naokichiオムニバス

67歳会社員。ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

マウリツィオ・ポリーニ ピアノ・リサイタル

18日(木)、サントリーホールで行われた、ポリーニのリサイタルに行ってきた。

 

今回の来日公演は、3回行われ、その内、7日(土)に妻が、18日に妻と私が出かけた。

 

7日の公演後、腕の疲労が回復しないとの理由で、11日(木)に予定された公演が21日(日)に延期されることに加え、18日の曲目も11日(21日に延期)と同一の曲目に変更された。

 

   ポリーニ来日公演予定変更
      https://naokichivla.hatenablog.com/entry/66162384

 

   ●18日の曲目変更
   (変更前)
   シェーンベルク: 3つのピアノ曲 op.11
   シェーンベルク: 6つのピアノ小品 op.19
   ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 op.13「悲愴」
   ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調 op.106 「ハンマークラヴィーア」
          ↓
   (変更後)
   ショパン: 2つのノクターン op.55
   ショパン: ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 op.58
   ドビュッシー前奏曲集 第1巻
   (10/21と同一プログラム)

 

異例の変更のため、払い戻しにも応ずるとのことだった。

 

18日の曲目変更は、当初予定のシェーンベルクベートーヴェンショパンドビュッシーにするという大きなもので、しかも前半のショパンは、妻が7日に既に聴いた曲目でもある。

 

払い戻しを求めることも考えたが、ショパンの3番のソナタは、私が聴きたいと思っていた曲でもあり、予定通り出かけることにした。

 

開場時刻の少し前に会場に到着し、入口に並んでいると、曲目変更を伝えるらしき紙が目についた。

 

一応見てみようと近づいたら、何と、再度の曲目変更!

 

イメージ 1

 

前半ショパン、後半ドビュッシーの構成に変更はないものの、前半のショパンが大きく変わり、お目当てであった3番のソナタが消えている。

 

妻との間では、払い戻しを求めるか、との話も出たが、まあせっかく来たのだからと、入場。

 

イメージ 2

 

間の公演を飛ばして、中10日の休養期間がありながら、ソナタは弾けない、という判断なのだろうか。懸念がひろがる。

 

場内で「演奏者の希望により、空調を弱めにしております。ご了承下さい」との表示も見かけた。コンディションはまだ万全ではないのか。

 

それにしても、一昨年、ミューザ川崎に出かけた際も、曲目変更で、一番聴きたかったシューマンの幻想曲がなくなってしまったことがあった。今回も、期待していた「ハンマークラヴィーア」が飛んでしまったのを残念に思いつつも、ショパンの3番が聴けるならと出かけたのに、当日になってそれも消えてしまうとは。つくづく、「ポリーニで聴きたい大曲」に縁がない・・・。

 

マウリツィオ・ポリーニ ピアノ・リサイタル

 

日 時 2018年10月18日(木) 18:30開場 19:00開演
会 場 サントリーホール
ピアノ マウリツィオ・ポリーニ
曲 目 ショパン ノクターン嬰ハ短調作品27-1
     ショパン ノクターン変ニ長調作品27-2
     ショパン マズルカロ長調作品56-1
     ショパン マズルカハ長調作品56-2
     ショパン マズルカハ短調作品56-3
     ショパン ノクターンヘ短調作品55-1
     ショパン ノクターン変ホ長調作品55-2
     ショパン 子守歌作品57
     ドビュッシー 前奏曲集第1巻
     [アンコール] ドビュッシー 前奏曲集第2巻から「花火」

 

我々の席は、2階2列22番、23番。2列と言っても最前列だ。
(7日に妻が座ったのも、2階2列22番だった)

 

場内を見渡すと、相当数の空席。おそらく3分の1近くが空席ではないだろうか。

 

やはり、ベートーヴェンでないのなら、と払い戻しを求めた人がたくさんいて、それを当日までに売り切れなかったということか。

 

ポリーニが登場。妻によると、7日の時に比べると、ずいぶん元気そうに見えるとのことだった。

 

ノクターンが始まった。

 

指が鍵盤にぴたっと吸い付いているようなショパンだった。音空間が大きくひろがるというのではなく、弾いているポリーニの周辺、限られた範囲で音が鳴っているように感じた。

 

深沈としたノクターン。ピアノを自在に操っている、そんな印象で2曲のノクターンが終わった。

 

ポリーニは、ここでいったん舞台袖へ。

 

改めて登場したポリーニは、残るショパンを舞台から下がることなく続けて弾いた。

 

まず3つのマズルカマズルカの場合、もう少し歯切れのよさがほしい、と思いながら聴いていた。かつてレコードで聴いていた、あたりをなぎはらうような鮮やかな演奏で聴ければ、と。

 

ほぐれない毛糸玉みたいなイメージを感じた。

 

ところが、3曲目のc-mollから、急に変わった印象を受けた。形がはっきり聞こえてきて、最初のノクターンと違ってダイナミックさが出てきた。

 

そのまま、次のノクターンへ。1曲目のf-mollはとてもよかった。

 

そして、2曲のノクターンの後、前半の最後に弾かれた子守歌は、本当に絶妙だった。最初のノクターンからの流れを経て、この場所にアンコールのように置かれてこそ、と感じる曲であり演奏だった。

 

このホールでかつて聴いた、ベートーヴェンの32番のソナタのアリエッタを思い出した。

 

前半のショパンプログラム全体の流れに感じた大きな変化は、ポリーニの意図、設計によるものだったのだろうか。

 

ショパンでの各曲をそれぞれ閉じる時の音楽の運び方、呼吸は、やはりショパンを得意とするポリーニならでは、自家薬籠中の物、とつくづく感じさせられた。

 

休憩は25分。ポリーニのために長めにとったということか。

 

後半のドビュッシーは力演。ポリーニ健在と思わせる、申し分のない演奏だったように思う。

 

とりわけ、7曲目「西風の見たもの」、8曲目「亜麻色の髪の乙女」、10曲目「沈める寺」、12曲目「ミンストレル」がよかった。

 

亜麻色の髪の乙女」を聴いていて、「展覧会の絵」の「プロムナード」、「沈める寺」では「キエフの大門」を思い出した。

 

前半、後半を通じて、ポリーニは、各曲の最後の音を弾き終わると、鍵盤から手を離して膝の上に置き、ペダルで保っていた響きを足で切る終わり方が多いことに気がついた。

 

おそらくコンディション充分でない中の演奏、ドビュッシーが終わった後は、もういい加減、解放してあげたい、と思った。アンコールはいらない、と。

 

しかし、盛んな拍手のカーテンコールは続き、同じドビュッシー前奏曲集第2巻から「花火」が演奏された。弾き始め、だからアンコールはやめればよかったのに、と思う瞬間があったものの、すぐに持ち直し、黙らされる演奏となった。

 

「花火」の後は、満場がスタンディングオベーション。我々も立った。

 

イメージ 3

イメージ 4

 

そこからのカーテンコールは、さすがにそこそこでおさまり、21時前終演した。

 

イメージ 5

 

度重なる曲目変更には落胆もあったが、やはり聴いてよかったと思わされる演奏会だった。

 

5日前の、札幌での小田(和正)さん、そしてこの日のポリーニと、この先、実演に接する機会が何度あるか、とどこかで思いながらの鑑賞が重なった。