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66歳会社員。ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

赤房下のお嬢さん

赤房下のたまり席にいるお嬢さん。

 

テレビで相撲中継を観ている少なからぬ視聴者が、既に目に留めているのではないかと思う。

 

この女性に気づいたのは、昨年の十一月場所だった。今場所も引き続きいる。

 

赤房下のたまり席、同じ席に毎日座っている。連れはいない。いつも1人。

 

毎場所15日間皆勤である。

 

新型コロナウイルス感染防止のために席を間引いているため、観客が間を置いて座っていることも、テレビの画面越しに目立つ理由だが、それ以上に彼女のたたずまい自体、独特で目を引くものがある。

 

服装は淡いピンク系のワンピースが多い。たたんだコートを座った脇に置いている。

 

スカートで見えないが、正座していると思われる。ピンと背筋を伸ばした姿勢で、両手は膝の上で組み加減にしている。

 

そしてこの姿勢をまったく崩すことがない。

 

それに加えて、相撲観戦客として異例に見えるのは、土俵上の相撲に合わせて身体が動くということがなく、その凜とした姿勢が終始微動だにしないことだ。

 

また、マスクをしているのでうかがいしれないところがあるが、顔の表情に喜怒哀楽の変化もないように見える。

 

相撲場で相撲を観ている観客であれば、土俵上の熱戦に身体も動けば声も出る(今はコロナのために声を出さないでくれと要請されているとしても)し、贔屓力士が勝てば喜び、負ければ悔しがるといった表情の変化も見られるのが普通だろう。

 

しかしこの女性にはそれが一切ない。

 

拍手はする。土俵に力士が上がった時、勝負がついた時、力士が花道を下がる時。しかし特定の力士に対してだけ拍手するのでなく、すべての取組で同じタイミングで、いわばルーティンのように拍手している。強弱の差もない。常に穏やかな一定の拍手。

 

天覧相撲等、皇族が相撲観戦する時、特定の力士を贔屓していると見られてはいけないので、平等に拍手を送ると聞いたことがある。それを思い出しつつ改めて見れば、彼女の拍手は観戦中の皇族のような動作でもある。

 

このような具合で、非常に目を引く女性なのである。

 

姿勢を崩さない点で今日10日目の相撲を観ていて驚いたのは、髙安=栃ノ心戦。髙安に押し出された栃ノ心が赤房下に落ちて、そのままの勢いでこの女性の脇までつんのめっていって止まった。しかし彼女はそこでも表情を変えず、危険を避けるべく身体をよけるとかの動きもなく、いつもの通りの姿勢で座り続けていた。自分の左脇まで来た栃ノ心の方を向くことさえもなかった。何事もなかったように土俵の方を見つめていた。

 

妻と相撲を観ていて、毎日彼女の話題になる。「今日も来てるね」でなく、つい「あ、今日もいらしてる」と言ってしまう。一体どういう人なんだろうか。

 

相撲観戦客らしからぬ孤高のたたずまいではあるものの、毎場所15日間欠かさず国技館に来るのだから、当然相撲が好きなのだろう。

 

赤房下のたまり席を押さえることができる、というのも、何者なのか、と興味をかきたてられるところだ。

 

おとといだったか、BS放送を観るともなく観ていたら、幕下の取組の時、14時半頃に既に座っているのがわかった。この段階から観戦しているというのは、やはりかなりの好角家に違いない。相撲を楽しんでいるのも間違いないと思われる。

 

取組が終わるたびに、手に持った何かを顔の前に上げる。小さくたたんだ取組表(割り)を見ているようであり、スマートフォンを操作しているようにも見える。もしかして、一番終わるごとにその取組についてTwitterか何か、SNSに上げているんじゃないか、とも思える。「赤房下から」みたいなブログでもあるのでは、と検索してみたが、見つからなかった。

 

とにかく、一体どういう人なんだろう。

 

妻が検索したところ、ネット上では既に彼女の話題は出ており、「○○さんでは」などの仮説も見られる。

 

でもまあ、謎のままの方がいいかな。

 

※過去の関連記事
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       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2020/04/14/075047

 

<追 記>

 この女性、ネット上では「溜席の妖精」と呼ばれているらしい。

彼女にインタビューを試みたネットニュースを発見。

news.biglobe.ne.jp