

 

序奏が終わってアレグロに入ったところ。ピンクの部分。
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これを私はこういうふうに弾くものだと思って練習していた。
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┌┐から始めて、弓順に┌┐∨┌┐∨と弓を動かす。
ピアノは弾けたので、スラーはわかる。
つまり、アーティキュレーション通り、弓順に弾いていくと、2小節目の頭が∨になる。
1小節目と同じパターンの楽譜なのに、2小節目はまったく逆のボウイングになってしまうことに違和感があった。3小節目からは┌┐∨┌┐∨の繰り返しで違和感はなくなるが。

 

それが、何だかイヤだなあ、という感じだった。

 

やがて夏休みが終わり、オケの練習が再開された。

 

私は、このことについて、さっそくパートの先輩に聞いてみた。

 

そしたら、即座に返ってきた答えが、「2小節目の最初の2つは∨∨で弾くんだよ」だった。

 

つまり、こういうことね。
イメージ 3

目から鱗が落ちる」とは、正にこのことだった。

 

あー、そうなんだ。┌┐∨┌┐∨┌┐∨って、とことん交互に弾いていかなきゃいけないわけじゃないんだ!

 

そうやって調整するのか。なるほど~。

 

夏休みの間、悩んでいた、とまでは言わないにせよ、自分では答えが出せなかった問題が、あっけなく解決してしまった。

 

この件での「鱗の落ち方」は、私にとって尋常ではなく、いまだに鮮烈におぼえている。

 

実は、大学1年のこの秋の本番で、「魔笛」序曲を弾くことは結局なかった。
当初は、「魔笛」と「アルジェリア組曲の2つに乗る予定だったが、その後、シベ2乗り番、「魔笛降り番、と変わったのだ。

 

実際には弾かなかったものの、この一件によって、「魔笛」序曲は、私にとって、ヴィオラ初心者時代の思い出の曲なのである。

 

※関連の過去記事
    音楽「自分史」~ヴィオラ事始め