このオペラの実演に接する機会はめったにない。是非是非、と思っていた。
公演は4回あるが、なかなか行けずにいた。
初日の4月5日(土)は、その週の疲労の蓄積で、とても千葉から初台まで出かける気になれず見送り。
2回目の8日(火)は、18:00に会社を出られれば間に合う、と計算していたが、結果、会社を出たのは19時半(笑)。
3回目は、11日(金)で、平日の上に14:00開演。午後休暇でもとらねば無理なスケジュールだった上に、結果として当日は大阪出張だった。
ということで、最終日の今日、13日(日)がラストチャンス。
当然ながら、オケ練とバッティングしたのだが、今回はごめんなさい、「ヴォツェック」をとらせてもらって、欠席。
初日の4月5日(土)は、その週の疲労の蓄積で、とても千葉から初台まで出かける気になれず見送り。
2回目の8日(火)は、18:00に会社を出られれば間に合う、と計算していたが、結果、会社を出たのは19時半(笑)。
3回目は、11日(金)で、平日の上に14:00開演。午後休暇でもとらねば無理なスケジュールだった上に、結果として当日は大阪出張だった。
ということで、最終日の今日、13日(日)がラストチャンス。
当然ながら、オケ練とバッティングしたのだが、今回はごめんなさい、「ヴォツェック」をとらせてもらって、欠席。
新国立劇場に来ると、やっぱりこれからオペラを観るんだ、という独特の高揚があるね。
当日券を購入。2階3列21番。
ベルク ヴォツェック
日 時 2014年4月13日(日) 14:00開演
指 揮 ギュンター・ノイホルト
演 出 アンドレアス・クリーゲンブルク
合 唱 新国立劇場合唱団
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
ヴォツェック ゲオルク・ニグル
鼓手長 ローマン・サドニック
大尉 ヴォルフガング・シュミット
医者 妻屋 秀和
マリー エレナ・ツィトコーワ
マリーの子供 池袋 遙輝
日 時 2014年4月13日(日) 14:00開演
指 揮 ギュンター・ノイホルト
演 出 アンドレアス・クリーゲンブルク
合 唱 新国立劇場合唱団
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
ヴォツェック ゲオルク・ニグル
鼓手長 ローマン・サドニック
大尉 ヴォルフガング・シュミット
医者 妻屋 秀和
マリー エレナ・ツィトコーワ
マリーの子供 池袋 遙輝
全3幕だが、休憩なしでの上演だった。
念願の「ヴォツェック」の実演に接して。
凄かった、の一言に尽きる。
このオペラは、昔、アバドがウィーンで上演した時の映像を、レーザーディスクで持っていたが、観たのはずいぶん前のことだ。
最近では、ウォークマンで音源を何度か聴いているが、作品自体にそうなじんでいるわけではない。
最近では、ウォークマンで音源を何度か聴いているが、作品自体にそうなじんでいるわけではない。
その点では、昨日聴いたブルックナーの5番と同様で、とにかく実演でじっくり聴いてみよう、という状況だった。
だから、あまり細かいことは言えない。
しかし、とにかく凄かった。
感じたのは、音楽の持つ「説得力」である。
基本的に調のない、メロディも前面に出てこないオペラだ。「ゲンダイオンガク」である。
私は、現代曲に極度のアレルギーがあるわけではないので、前向きに聴くことはできた。
私は、現代曲に極度のアレルギーがあるわけではないので、前向きに聴くことはできた。
しかし、全3幕を観賞してみて、ことさらに、「ゲンダイオンガク」を聴くための「努力」など、まったく必要のないオペラだと痛感した。
この客席に足を運ぶ気持ちがある人は、もちろん作品に対するシンパシーや知的関心を持っているのだろうが、そうでない、オペラと言えば、モーツァルトやヴェルディなどをもっぱら聴いている、という人でも、拒絶反応を起こさずに充分に引き込まれるのではないかと思う。
それはひとえに音楽の持つ「説得力」。
上手に表現できないのだが、舞台上で繰り広げられているストーリー、このオペラには、こういう音楽しかありえない、と感じさせられるものがあるのだ。
視覚面で観ているものと、聴覚に届いてくるものとが、本当に一体のものとして、届いてくる。
芝居と音楽、別々のものが一緒になっている、という感じではないのだ。芝居と音楽が別に存在するのでなく、最初から一つのものとして創作された、というふうに、私は説得された気持ちだった。
芝居と音楽、別々のものが一緒になっている、という感じではないのだ。芝居と音楽が別に存在するのでなく、最初から一つのものとして創作された、というふうに、私は説得された気持ちだった。
もともとオペラというのは、芝居と音楽の総合芸術ではある。しかし、モーツァルトを始めとする、多くのオペラが、お芝居に音楽をつけた、お芝居の台詞を歌にした、という感触を持っているのに対して、この「ヴォツェック」は、芝居と音楽がまったく隙間なく一体となっている。もともと別に存在していないのだから、隙間もなければ、分かちがたく、ということでもない。
今日の私には、そのように感じられた。
それにしても、何というオペラだろう。ベルクという人は、何というものを創作したのだろう。
カーテンコール。
オーケストラがとにかくよかった。
歌手についてはあまり言えないが、タイトルロールには圧倒された。特に第3幕。
今回の演出は、2009年にこの劇場で上演された時と同じもので、バイエルン州立歌劇場との共同制作だそうだ。
舞台に水を張って、その上を、バシャバシャと音を立てて登場人物が歩く。
その上に、箱形の部屋のセットがあって、登場人物は、ここと水の張られた舞台を行き来する。
基本的には、シンボリックな演出だった。私には、その意図がすべて飲み込めたとは言えないが、観賞の支障にはならなかった。
第1幕 組曲、ラプソディ、行進曲と子守歌、パッサカリア、ロンド
第2幕 ソナタ、ファンタジーとフーガ、ラルゴ、スケルツォ、序奏付きロンド
第3幕 1つの主題によるインヴェンション、1つの音によるインヴェンション、
1つのリズムによるインヴェンション、1つの6音和音によるインヴェンション、
1つの運動によるインヴェンション
第2幕 ソナタ、ファンタジーとフーガ、ラルゴ、スケルツォ、序奏付きロンド
第3幕 1つの主題によるインヴェンション、1つの音によるインヴェンション、
1つのリズムによるインヴェンション、1つの6音和音によるインヴェンション、
1つの運動によるインヴェンション
また、ライトモティーフも用いられているという。
ともかく、「熟読玩味」するに値する、稀有なオペラであることがわかった。
実演に接する機会は、そうしばしばはないだろうが、せめて映像ソフトや音源で、少しずつ勉強してみたい。
いつか次の実演を観る時、前記の楽曲構成や、ライトモティーフを理解し、味わうことが私にはできるだろうか。
オケ練をさぼってしまったが、稀有なオペラ体験ができて、本当によかった。
今シーズン、5月から6月にかけて、「アラベラ」が上演される。これも是非観てみたい演目だ。