今回の来日公演は、3回行われ、その内、7日(土)に妻が、18日に妻と私が出かけた。
7日の公演後、腕の疲労が回復しないとの理由で、11日(木)に予定された公演が21日(日)に延期されることに加え、18日の曲目も11日(21日に延期)と同一の曲目に変更された。
●18日の曲目変更
(変更前)
シェーンベルク: 3つのピアノ曲 op.11
シェーンベルク: 6つのピアノ小品 op.19
ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 op.13「悲愴」
ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調 op.106 「ハンマークラヴィーア」
↓
(変更後)
ショパン: 2つのノクターン op.55
ショパン: ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 op.58
ドビュッシー: 前奏曲集 第1巻
(10/21と同一プログラム)
(変更前)
シェーンベルク: 3つのピアノ曲 op.11
シェーンベルク: 6つのピアノ小品 op.19
ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 op.13「悲愴」
ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調 op.106 「ハンマークラヴィーア」
↓
(変更後)
ショパン: 2つのノクターン op.55
ショパン: ピアノ・ソナタ第3番 ロ短調 op.58
ドビュッシー: 前奏曲集 第1巻
(10/21と同一プログラム)
異例の変更のため、払い戻しにも応ずるとのことだった。
開場時刻の少し前に会場に到着し、入口に並んでいると、曲目変更を伝えるらしき紙が目についた。
一応見てみようと近づいたら、何と、再度の曲目変更!
妻との間では、払い戻しを求めるか、との話も出たが、まあせっかく来たのだからと、入場。
間の公演を飛ばして、中10日の休養期間がありながら、ソナタは弾けない、という判断なのだろうか。懸念がひろがる。
場内で「演奏者の希望により、空調を弱めにしております。ご了承下さい」との表示も見かけた。コンディションはまだ万全ではないのか。
それにしても、一昨年、ミューザ川崎に出かけた際も、曲目変更で、一番聴きたかったシューマンの幻想曲がなくなってしまったことがあった。今回も、期待していた「ハンマークラヴィーア」が飛んでしまったのを残念に思いつつも、ショパンの3番が聴けるならと出かけたのに、当日になってそれも消えてしまうとは。つくづく、「ポリーニで聴きたい大曲」に縁がない・・・。
●マウリツィオ・ポリーニ ピアノ・リサイタル
日 時 2018年10月18日(木) 18:30開場 19:00開演
会 場 サントリーホール
ピアノ マウリツィオ・ポリーニ
曲 目 ショパン ノクターン嬰ハ短調作品27-1
ショパン ノクターン変ニ長調作品27-2
ショパン マズルカロ長調作品56-1
ショパン マズルカハ長調作品56-2
ショパン マズルカハ短調作品56-3
ショパン ノクターンヘ短調作品55-1
ショパン ノクターン変ホ長調作品55-2
ショパン 子守歌作品57
ドビュッシー 前奏曲集第1巻
[アンコール] ドビュッシー 前奏曲集第2巻から「花火」
会 場 サントリーホール
ピアノ マウリツィオ・ポリーニ
曲 目 ショパン ノクターン嬰ハ短調作品27-1
ショパン ノクターン変ニ長調作品27-2
ショパン マズルカロ長調作品56-1
ショパン マズルカハ長調作品56-2
ショパン マズルカハ短調作品56-3
ショパン ノクターンヘ短調作品55-1
ショパン ノクターン変ホ長調作品55-2
ショパン 子守歌作品57
ドビュッシー 前奏曲集第1巻
[アンコール] ドビュッシー 前奏曲集第2巻から「花火」
我々の席は、2階2列22番、23番。2列と言っても最前列だ。
(7日に妻が座ったのも、2階2列22番だった)
(7日に妻が座ったのも、2階2列22番だった)
場内を見渡すと、相当数の空席。おそらく3分の1近くが空席ではないだろうか。
やはり、ベートーヴェンでないのなら、と払い戻しを求めた人がたくさんいて、それを当日までに売り切れなかったということか。
ポリーニが登場。妻によると、7日の時に比べると、ずいぶん元気そうに見えるとのことだった。
ノクターンが始まった。
ポリーニは、ここでいったん舞台袖へ。
ほぐれない毛糸玉みたいなイメージを感じた。
ところが、3曲目のc-mollから、急に変わった印象を受けた。形がはっきり聞こえてきて、最初のノクターンと違ってダイナミックさが出てきた。
そのまま、次のノクターンへ。1曲目のf-mollはとてもよかった。
休憩は25分。ポリーニのために長めにとったということか。
前半、後半を通じて、ポリーニは、各曲の最後の音を弾き終わると、鍵盤から手を離して膝の上に置き、ペダルで保っていた響きを足で切る終わり方が多いことに気がついた。
おそらくコンディション充分でない中の演奏、ドビュッシーが終わった後は、もういい加減、解放してあげたい、と思った。アンコールはいらない、と。
しかし、盛んな拍手のカーテンコールは続き、同じドビュッシーの前奏曲集第2巻から「花火」が演奏された。弾き始め、だからアンコールはやめればよかったのに、と思う瞬間があったものの、すぐに持ち直し、黙らされる演奏となった。
「花火」の後は、満場がスタンディングオベーション。我々も立った。
そこからのカーテンコールは、さすがにそこそこでおさまり、21時前終演した。
度重なる曲目変更には落胆もあったが、やはり聴いてよかったと思わされる演奏会だった。
5日前の、札幌での小田(和正)さん、そしてこの日のポリーニと、この先、実演に接する機会が何度あるか、とどこかで思いながらの鑑賞が重なった。