naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

11月場所14日目

栃乃花はいい相撲で2ケタ。
何か三賞を贈りたいものだ。
カムバック賞の意味合いで敢闘賞でもいいが、技能賞の方がよりふさわしい。

高見盛は7勝3敗からの4連敗で、とうとう明日に勝ち越しを持ち越してしまった。
相手の土佐ノ海も四つは右なので、有利に組めてしかるべきだが、立ち合いで右を差すことさえできなかった。
むしろ充分な形で組んだのは土佐ノ海の方。
土佐ノ海の方が考えていたということであって、高見盛の工夫のなさと好対照だった。

栃乃洋は得意の左を差し込んで、豪風に快勝。
ついに7勝7敗の五分に持ち込んだ。
高見盛とは対照的な7勝7敗。

時天空白露山はみごたえのある相撲。
白露山は、重くていい突きだったが、常にはたくことを考えながらの突きであるのが勝敗のポイントになった。
時天空はなかなか下半身が安定している。
攻防の末、白露山が逆にはたかれて落ちたのは、やはり突き一本でない動きにムダがあるからだろう。

垣添安馬の、闘志あふれる両者の対戦は、やや一方的な展開。
安馬が僅かに立ち遅れた。残り2日で勝ち越し、という意識が少しあったか。
垣添は踏み込みに勝り、以後も流れのいい相撲であった。
安馬は惜しい負け越しだが、見ている方からは収穫があった。
来場所以降に更に期待したい。

白鵬は過去5戦負けなしの出島に星を落とし、2ケタを逃した。
誠に残念かつ情けない。
出島は、低い当たりのいい立ち合いから右を差し、その後も一番力が出る形で一気の攻め。
白鵬は、過去分のいい相手ということで、調子を下ろしたところが見られた。
立ち合いに右は入ったので、安心したか。まだまだと思っている内に出られて残る余裕がなくなった感じだが、ともかく今場所の白鵬は今一つである。
足の不調がよほど大きいならやむを得ないが、余裕を見せて勝つことを優先しているようにも見える。
実力のある人なのだから、出し惜しみしないで、必死の相撲をとってもらいたいものだ。
琴欧州と一番違うのはそこではないか。

琴光喜は、上体が立ったままの高い立ち合い。過去分のいい黒海にはたかれての負け。
再三書くが、この人の課題は立ち合いが一定しないことだ。そのことで、以後の相撲の流れも安定せず、敢えて言えば出たとこ勝負の相撲になっている。
立ち渋りがめだつことも含め、精神面の問題もあろう。
ともかく、ここが変わらないことには、大関どころか、三役定着もおぼつかない。

琴欧州千代大海に完勝。
立ち合いがちっと右四つにつかまえ、間をおかずに左からの投げでほふった。
組んだら相撲がとれない千代大海とはいえ一応は大関である。
その大関相手に何もさせなかったのだから、やはり力をつけていることは間違いない。
こういうがちっとした相撲が琴光喜にはない。大関昇進に先を越されても仕方がないところだ。

この時点で2敗がなくなり、結びの朝青龍魁皇に、7連覇、年間6場所完全制覇、年間83勝のすべてがかかることになった。
大一番ではあったが、横綱が立ち合いで右上手をとり、魁皇は上手をとれない体勢になったことで、勝敗は決した。
当然のことだが、魁皇としては逆の体勢を作らねばならない訳で、やや工夫なしという気がする。
左四つの魁皇が力が出るのは、要は右上手か、右からたぐるあるいは小手に振った場合で、ともかく右腕である。
立ち合い一瞬でのこの組み手では、いかに左四つでも苦しい。
魁皇の場合、この体勢で、右から絞って上手をとりにいくとか二本入れるとかの相撲ではないので、以後は苦しいままの展開で、何らいいところがなかった。

あっさりと前人未踏の3つの記録を達成となったが、勝ち名乗りの際の涙、やはり嬉しかったのだろう。
小錦が初優勝の際に土俵下に下りて泣いたのを覚えているが、土俵上で涙を見せた力士は、過去に記憶にない。

さて、優勝は決まってしまった。
明日千秋楽のみどころはほとんどなくなってしまったが、琴欧州には是非12勝目をあげてほしい。
下位に3敗、不戦勝が一つという状況なので、実質11勝目になる白星を、出場の横綱大関総なめで帳消しにしてもらいたいところだ。